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もし京都が東京だったらマップの納得ポイント、京都って多様でミニマムで面白い!

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

いつもビジネス書のを紹介している当ブログですが、今日はちょっと変わった本をご紹介。

これ絶対ハマる人はハマる本です。
岸本千佳さんが京都を東京都比較して、「京都の◯◯町は、東京で言うと◯◯」というのをまとめた『もし京都が東京だったらマップ』 です。

まずは本書で紹介されている例から、僕自身が京都も東京も言ったことがある街(場所、施設)で、「そうそう、そうだよな」と膝を打ったものをピックアップしてご紹介します。

 

もし京都が東京だったらマップの納得ポイント

★烏丸×丸の内 ランチ戦争勃発中のオフィス街

 

 ここは京都随一のオフィス街、四条烏丸。御池通から四条通にかけて高層ビルが立ち並びます。東京だと丸の内以外にも新宿、新橋、大崎とオフィス街が点在していますが、京都では、この四条烏丸にほぼ一極集中しているのです。メインである四条烏丸の交差点には、都市銀行や高感度OL向けの商業ビル「LAQUE四条烏丸」と「COCONKARASUMA」、オフィスビルの狭間には飲食店の入る雑居ビルが勢揃い。ここで働く人にとっては、打ち合わせも飲み会もすませられる、非常に効率のいい街なのでしょう。

 
 
 東京で烏丸と似ているのが丸の内といえます。丸の内は皇居と東京駅に囲まれた。丸の内も烏丸と同じく、明治以前は武家屋敷が並ぶ場所でした。しかし明治維新以降は官有地となり、三菱財閥が買い手のなかった土地を購入します。三菱は戦後には煉瓦造の建物を建設し、その後も三菱グループの本社が集中して建てられ、現在も高級ブランドショップや飲食店を誘致するなど、三菱主導の再開発がなされています。

★叡山電鉄沿線× JR中央線沿線 一度住んだら抜けられない文化のるつぼ

 叡山電鉄(略して叡電)とJR中央線は駅の規模も距離もまったく異なるため、両者を比較するには無理があるのですが、中央線沿線が好きな人は、きっと叡電沿線が好きだと思います。ひとことでいってしまえばサブカルの街。ただ、サブカルとはいえ、オタク的な感じではなく、文化やアートの要素が色濃いのが特徴です。
 中央線は若者から中年層にかけて住居としてのニーズが高く、中央線沿線でしか引っ越さない人も多いくらい、東京内では一目置かれた存在です。
 叡電沿いも京都の中ではある種のカリスマ性があります。セレクトが秀逸で有名な書店「恵文社一乗寺店」があり、左京区内ではアート系のイベントもさかんです。飽きない魅力があるので、叡電界隈で引越しを繰り返す人も多いのです。

★岡崎×上野 非日常に誘う文化施設群

 
 岡崎といえば、大規模な文化施設群の街です。美術館が2つに動物園やコンサートホール、図書館に催事場と、これだけ集中して大規模な公共施設だけが並んでいるエリアは、全国的にもめずらしいのではないでしょうか。
 小さな建物の単位で構成される京都の街からは、どこかスケールアウトしていて(ランドマークである平安神宮の大鳥居もスケールアウトの代表格)、非日常的な雰囲気を醸し出しています。
 
 
 上野駅周辺も、動物園や美術館や博物館などの文化施設が集中しているエリアです。上野恩賜公園は文化の森という側面があり、大道芸が楽器演奏もさかんな公園です。もともとこの公園は戦争で焼けた寛永寺の跡地にできました。
 東京文化会館の前には広く、まさに京都会館のピロティーと隣の広場を合わせたような機能をなしています。会館に用事がある人も、ない人も、広い空間の中で数人が固まって思い想いの時間を過ごす。その休日の平和な姿は似たものがあります。

★京都駅×品川駅 じつは都市の中心ではなく交通拠点

 普通に考えると、京都駅は東京駅に当てはめたくなります。しかし、京都人の心の中心に京都駅は存在していないのが現実です。
 京都の中心は、京都駅より北に歩いて30分ほどかかる四条河原町から四条烏丸のあたり。会社で仕事をしたり、飲んだり、買い物をしたり、大多数の人が四条周辺を基軸に生活しており、京都駅は日常生活のエリア外と化しています。
 そのため、京都の人の中では、京都駅は新幹線か電車の乗り継ぎでしか使わないという認識が一般的です。これは意外にも東京の人には知られていない事実かもしれません。
 京都で東京駅的なところとなると難しいのですが、官公庁や大企業の中枢でもないことから、少なくとも京都駅は東京駅というよりは品川駅に近いと言えるでしょう。

★新京極×竹下通り、河原町〜烏丸×渋谷〜裏渋谷 賑やかな街からディープな裏通りへのグラデーション

 
 
 新京極といえば、ティーンの遊び場。京都の人の共通認識です。河原町通から烏丸通のほうに向かって西に進むほど、徐々に洋服屋さんも飲食店も、大人っぽい店が増えていきます。
 まさに渋谷のセンター街から裏渋谷へと進むときの印象に近いものがあります。スイーツやファストファッション、ゲームセンターは河原町通〜新京極通に集約されていて、あまりほかの通りでは見かけません。
 
