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ビジネスパーソンも学ぶべき、堂本光一流エンターテイナーの条件のポイント

おはようございます、一龍です。

今日は珍しくタレント本をとりあげてみました。
KinKi Kidsの堂本光一さんのインタビューをまとめた『エンタテイナーの条件』 です。

ジャニーズタレントの中でも本格的な舞台を中心に活躍されている特異な存在な堂本さん。
今回は、彼のあげる「エンターテイナーの条件」の中から、ビジネスパーソンも学ぶべき点をピックアプしてみました。

 

ビジネスパーソンも学ぶべき、堂本光一流エンターテイナーの条件のポイント

★ものづくりの順序

 

 ものづくりする時の順序としては、まず、とんでもないことでもいいから、頭に浮かんだことを臆せずそのまま掲げてみること。それに対して「これは不可能だ、でもこうしたら近いことができるんじゃないか」「また無理だな、じゃあ代わりにこうしたらいいんじゃないか」ってすり寄せていく。するとだんだん形になっていきます。僕の経験から言うと、そうやっていくと最初に掲げたものより良くなって行く場合が結構あるんです。

★自分の感覚を頼りにする

 

 実は、お客さんの反応については、つくる段階ではほとんど考えていないです(笑)。感覚としてはもっと単純で、「自分が客だったらこれワクワクするな」と思えるかどうか。だから、誰かにとってはつまらなく映ることもあるだろうけど、それは仕方ない。「俺はこれが楽しいと思う!楽しくなかったらごめんなさい!」ですよ(笑)。ファンサービスをしないということではなく、自分の感覚を頼りにしないとものづくりはできないということです。

★ダンサー並みに踊るべからず

 

 真ん中に立つ人は、いい意味で”(力を)抜く”ことが大切だと思っています。僕がダンスに関して「神様だ」と思う存在って、錦織(一清)さんなんですよ。力が入っていないのにすべての軌道が計算されて・・・計算って言い方が正しいか分かりませんけど、軸はブレないし、舞台でもとにかく一番目を引く。巧みな力の抜き具合が半端ない、まさに「メインの人の踊り方」です。”抜く”作業は、僕も日々トライしていますが、下手にニシキさんの真似をしようとすると、ただ手を抜いているようにしか見えないから怖い。やってて不安になることがあります。
 ともかくそういった意味で、メインに立つ人は、ダンサーと同じダンスを踊っても役割が違うと僕は認識しています。”ダンスを提供する”ことと、”ダンスを魅せる”ことの違い、とでも言うのかな。魅せられるようになれば、当然そのショーはもっと良くなっていきますしね。

★限界を攻めて”自分”を発見する

 

 そんなに厳しいのにみんながついてこられたワケは、できあがっていくものに対して1人ひとりが手応えを感じられたからかもしれません。自分の限界を攻めていくと、自分発見につながる。できあがっていくものがすごいと思いながら作業できると、自信が沸いてきます。そして、「こんなすごいものを作っているんだ」とここが思い始めると、それを早くお客さんに見せたいという気持ちに変わっていく。すると強い精神状態ができる。
 逆に、あやふやな状態でモノを作っていくと、何が正解かわからなくなってしまいます。「これでいいかなー」という気持ちでは、できあがったモノも「なんとなく」なものにしかなりません。限界を攻めながら”行き先”を見つけていけば、それがそのままお客さんに対してのエネルギーになって飛んで行くと信じてやってます。

★「幸せだから追い込む」という非・満足スタイル

 

 恵まれていない世の中のほうがストーリーが生まれる。なのに、恵まれた世の中でないとストーリーを見る人も演じる人もいなくなってしまう。皮肉な話です。だからこそ、こういう表現の仕事を演じている人間には”自分を追い込む作業”が必要だと感じます。
 では、どうやって追い込むのか。悩むことです。満足しないこと。常に「もっともっと」と思って満足しなければ、必然的に追い込まれていきますから。
 『SHOCK』の中に「苦しめばひとつ表現が見つかる」というセリフがあります。お芝居に正解がないように、僕の自問自答はずっと続くんでしょうね。

★意味がなさそうなところに日を追求する日本人

 

 まあ”和”の世界ってーーーけっして悪い意味で捉えてほしくないんですけど、僕から見てもやっぱりクレイジーだと思います。着物や袴ひとつ取っても、なんであんな機能的でない大変なもの着てるんだろうって。だけどそこには確かな美学があるじゃないですか。日本人って意味のなさそうなところに日を追求していくというか、美のためなら意味のなさそうなところに日を追求していくというか、美のためなら理屈を捨てられるんだろうと思う。僕がいつも言っている”能率・効率””合理主義”っていのとは対局にあるんですけどね。そんな僕が和物のショーをやっているというのがまたおかしいな話ですが(笑)、対局だからこそ、惹かれるのかもしれません。

