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部下とのコミュニケーション不足を解消するプレイングマネジャーのための6つのアナログメソット

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

部下を育てつつリーダーシップを取ってチームを率いて結果を出し、自分の仕事も達成するプレイングマネジャーはあまりにも求められるものが多く、悩みが尽きないポジションだと思います。

その最大の悩みのひとつが、部下とのコミュニケーションでしょう。
そこで、今回は田島弓子さんの『プレイングマネジャーの戦略ノート術』 からコミュニケーション不足を解消する方法をご紹介しようと思います。

マイクロソフトの営業部長としてチームを率いた自らの体験から生み出したそのメソッドは意外にもアナログなもので、誰でもすぐに取り入れられるものだったのでした。

部下とのコミュニケーション不足を解消するプレイングマネジャーのためのアナログメソッドのポイント

★メールの送りっぱなしは「情報伝」まででストップした行為、部下に「達して」いない

 上司からの一方的なデジタル・コミニケーションは部下にとって「爆弾」のようなもの。結果、「反論こそしないけれど、納得していない」といった、よどんだ空気をチームに蔓延させる原因になりうることを、私自身、何度も経験してきました。
それをカバーしてくれたのが、アナログ的アプローチでのフォローだったのです。
例えば全員に送った指示メールをプリントアウトして、チームミーティングの際に配布する。
絶対に読み間違えてほしくないところににはピンクのマーカーを引き、さらに補足のメモをつける。部下一人ひとりの表情を読み取り、全員が腹落ちできているか確認しながら説明する・・・このようなことを、私は実践していました。

★手帳はオープンにし、仕事の「なぜ」を部下に伝える

 私がプレイングマネジャー時代に愛用していたのは、A5サイズのスケジュール帳でした。
 アナログであることが重要ポイントは、リング綴じだということ。なぜならパタッと180度に開いた状態で置けるからです。それは常に今週のページが見開きの状態で私のデスクに置かれていました。そしていつ、誰に見られても大丈夫なものになっていました。つまり、この手帳の目的は「ガラス張りの見せびらかし手帳」だったのです。
 上司のスケジュールは部下に対し基本的にオープンであるべき。チームで成果を出すために、自分の情報はできる限り共有しようと心がけていたのは次の理由からでした。
・自分のスケジュール帳をオープンにすることで、部下に情報収集のための「リソース」として活用してもらう。
・それを踏まえて見てほしい情報は確信犯的に書き込み、「見せるマネジメント」を心がける
「なぜ」がない指示では、部下のモチベーションは上がりませんし、間違ったやり方で仕事を進めてしまうおそれもありました。それを防ぐためにも、「なぜ」を共有することが、部下にとっての重要な「情報」なのです。

★書類に手書きで命を吹き込む

 果たすべきは、ただ単に情報共有するだけではなく、それを部下が正しく理解し、納得してその仕事に取り組めるようにすること。
 データ作成に注力するのではなく、数字の裏側にあるストーリーを伝えたり、目標の意味を理解してもらうためのコメントを添えたりといった、コミニケーション上の工夫こそが、プレイングマネージャーがやるべき仕事なのです。
 そこで実践したのが、手書きで資料に命を吹き込むひと手間でした。
 ◯で囲んだり、余白に手書きで捕捉したり、注目してほしい数字にマーカーを引いたり、付箋で追加情報を付け足したり。
 このひと手間をかけることで無機質なデータに「思い」が入ります。部下に対して「上司の意図や意志が伝わる書類」となるのです。手書きのコメントで上司の「熱意」が伝わる、と言っても過言ではありません。
 デジタルデータに溢れた書類や資料の中で、手書きのメモやコメントは想像以上の存在感を発揮してくれるでしょう。

★顔が見えなきゃ、付箋で会話すればいい

 例えば、部下や上司が不在のときに資料やプリントを机の上に置いておく場合、「コメントを書き添えた付箋を貼る」を鉄則にしていました。
 初めて見る資料に添えられた手書きのメッセージを無視する人はほぼいません。
 資料は適当に流す人でも、付箋だけは読むのです。だからこそ(付箋を)使い倒す価値があります。極論すれば、資料に「必ず読んでね!」の付箋を添えるだけでも、その効果は絶大です。
 付箋+手書きのよさは、さりげないけれど心がこもったコミニケーションができること。カジュアルだからこそ、逆に思いが伝わるような気がします。
・部下からの提出物をチェックし、不在の部下に返す際には
「ありがとう!」の一言書いた付箋を添える。
・部下からの付箋にちょい足しでお返しする際には
「田島さん、コピー取っておきました」という付箋つきで資料が置かれていたら、その付箋の「田島さん」を消し、「〇〇さん、ありがとう」と上書きして、付箋だけ部下の机に戻しておく。
 付箋を介した小さな「上司からのねぎらい」に、部下はちょっとした達成感を覚えるはずです。
 さらに、手書きの付箋は、上司からの「あなたがやってくれた仕事はちゃんと見ていますよ」というメッセージとして伝わります。

