おはようございます、一龍です。
今日ご紹介するのは医師としてハーバード大学に留学し、その間ボストン大学でMBAの資格も取ったという猪俣武範さんの著書、『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』 です。
こういったハイキャリアの方の勉強本としては珍しく、内容はまさに勉強本の王道。変わった勉強法はなく、むしろ「目標を設定し、いかに勉強を続け、成果につなげるか」に重点を置いた、私のような凡人にも取り入れれば必ず成果に繋がりそうな内容となっています。
今日は本書から、目標を次々に達成する人の最強の勉強法のポインとをピックアップしました。
目標を次々に達成する人の最強の勉強法のポイント
★スマートな目標設定を行う
目標の設定には、SMART GOAL(スマートゴール)という5つの基準を用いたフレームワークを使うと便利です。
SMARTとは、Specific(より具体的な)、Measurable(評価可能な)、Achievable(実現可能な)、Realistic(現実的な)、Time-bound(期限内に達成可能な)、という5つの言葉の頭文字をとったもので、これらを満たす目標を設定するわけです。このフレームワークを用いることで、目標をより明確に設定できます。(例)
「グローバル化に向けて英語の勉強をする」⇒「2017年までにTOEFLで100点を取得するために英単語帳を1日20ページ進める」
★トリアージして優先順位を決定する
トリアージとは、医療現場において、大災害や大事故などで人員や物資が足りないとき、最善の結果を得るために、対象者の重症度によって治療の優先度の選別を行うことです。トリアージによる優先度の判定結果は4色のマーカーつきカードで表され、傷病者の右手首に取りつけられます。
私は日常の業務でもこのトリアージを意識しています。一刻も早く対処しなければいけないタスク(1~3日以内)には赤色のタグを、1週間以内に対処が必要なタスクには黄色を、全く緊急性がないタスクには緑色のタグをつけてPC上に保存しています。そして、終わったタスクはもとの黒色に戻すようにしています。
勉強でも同様に、重要性や緊急性が高い箇所には付箋などでトリアージしておきます。そうすることで、復習が容易になりますし、勉強する必要のない箇所をもう一度勉強することを避けることができます。
★集中してしまうルーティンをつくる
集中力を高める有効な方法は、「ルーティン」といって、決まった動作を行うことです。
これはスポーツ選手によく見られます。野球のイチロー選手がバッターボックスで必ず決まったポーズを取ることは有名ですね。テニスのラファエル・ナダル選手は、必ずサーブの前にパンツの食い込みを直し、髪の毛を耳にかけ、鼻を触り、ボールをつきます。ラグビーワールドカップ2015の五郎丸選手のポーズもルーティンです。
このようにルーティンを行うことで、脳が行動の準備を始め、自然と自然と集中力を高めます。勉強や仕事でも、自分の集中力が上がるルーティンを習慣化しておきましょう。
★テストストロンで集中力を高める
集中力や記憶力が上がるホルモンとして、男性ホルモンとしても有名なテストステロンがあります。テストステロンが減少すると認知機能が維持できなくなったり、モチベーションが下がったりしてしまう場合があります。
このテストステロンは、自信を与えるポーズをとることで分泌を増加させることができると言われています。
勉強するときは、人に見られていることを意識するように、姿勢を良くして勉強してください。そうすることで、記憶力と集中力が高まります。
★「LEAN」の考え方を勉強に取り入れる
LEAN(リーン)とは、トヨタ自動車が考えだした生産過程における効率を良くする考え方です。米国にあるMIT(マサチューセッツ工科大学)の専門家がつけた呼び名がLEANという言葉で、ムダをなくし、業務を「カイゼン」する方法を意味します。
LEAN勉強法は大きく分けて、5つの概念から構成されます。
(1)「目標を視える化」し、「やるべきこと」と「やらないこと」を明らかにする
(2)「ムダを省き」時間を捻出し、やるべきことにフォーカスする
(3)「カイゼン」を繰り返し、プロセスを磨き上げる
(4)そのプロセスを「習慣化」する
(5)長期的な展望を見据えながらも「小さな勝利」を意識し、モチベーションを高く保ち、LEANの良循環を継続していく
★過去問と教科書を効率的に勉強する
過去問を解くときの私のやり方をお教えします。1回目で解けた問題には○印を、なんとなく解けた問題には△印を、間違った問題には×印をつけます。