★人前に経つのが苦手な僕の”座長心得”

 

  作品を良いものにするために、僕が座長あるいはカンパニーのリーダーとして最も大切にしていること。それは出演者とスタッフそれぞれが、”責任”と”自信”を持って仕事できる場所を作るということです。僕らの場合、”表に出る人間”と”裏で動いている人間”がいて、そこには大きな違いがあると思われがちです。でも、表で表現するものがいい形になって現れれば、裏で支える人にとっても報われる瞬間だろうから、目的は一緒。それを理解した上で動くのは非常に大切だと思います。

★人間関係の状態を把握する

 

 まめにやっているのは、親しい人に「今、(カンパニーの)雰囲気どう?」って聞くことです。問題に対して僕が直接アクションを起こすわけではないけど、状況は把握しておきたいので、頻繁に探りを入れる(笑)。人が大勢いると仕方ないことですが、もちろん良からぬ話が耳に入ってくることもあります。誰と誰がギスギスしているとかね。それが女性だったりすると・・・「やっぱり難しいなぁ」と思うわけです。
 でも幸いなことに『SHOCK』はプロ意識の高い人たちが集まってくれているので、仮に裏側で個人間のゴタゴタがあったとしても、それをステージの上まで引きずりはしません。表現の世界に生きている人たちだから、一般の方に比べて”嘘”が上手なのかもしれませんね(笑)。

★信頼されることが責任感に

 

 僕は現場では怒鳴ったり怒ったりしないほうだと思います。<中略>
 その代わり、僕は一人ひとりをよく観察しているつもりです。その場ではとやかく言わないんですが、むしろこっちのほうが怖いかもしれませんね。さりげなく見られているわけですから(笑)。
 でもそれ以前に大前提としてあるのは、一緒に働く人を信頼するということ。人から信頼されると、”信頼された”という責任感が生まれる。それがその人の持ち場に反映されていきます。
 だからみんなが口々にあーだこーだ言ってモノコトが進まない時は、思いきって1人に託してみたほうがいいと思います。これも”信頼する”に通じることで、止まっていたことが動き出すのと同時に、任された人は大きなやりがいと責任感を手にすることができる。

★堂本流・不安の乗り越え方

 

 もちろん職種の違いもあるから一概には言えませんけど、まずは自分の抱えている問題を、種類ごとに整理する。「長引くもの」と「長引かないもの」、「自分一人で解決できるもの」と「できないもの」、いろいろありますよね?それらを精査した上で、一人で解決できないものはさっさと解決する。ダラダラ考えても答えが出ないものに関しては、「考えない」という意識を持つんです。<中略>
 問題点に対して、真正面から考えて考えて・・・ってやっているとそれはストレスになってしまいます。そうじゃなくて、「もう考えない」って自分に暗示をかけてノホホンと過ごしつつ、でも頭のどこか無意識の片隅では常に考えている・・・そういう状態が作れると、ある日突然アイデアが浮かんだり、解決策が生まれたりして、いい方向に導いてくれる、と。僕の経験と照らしあわせてみても、確かにそういうことってあるんですよね。

感想など

 

◆「責任を取る覚悟」

本書はKinKi Kidsの堂本光一さんがインタビュー形式で連載していた『日経エンタテインメント!』の記事をまとめて加筆修正、そして特典スナップショット満載にした豪華本です。

ファンにはたまらない、マストバイのコレクションアイテムに間違いありません。

さて、テレビを見ない、そしておよそアイドルに全く興味がない(未だにAKBで知っている名前は前田敦子とか卒業した子ぐらい)私が、ましてやジャニーズの堂本光一さんの本を読んで何を語ることができるのか?と自分でも本書を読む前までは思っていたのですが、いや、この本いいですよ。

いくらなんでも堂本光一さんは僕も知っているし、テレビを見ない生活をする前は「堂本兄弟」を見てましたし(世代的にアルフィーが好きだったもんで)。

でも、テレビで見た堂本光一さんしか知らなかったのです。
だからほとんど予備知識ゼロ状態で読んだのですが、これ完全にビジネス書ですよ!