★上司は議事録をまとめる書記役に徹する

 このシチュエーションで試していただきたいのは役割分担。会議の進行は部下に任せて、上司は議事録をまとめる書記役に徹することです。
 本来ならば部下が書記を務めるべきところ、上司が書記役になると、どうなるでしょうか。話の要点をホワイトボードに書いていき、それを部下に確認させることで、お互いに意思の疎通ができているか、確認することができます。
 そしてホワイトボードが有効なのは、なかなか議論が発展しにくいテーマのとき。真正面から向き合うと部下は緊張してしまいます。
 しかし、「部下の斜め前で背中を向けてホワイトボードに向かう上司」の姿はプレッシャーを与えません。
「そこ、間違っているんじゃないの」と言う指摘は、Face to Face の直球だと、部下にはキツく感じます。しかしホワイトボードに書かれた文字を見ながら、「私が書いたこの部分は、この理解でいいのかな?」と部下にたずねる進め方は、部下ではなく、「ホワイトボードに自分が書いた文字」を指摘していることになるので、部下が受ける印象は全く変わります。ホワイトボードが緩衝材になり、「一緒にこのボードを仕上げていこう」と共同作業にのように問題に立ち向かえるので、お互いに率直に話がしやすくなるのです。

★行動予定をホワイトボードで話すきっかけをつかむ

 私は、(行動予定)ホワイトボードに向かっている部下を見つけたら、内容確認して、すかさず声をかけるようにしていました。
「A社に行くんだ?〇〇さんによろしく」
「B社、あの件の詰めだったよね。しっかりね」
 特に話すことがなくても構いません。「暑いけどがんばって行ってきて」とか、「ひと雨来そうだから気をつけてね」でもいいのです。
 メールを送ってもなかなか返信してくれないような部下だとしても、ホワイトボードに向かっているときに声をかけられたのであれば、さすがに無視するわけにはいかないはず。一言二言のリアクションはあるでしょう。
 帰社して、ホワイトボードを消す瞬間も、声をかける絶好のタイミングです。
「おかえりなさい〜。どうだった?」
たったこれだけで、報告を促すこともできるのです。

感想など

◆「手書き」には思いが伝わる

いかがだったでしょうか。
コミュニケーション不足を解消する35の方法から6つほどアナログメソッドを紹介しました。

実は、本書巻頭部分で著者の田島弓子さんは、本書ではツールの使い方の紹介が目的ではなく、

 マネジャー視点に立ってツールの使い方を変えることで、マネジメントのやり方を身につけることが本書のゴールです。

とおっしゃっていますが、あまりにも目からウロコの連続だったので、そのテクニックに目が行ってしまうのは致し方ないことかと(特に見せびらかし手帳には驚いた!)。

しかも、マイクロソフトに勤められていた田島さんがマネジメントに使うツールが

  • A5サイズの手帳
  • 白い紙やノート
  • ホワイトボード
  • 付箋
といった、どこの会社にもある「アナログツール」だったということもすごく意外。
そしてさらにいえば、この本で紹介されているメソッドのどれもが自分自身の経験からも腹落ちするのです。

まず、本書で田島さんが経験から到達された

「デジタルだけではマネジメントできない」
という考えにすごく共感します。

本書に

人を動かして結果を出すマネジメントとは、デジタル処理された情報にアナログで命を吹き込むというような緻密さと繊細さが求められる仕事

という一節がありますが、

僕もプレイングマネジャー的な働き方の経験がありますが、ごく簡単な指示でもメールやワードで作成して印刷した紙ベースの資料ではなかなか伝わらないことが度々ありました。

「命」が吹き込まれていなかったのですね。

結果、ミーティングの時間が無駄になったり、さらに時間をさいて対面で説明を何度も繰り返すといった2度手間3度手間が必要になったことも度々でした。

人に伝えること、人を動かすことの難しさをひしひしと感じたものです。

僕の場合、対面で話す時間を増やすこと、根回しをしっかりするかなり時間と労力のかかる割りとマッチョな方法で乗りきましたが、本書で紹介されているようなアナログな一手間を加える方法があったのかと驚いています。

さて、本書で紹介されているコミュニケーションメソッドのキーとなるのは言うまでもなく「手書き」でしょう。

僕も

手書きにはそこに書かれている文字が意味すること以外に伝えるものがある
と感じています。

確かに付箋一枚のメモでも、ほんの数文字の言葉が思いを伝えますよね。
特にそれが上司からのねぎらいの言葉だったりすると、普段嫌な上司でも嬉しいものです。

また、鬼軍曹のような上司で、絶対優しい言葉などいいそうにない方が付箋メモで「ありがとう」とか「感謝している」なんて手書きでいただいたら普段からのギャップでよけいに嬉しいんじゃないでしょうか。

また、おそらくこういった「ちょっとした一手間」をしている男性上司って少ないと思うのです。
実際、僕がこれまで仕えてきた上司を思い返しても、こういった一手間を加える人は女性の上司だけでした。
ということは一つ実行してみるだけでも、「おっ、この上司違う!」と思われるはずです。

本書で紹介されているメソッドはどれも今すぐ真似できるものばかり。
しかもいくつかのテンプレートも用意されています。

どうも部下とのコミュニケーションがうまくいかないとお悩みのプレイングマネジャーの皆さん。
ぜひ一読してみてください。

ちなみに、「自分の仕事をする時間が足りない」といった悩みをお持ちの方にも解決方法が示されています。

プレイングマネジャー必読の一冊です。

本書はダイヤモンド社、和田様から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに ノート、手帳、ホワイトボードetc. 「アナログ」でプレイングマネジャーの仕事に革命が起こる!
第1章 ツールの使い方を変えることで、仕事のやり方を変える
第2章 手帳を仕事の「司令塔」にする
第3章 「コミュニケーション」がスムーズになるメモ術
第4章 多忙なマネジャーを助ける、自分のためのノート術
おわりに
巻末付録 この本で紹介したプレイングマネジャーの仕事が変わる[テンプレート集]

関連書籍

田島弓子さんの既刊本。合わせてお読みください。

本書で紹介されている田島さんが参考にしたノート術の本

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