こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。
「働き方」は今の日本が抱える課題の一つですが、その改革は遅々として進まないですね。
ブラック企業や過労死の問題があって、一応政府も対策に乗り出していますが、どうも財界とつながっているわけで骨抜き状態と言われても仕方ないような状態。
で、ここは一度外国に目を向けて参考にしてみるのがいいと思います。
今日ご紹介するのは、熊谷徹(著)『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』です。
帯にあるように、ドイツは1年の4割働かなくても経済が絶好調。
有給消化率100%。
夏休みは2週間以上。
仕事の生産性は日本の1.5倍なのだそうです。
一体どんな労働環境なのか。
では早速、ドイツの労働について気になるポイントの読書メモをシェア!
読書メモ
★1日10時間を超えて働いてはならない
象徴的なのは、1日10時間を超える労働が禁止されていること。月平均の残業の上限ではなく、毎日10時間を超えて働いてはいけないのである。
1日の労働は10時間まで許されているが、6ヶ月間の平均労働時間は1日8時間以下にしなくてはならない。この上限についての例外は、一部の職種を除けば、あり得ない。
★日曜・祝日の労働も法律で禁止
ドイツでは、日曜・祝日の労働を法律で禁止している。
小売店の営業を定めた「閉店法」でも、労働者保護のために日曜・祝日の営業を原則禁止。ドイツでは、駅・空港、ガソリンスタンド、一部のパン屋などの例外を除けば、日曜・祝日に店は営業していないのだ。
★最低24日間の有給休暇
年次有給休暇は、最低24日与えることを法律で義務つけている。実際には、これを上回る年30日の有給休暇を認めるドイツ企業がほとんどであり、33日間を認める企業もある。残業時間を年10日まで代休に振り替えられる企業も多い。
業務をカバーしてくれる人がいれば、いつでも2週間以上の長期休暇がとれる。
★「ワーキング・タイム・アカウント」
ドイツでは「ワーキング・タイム・アカウント」(労働時間貯蓄口座)というものが労働者全体の約6割に普及しており、残業時間を銀行口座のように貯めて、有給休暇などに振り替えられる。この口座がプラスであるかぎり、好きな時刻に出社し、好きな時刻に帰ることができる。
★最高1万5000ユーロ(180万円)の罰金
ドイツでは「事業所監督局」(Gewerbeaufsicht)という役所が労働時間や労働環境厳しく監視しており、抜き打ち検査も行われている。
組織的に1日10時間を超えて働かせていることが判明した場合、事業所監督局から最高1万5000ユーロ(180万円)の罰金を科されてしまう(会社ではなく管理職個人が払わされることもある)。
最高1万5000ユーロの罰金をポケットマネーで払わされるというリスクは、”かなりの抑止力”となる。しかも、「部下の勤務時間をきちんと管理できない」と勤務評定も悪化し、出世の道が断たれる可能性さえある。
★超長期休暇「サバティカル」で1年休む
サバティカルとは、もともと大学教授が外国で長期にわたって研究をしたり、本や論文を書いたりするための制度である。ドイツでは以前から中央官庁に導入されていたが、ここ数年間で民間企業にも広がってきた。
ドイツでサバティカルを導入している企業の割合は、2017年時点では約5%とまだ少いが、増加傾向にある。
企業はサバティカルを終えた社員が、同じ仕事に復職できることを約束しなければならない。
感想
感想としてはまず、「ドイツで働きたい」ですな。
いやもう羨ましいの一言です。
電通の過労自殺の問題以後、政府もようやく働き方改革に力を入れ始めましたが、ここで日本の改革案を確認してみましょう。
まず、おさえておきたいのが過労死を誘発する過重労働の目安。
「発症前1ヶ月の時間外労働が100時間、発症前2ヶ月ないし6ヶ月にわたって、1ヶ月あたりおおむね80時間を超える場合、業務と発症の関連性が認められる」
で、今登場している政府の「働き方改革実行計画」での残業時間の上限を見てみると、
(1)年720時間以内(月平均60時間)
(2)月45時間超は年6回まで
(3)2〜6ヶ月は平均80時間以内
(4)極めて忙しい1ヶ月の上限100時間未満
いかに甘いかおわかりになると思います。
経済界と密接につながっている政府にまともな働き方改革など期待するが間違っている。
とるべき道は労働者が、例えば本書などから外国の制度を学んで、声を上げていくことでしょう。
先日紹介しした『武士道』を読んで感じたのですが、滅私奉公は我々日本人の美徳であることは間違いないです。
ですが、どうも悪い方にも足かせになっているような気がしてなりません。
日本はもう先進国の中で、一人あたりの生産性は高くありません。
残業で頑張ればなんとかなる時代は明らかに終わりました。
このあたりで政府には大鉈を振るってほしいところです。
そのためにはまず、僕ら労働者もどんな働き方があるのか知る必要があるでしょう。
一つの参考としてぜひ。
本書はSBクリエイティブ様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
目次
序章 日本の働き方は改革できるのか?
第1章 なぜドイツは残業なしでも経済大国なのか?
第2章 国による厳しい監視が必要
第3章 残業よりも早い帰宅を評価する
第4章 ドイツの仕事は個人でなく会社につく
第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現
第6章 日本でも働き方の意識改革が必要だ
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