女帝(妻)や姫(娘)に聞いて確認したところ(二人共ジャニーズ好き)、本書にも書いてあるようにジャニーズのタレントの中でも舞台に力を入れていて、その端麗な容姿からは想像がつかないようなストイックな方なのだとか。

そのストイックな部分が本書では随所に垣間見られます。

そして「これ完全にビジネス書ですよ!」と思わせた部分、つまりビジネスパーソンがぜひ読んで参考にして欲しいと感じたのは2つ。

一つは「モノ作り」に対する考え方や姿勢。

「自分がいいと思うもの」というのを軸にして舞台を作っていく。
これ、Appleの物作りを思い浮かべました。

ジョブズが言ったと思うのですが、消費者は自分が欲しいものがわからない、だからマーケティングには意味が無いと。

自分がいいと思うものをつくって、消費者がそれを見て初めて「そうそうこういうのが欲しかったんだ」と気がつくんだと。

そういう製品が世界を変えていくイノベーションにつながるのですが、やはり根本には「自分がほしいもの、自分がワクワクするもの」という軸があるんですよね。

製品開発と舞台とは違うものですが、お客様(消費者)に楽しんで頂くための一つの軸というのは、どの世界も変わらないのだと思います。

そしてもう一つ本書でぜひ読んで欲しいのがリーダーシップ論。

堂本光一さんは『SHOCK』など長年本格的な舞台を続けてきています。
言うまでもなく舞台はチームで作り上げていくもの。
職種の違いはあるにせよ、座長である堂本光一さんの座長論はそのままリーダーシップ論としてビジネスパーソンに読んで参考になるのではないでしょうか。

今回ピックアップしなかったのですが、本書巻末にこんな一文があります。

「エンターテイナーの条件」と呼べるものを挙げるとするならば、”責任を取る覚悟”ではないかと思っています。

「責任を取る覚悟」、この言葉を読んだ時、自分の上司の顔が浮かびますよね。
あるいは自分がリーダーの場合、自分に覚悟があるか省みてしまいますよね。

おそらく、「そんなかっこいいことを言っても、タレントだし、何かあった時には事務所がまもってくれるんだろ」と思う方もいるかもしれません。

ですが、本書に舞台で事故が起こった時の対応も登場していて、そのとき堂本光一さんは

批判も責任も、「全て自分のところに来い」

という覚悟で翌日に幕を開けています。
たとえ事務所が守ってくれたとしても、事故についてインタビューされて矢面に立つのは堂本さん本人なのですよね(だってジャニーさんは全然表に出ないし)。

こういう「覚悟」があってこそ、クオリティを追求していくことができる、つねにお客さまによりよいものを提供することを続けることができるのですね。

きらびやかな世界ですが、その裏にあるプロとしての「覚悟」の部分をぜひ読んでほしい一冊です。

目次

#01 ロングインタビュー1 アイドル兼クリエイターとして――「だから見えた”僕のものづくり”」 #02 歌うときに思う、洋楽的メロディーと日本語の歌詞問題
#03 「ダンサー並みに踊るべからず」というメインの流儀
#04 外国人ダンサーとの体格差を、どう補うか?
#05 「幸せだから追い込む」という非・満足スタイル
#06 僕が「あかり」の演出にこだわるワケ
#07 アナログ演出の極み! フライングの極意
#08 フライングにおける見せ方のバリエーション
#09 動きづらくなる衣装をいかに見方につけるか
フレームフォトスペシャル 前編
#10 激しいダンスより立ち回りが何倍もキツいワケ
#11 殺陣は”日本人の遺伝子”が大きくものをいう
#12 人前に立つのが苦手な僕の”座長心得”
#13 ロングインタビュー2 僕の目から見たミュージカル・ブーム 舞台への誘い
特写セレクション
#14 もうひとつの家、これが僕の楽屋ライフ!
#15 演者と演出と映像作品制作の狭間で
#16 ”カッコよさ”と”リアル”、どっちをとるか
#17 舞台空間をデザインする美術セットの魔術
#18 歳を重ねるということーーエイジングの考察
#19 参加し、鑑賞し・・テレビドラマに思うこと
#20 現場では監督の思う形に寄り添えるように
#21 改修・閉鎖だけじゃない僕の”会場問題” フレームフォトスペシャル 後編
#22 当事者なのに何もできないというジレンマ
#23 失敗から、こんなにも教わるなんて
#24 作りての度量を感じた2つの現場
#25 ”見る音楽”を作り込むミュージックビデオの世界
あとがき

関連書籍

本書中に登場する堂本光一さんの舞台『SHOCK』はこれです。

 

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  • 出版社/メーカー: ジャニーズ・エンタテイメント
  • 発売日: 2014/09/17
  • メディア: DVD
 

 

 

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