そして、復習するときは○の問題を飛ばしてしまいましょう。1回目は分からなければ解答をすぐ見てしまってもかまいません。2回目では△や×印のついている問題をまず自力で解いてみます。そこでも再度間違えてしまった場合は2つめの×印をつけ、この時点で解ければ、×印の上に○印をつけます。3回目では×印が2つあるところだけ重点的に問題を解きます。
教科書はあれこれといろいろな本に手を出すことはやめましょう。王道と呼ばれる本を購入し、ひたすらその本を徹底的に勉強しましょう。
たくさんの教科書を勉強しても、書いてある重要な部分は大体同じことが多いものです。せっかく大切な部分を覚えているのに、新しい本をまた買って、前に覚えた部分を重複して勉強するのは時間のムダです。
★10-Kを読んでリーディングスキルを鍛える
10-Kは米国の証券取引所に上場する企業が、株主に向けて作成する業務報告書のことです。10-Kには企業の最新情報が凝縮されていて、下手なビジネス書を読むよりも勉強になります。
決算のデータや会計用語など必要な知識がなければ分からないところも確かにありますが、そのほとんどは、世界中にいる様々な人種の株主にも理解できるよう、平易な英語表現で書かれています。しかもインターネットで「企業名」+「10-K」と検索すれば、無料でPDFファイルをダウンロードして読むことができます。
忙しい社会人の皆さんは、難しい英語の本を読むよりも、皆さんの業種と関運のある企業の10-Kから読んでみましょう。
★リスニングスキルは映画やTEDで磨く
リスニングを鍛える方法としては、好きな映画を英語字幕つきで繰り返し見るという方法がおすすめです。口語で使われる言い回しを覚えることもできるので、スピーキングにも応用できます。
なぜ映画がいいかというと、耳で聞いて、目で字幕や映像を見ることで記憶への定着力が上がるからです。とりわけ、好きな映画を繰り返し見ることをおすすめします。それは忘れる前にもう一度覚えることで、記憶の定着率が上がることが実証されているからです。
TEDはいつでも繰り返し視聴できるうえに、英語や日本語の字幕も見られるため、リスニングの強化に役立ちます。TEDの良いところは、話し手が、プレゼンテーションという枠組みの中で、より実践に近い形でリスニングを学べることです。さらに、第一線で活躍する人達のスピーチを聞くことで、仕事の刺激になるだけでなく、教養まで身についてしまいます。
感想など
まず感じたのは、本書で紹介されているのは「勉強法の王道」ということ。
勉強本の著者さんは大抵の場合名門大学を卒業していて、難関資格試験を合格している方が多いわけです。
それ自体はごく自然なことですが、そういったもともとのスペックの高い方が、その人しかできないような独自の勉強法を提唱しても、再現性がないわけです。
ネタとして「スゲェなこの人」と読む側としては感心するしおもしろいのですが、「あなただからできるんでしょ」という勉強法を提示されても何の役にも立たないわけです。
その点、本書はまさに勉強本の王道中の王道。
もちろん著者の経歴も実績も抜群で、医者としてハーバードへ留学しつつ、ボストン大学でMBAを取得するのですから、私のような凡人とはかけ離れた地頭のスペックの持ち主です。
ですが、本書で紹介されている内容は、奇をてらうこともなく、というかむしろ非常にオーソドックスなもの。
医師である猪俣さんらしいと思われるものも見受けられますが(たとえばトリアージとか)、基本は目標設定、時間管理、モチベーションの維持、テキストの使い方といった地頭に関係なく、誰でもできる再現性の高いものばかり。
特にポイントとなるのは、
いかにムダを省き、継続するか
ここに焦点をあてているところが社会人の勉強法を紹介する勉強本として良書といえると思います。
その結果、それぞれの目標の資格試験勉強で取り入れれば必ず成果の上がる内容のものばかりでした。
一方、後半の英語勉強に関するものは、海外経験ゼロだった猪俣さんが、試験に関係なく実践的に身につけなければならない経験から生み出した勉強法だけに、かなり即効性の高い内容となっている点が、前半と対象的なコントラストとなって面白かったです。
留学を考えている方の参考になるのではと思います。
社会人の勉強法として是非参考にしてみてください。
本書はDiscover21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
まえがき
PART1 結果を出す人の 目標設定の技術
PART2 結果を出す人の 時間管理と集中力を高める技術
PART3 結果を出す人の 勉強の技術
PART4 ハーバード、MBAから学んだ 私の勉強法
PART5 ゼロからの英語学習術
PART6 結果を出す人の 成長し続ける技術
謝辞とあとがき
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