 
 原宿の竹下通りもよく似ており、ティーンのメッカとなっています。
 アイドルショップやファッション雑貨までは同じですが、竹下通りは日本中の10代の憧れを一身に背負いているため、朝の情報番組で話題になるようなスイーツショップや未来のアイドルのためのステージ、芸能界にスカウトされるなど、竹下通りの存在意義はずいぶん大きいかもしれません。時折、この賑わいをずっと見てきたような老舗のクレープ屋さんがあるのも新京極に近いものがあります。
 
 河原町通はやはり渋谷に近く、10代の若者だけではなく、多様な世代の人であふれていて、カラオケやホーリングなどの遊戯施設もこのあたりに集中しています。
 河原町通から烏丸通までは徒歩で20分ほどかかりますが、賑やかな若い雰囲気から落ち着いた大人の過ごす雰囲気へと、見事にグラデーションのように変わっていきます。
 
 
 そのグラデーション感は、渋谷のスクランブル交差点からセンター街を抜け、西武やパルコを越えると裏渋谷にたどり着くコースに似ています。ちなみに、裏渋谷はレコードショップや個人書店、小さな映画館やビストロと、個性的な小さな店がたくさん集まる渋谷の隠れ家で、私も大好きな場所でした。

感想

著者の岸本千佳さんは不動産プランナーをされている方。
その仕事のなかで、「京都の◯◯地域は東京でいうと◯◯といった感じの場所」と作っていったのが「もし京都が東京だったらマップ」だったとか。

ご自身のブログで公開して、じわじわと話題になり、本書の出版につながったそうです。

本書の巻頭に本書刊行の目的として

  1. 京都への移住を検討している人へ
  2. 京都観光に何度も来ていて、飽き気味の旅行者へ
  3. 京都以外に住んでいる人に、京都の説明をしたい人へ
  4. 京都から出たことがない生粋の京都人へ
  5. 移住促進を進める全国の行政マンへ
とあって、このなかでも特に東京の人に京都を説明する時にこの方法は有効だと感じました。

本書に掲載されいてる「もし京都が東京だったらマップ」はこんな感じ(こちらのサイトでダウンロードできます)


▲全域


▲京都中心部

僕自身、京都に住んだことはありませんが、学生時代を大阪で過ごしたため、京都へはちょくちょく社寺仏閣や博物館や美術館に行ったり、友人と飲みに行ったりした思い出深い町です。

酔っ払って鴨川に入ってバシャバシャしたこともあります(笑)。

今回そういった思い出を懐かしく思いつつ読ませていただいたなのですが、「そうそう、そうだよな」とすごく納得感のあった比較に出会いなにか楽しくなりました。

たとえば京都駅の存在。

大阪から京都に遊びに行くのにまずJRは使わないんですよね。
阪急か京阪か。

本書でいうようにJR京都駅って残念ながら「なんでこんなことろにあるの?」って思うぐらい中心部(四条河原町周辺)から離れているんですよ。

この状態を「品川駅」と資格したのは言い得て妙。
抜群の着眼点だと思います。
おそらく東京の方が京都に行く場合、ほぼ確実に京都駅を使うので、この感覚は案外わからないでしょうね。

それから上記にはピックアップしませんでしたが、「嵐山」と「鎌倉」の比較。
東京の方がセカンドハウスを持つ、あるいはリタイア後の住まいとして憧れる場所の代表格が「鎌倉」だと思いますが、京都の人にとって同じような存在が「嵐山」なんですよね。
これも言い得て妙でした。

さて、「もし京都が東京だったらマップ」を見ていて気がついたことがありました。
それはいつも上京すると思うことと関連しているのですが、あらためて言うのもなんですが、東京って広いんですよね。

東京には個性的な街がたくさん存在しています。
ですが、物理的に広いのですごく分散しているのです。

それでいつも上京したときに目的地から目的地への「移動の時間が長いなぁ」と感じてしまいます。
公共交通機関が発達しているからか、あるいは「こんなもんだと」普通になっているのか東京の人は感じないようですが、「移動時間がもったいないなぁ」といつも思っていしまうのですよね。

しかし、本書の「もし京都が東京だったらマップ」を見てください、めちゃめちゃコンパクト。
あの生活の中心から離れているJR京都駅だって、四条河原町まで3、40分歩けばいける範囲なのです。

そしてそこには「丸の内」「渋谷・裏渋谷」「神楽坂」「銀座」、ちょっと歩けば「上野」と東京では分散している街がギュッと固まっています。

いやぁ、京都って面白いですね。

また、著者は「京都移住計画」の不動産担当もされて糸のことで、本書後半には移住関連の記載もありますし、京都移住を考えている方にはとても参考になる本でもあります。

「京都に住んでみようかな」という方も、もっとディープな京都を知りたいという方も楽しめる一冊。
きっともっと京都を好きになります。

本書はイースト・プレス社様から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに 「京都=神楽坂」という誤解
第1章 「もう京都が東京だったらマップ」をつくった理由
第2章 京都×東京を徹底比較!街歩きが10倍楽しくなるマップの読み方
第3章 京都は「暮らす」目線で見るとおもしろい
第4章 巻末特別対談 三浦展×岸本千佳 「街歩きの達人」と語る京都の魅力
おわりに 「相性のいい街」を探す旅

関連書籍

本書後半で著者と対談している三浦展さんの著書をご紹介。

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