おはようございます、一龍です。
今日ご紹介する本は、元トヨタNo. 1メカニックである原マサヒコさんの著書 『どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力』。
物語形式でトヨタの「自分の頭で考える」 「口ぐせ」とそのベースとなる「5つの思考」が学べます。
その「5つの思考」とは「改善思考」「横展思考」「現場思考」「真因思考」「行動思考」。
今回はこの5つの思考の中から、主に「改善思考」のエッセンスをピックアップしてみます。
なお、本書はサーバーコンピューターの会社であるキングコンピューターに、業務改善のためにトヨタからやってきた金城取締役がトヨタスピリッツを元に指導していくストーリーとなっています。
そのため引用は金城取締役のセリフをそのままピックアップしています。
トヨタの「改善思考」のポイント
★時間は動作の影
「モノを探すというのはムダな動作だ。ムダをなくすためには、探すのではなく『モノを取る』というレベルの動きにまで落とし込まなければいけない。そうしなければ仕事をするための時間は創出されないんだ」
「時間は動作の影なんだよ、翔太くん」
「そう、ムダな動作をするほど、ムダな時間が生まれることになる。その分、改善活動や価値提供の活動である『仕事』の時間は減ってしまうんだ。だから、いかに仕事中にムダな動作をしないか、ということを徹底的に考えなければいけない」
★生産性が高いとは
「違う違う。『生産性が高い』というのは、『頑張っている』ということではないよ。『頑張っていないのに、成果物の価値が高い』ってことだ」
「頑張ることは汗をかくことではない。いかに頑張らずに成果物の価値を高めることができるか。そこが重要なんだ。日本の高度経済成長期には、朝早くから夜遅くまで会社にいるのは『頑張っている人』などと呼ばれていたこともある。だから、仕事はなくとも、みんなが残っていれば残業に付き合っていた人も多いだろう。ただ、よく考えてみなさい。そんな頑張りが本当に頑張りと呼べると思うか?」
★同じ石で二度転ぶな
「いいか、君たち。同じ石で二度転ぶようなことがあってはならない。仕事をしていれば問題は起きる。ただ、何か問題が出現した時には、そこで立ち止まって必ず対策を練るんだ。同じ問題に何度も直面しているなんて成長していない証拠だ。それでは時間のムダだし、仕事をしているとは言えない。もっと頭を使って改善するんだ」
★代案もないのに反対するな
「海老名くんね、代案もないのに反対するんじゃないよ」
「ただ反対するだけなら誰だってできる。反対するなら『代わりにこういうのはどうか』という代案をしっかり提示しなさい。それがビジネスパーソンのしかるべき態度というものだ」
★課題のない報告はいっさい受け付けない
「課題のない報告はいっさい受け付けない」
「そうだ。キミの報告はただの数字の羅列だ。そこにどんな課題があるのか、次にもっと上手くやるとしたらどうすればいいのか。そういった課題を合わせて伝えない限り、それは報告とは言わない。だから受け付けられない」
★ベンチマークし続けろ
「身近に優れた人がいるのなら、それが敵であろうが味方であろうが、キミがやるべきことは一つだ。そうやって妬んだり嘆いたりすることではない。ベンチマークするべきなんだ」
「ああ、彼が普段どんなことをしているのか聞いてみればいいじゃないか。きっとキミとの違いが見つかるはずだ。まあ、プライドが邪魔をして聞くのが嫌だというのなら、よく観察すればいい」
「そうだ。トヨタだって小さな工場から始まって売り上げ27兆円規模の会社にまで成長したが、その基本には『絶えざるベンチマーキング』があったんだ」
「企業のベンチマーキングは、業界を問わず優良企業を基準としているんだ。トヨタがいる自動車業界においては、もともとアメリカが先行していたというのは何となくわかるだろう?」
「そこでトヨタはフォードやGMといった米国企業をベンチマークしながら自社の体制を整えていったし、生産管理においてはスーパーマーケットなんかもベンチマークしていた。あらゆる角度で自社との差を測定して、その差を一つ一つ埋めていくことで成長を遂げていったんだ」
「これだけは言っておこう。人生における幸せを感じようとするときは、他人と比較するのはナンセンスだ。ただ、仕事においては別だ。上手くいっている人がいれば自分と何が違うのかを冷静に見比べて、良いものは積極的に取り入れる。それが成長する考え方なんた」
「ただ、初めは社内で比較して構わないが、その相手と同じことができたとしても満足してはいけない。他社にはもっとすごい奴がごまんといるはずだ。自社ばかりを見て他社とのベンチマーキングをおろそかになってはいけない。自分が成長したと思ったら、視点をずらして新たなベンチマーキングを設定し、さらなる高みを目指さなければいけないんだ」
感想とまとめ
説明するまでもなく、日本だけでなく世界を代表する企業であるトヨタ。
その成長の原動力は、最近ビジネス書界でも『トヨタの〜』という”トヨタ本”が多数登場して、注目されています。
実は今回、そういった”トヨタ本”を初めて読みました。
正直な感想としては、「特別なこと、目新しいことはないな」というものでした。
すでに多くのビジネス書で書かれている内容と同じなのです。
ではどうしてトヨタは圧倒的に成長できたのか。
おそらく、本書に書かれていることを実際に現場で徹底してきたからではないかと思います。
今回第1章の「改善思考」からピックアップしましたが、このブログを読まれていま方には「目からうろこ!」というものはなかったでしょう。
しかし、ではこの「口ぐせ」をしっかり実行できているかと言われると・・・。
人間には素晴らしい能力が備わっているが、同時に基本的には変化を嫌う習性もある。
「毎回し同じことで困ってるな」「こういう風に改善したらいいのになぁ」と気が付いていてもそれを変えようとしない。
しっかり行動まで落とし込めているのがトヨタの強みなんですね。
「変化こそが安全性を保証する」(口ぐせ38)
とあるように、変わり続けていく指針として、38の「トヨタの口グセ」を参考にしてみてください。
なお、本書巻末には38の「トヨタの口グセ」をまとめてくれています。
◆まとめ
・ムダな動作はムダな時間を生む
・いかに頑張らずに成果物の価値を高めるかを考える
・過去に失敗したことを再び経験しないため、必死で知恵を絞る
・反対意見を出す時には、同時に必ず代替案を出すようにする
・報告には次につながる課題を盛り込む
・他者との差を明確に測定し、その差を埋めていくことに注力する
本書はダイヤモンド社、市川様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
はじめに
第1章 どうすれば成果はあがるのか? 「改善思考」
第2章 視点をずらして1+1=3にする 「横展思考」
第3章 問題がわかれば九割解決できる 「現場思考」
第4章 本質をどう見抜くのか? 「真因思考」
第5章 スピードが解決を前進させる 「行動思考」
おわりに
付録 「トヨタの口グセ」まとめ
関連書籍
同著者の本。