おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。
突然ですが、日本語って難しいですよね。
今日ご紹介するのはプロのアナウンサー、梶原しげる氏の『会話のしくじり 失敗から学ぶ「反面教師の会話学」』 なのですが、本書を読んで実は間違った言葉の使い方を結構強いることに気が付きました。
今回は本書 第2章 物の言い方でしくじらないために から、間違った日本語の用法についてピックアップしてみました。
たぶんあなたも知らない内に「しくじっている」ことに気がつきますよ。
実はしくじっている?間違って使っている言葉のポイント
★本来の意味と逆の意味で使って<しくじる>慣用句
たとえば
・「役不足」
・「煮詰まる」
といった言葉です。
「慣用句」は上手に使えば「気の利いた表現だ」、と感心してもらえます。ところが、「間違える」と「馬鹿扱い」されてしまう恐れがあります。「言葉ぐらい」と言いますが、人を「言葉で判断する人」は決して少ないとは言えません。「教養は言葉に宿る」と信じる人は思った以上に多いのです。「本来とは逆の意味で捉える人」は思わぬところで躓き、しくじっています。
★目上の人をほめたり、励ましたりしてはいけない
「目上をほめる・励ます」というのは、そもそも日本の文化ではタブーなのです。ほめたり、励ましたりすることは、目下のものが目上のものに「上から目線」で接しているということになるからです。
そういえば昔、朝青龍が「頑張ってください」と言われたファンにブチ切れて怪我させたという事件がありましたが、ほめたり励ましたりというのは気をつけないといけないですね。
★「〜してもらっていいですか」と言う人はしくじっている
「〜してもらう」と言う表現は「行為のやりもらい」と言い、恩恵的行為の授受を表しています。この場合、恩恵を受けているのは、「〜してもらう」と言う発言者の方です。「水を用意してもらっていいですか?」という言い方を見れば、よくわかると思います。では、なぜ「〜してもらっていいですか?」と言う表現がむかつくのでしょう。これは、「他者からの恩恵」を「私が享受してもいいんですか?」と「尋ねるふり」をしながら、実は巧妙に「押しつけ」「命令」する本音が透けて見える、卑しい表現だからだと私は考えています。
★「よろしかったでしょうか」と言う人はしくじっている
客と店員は初対面のはずなのに、「よろしかったでしょうか」と過去形で語りかけるの特徴としています。「よろしかったでしょうか」の本来の意味は確認です。それから過去形ではなく、「よろしいでしょうか」と現在形で聞くべきでしょう。「よろしいでしょうか」という問いかけは、客に判断を求めるもの。しかし、過去形の「よろしかったでしょうか」の場合は、すでに判断は店側が済ませており、客に「大丈夫ですよね」と確認をとっているように感じられます。それはちょっと傲慢なのではないでしょうか。
★「お待たせしました」と言う人はしくじっている
例えば上司から頼まれた書類を、「お待たせしました」といって持って行くのはしくじっています。
通常「お待たせしました!」は、非常に期待を込めて待ち望んでいる相手先に向けて使われます。たとえば、司会者の人が「みなさま、お待たせしました!いよいよダウンタウンの登場です!」と言い、待ちに待った観客が大歓声をあげる。こういう「待っているのが楽しくて仕方ないとき」に使うものです。上司は部下の書類を待っていますが、「待ち望んでいる」わけではありません。一刻も早く出してほしいとイライラして待っているのです。不当に待たされ、イライラしている上司の前で、ぬけぬけと「お待たせしました!」と言う部下の言葉から敬意など感じられるわけがありません。言葉に敏感な上司が相手なら、確実にしくじってしまうと思います。
★目上の人に使ってはいけない言葉
「〜じゃないですか」を連発していると、馴れ馴れしさや、押し付けがましさ、上から目線のようなイメージを与えてしまうことがあります。
もともと「なので」は「〜なので」という使い方をするものであり、独立した接続詞ではありません。だから、接頭語として使うのは文法として誤りです。ただ、文法的に間違っているという以上に、「なので」は、もどかしさを伝える言葉なのです。「(ったく、忙しいって言ってるのにわからないの?)なので、予定が立てられなくって」というニュアンスです。舌打ちをしながら伝える言葉ですね。「なーのーでー!」と伸ばしながら言ってみると、よくわかると思います。「まだわかんないの!?」というニュアンスです。同じように「だから」を接頭語として使うのもやめるべきです。
(3)「そうなんですね」
「そうなんですね」のことを私は「無感動相槌言葉」と呼んでいます。「そうなんですね」には、「そうなんですね、知ってましたよ、そんなこと」「別の人から聞いてました。そうなんですね、はいはい」という「受け流す」「相手を軽んじる」ニュアンスが含まれています。つまり、相手の言葉をスルーするための相槌なのです。「その話、もう結構です」と言う「打ち切りの合図」とも言えるでしょう。
ファミリーレストランで、ウェイトレスさんがコーヒーポットを持ちながら、「お客様、コーヒーは大丈夫ですか?」と言って回る。これは「コーヒーはいかがですか?」という意味です。客の側は、コーヒーが不要な場合、このように答えます。「ええ、大丈夫です」つまり、ここでの「大丈夫」は、「軽い遠慮や辞退、拒否」、すなわち「結構です」「いらない」を表しています。
感想など
以上、『会話のしくじり』から、間違った用法などで会話をしくじっている例をピックアップしてみました。
いかがだったでしょうか、あなたも間違って使っている例があったのではないでしょうか。
恥ずかしいのですが、実は僕も「流れに棹さす」の意味を最近まで逆に理解していました。
流れに乗っている上に竿を挿してさらに加速する、つまり「さらに勢いを増す」という意味が本来の使い方です。
ブログで情報発信を目指すものの端くれとして言葉には敏感でいることを心がけていますが、本当に日本語って難しいですね。
しかし難しいからといって間違っていいわけではありません。
ことその使用場面が上司とであったり、大切な取引、お客様との対話の中でだと、一歩間違えると取り返しのつかないことになる場合もあるでしょう。
では僕たちはどうしたらいいのか。
著者の梶原しげる氏はプロのアナウンサー。
仕事柄、言葉の間違いは許されません。
そんな言葉のプロフェッショナルが先輩アナウンサーからいわれたのが、
「迷ったときは辞書を見ろ」
だったそうです。
たぶん僕たちにとってもこれが一番いい解決方法でしょうね。
最近はスマホに辞書アプリを入れて持ち歩けますし、ネット上の辞書も使うことができます。
音声検索で簡単に入力もできますから、ちょっとでも迷ったら辞書をひく、検索するというのを習慣化するといいでしょう。
もうひとつ日本語で難しいのが敬語。
僕も正確に使えている自信はありません。
また、特に今の若い人は「バイト敬語」が先にインプットされてしまって、何が正しい敬語なのか判断が難しいという状態になっている人も多いと思います。
敬語に関しては今までの知識は一旦リセットして、専門に解説してくれている本を一冊読み込むといった”勉強”をするのがいいと思います。
言葉はその人自身や、その人が所属する組織や団体のレベルを表します。
まずは本書でしくじっていないか確認してみましょう。
本書後半はコミュニケーション術に関する記述も充実しています。
本書はSBクリエイティブ様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
はじめに
第1章 誰にでもある「しくじる人の話し方」
第2章 物の言い方でしくじらないために
第3章 論理性に欠ける人はしくじっている
第4章 しくじり回避のための7カ条
終章 会話は最後まで演じきれ
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