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澁澤龍彦(著)『快楽主義の哲学』文春文庫【本の紹介】我が道を進もうとする人の心の支えとなる一冊

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こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。

好きなことをして生きていきたい。
だれしもそう考えることがあると思います。

僕もそういう生き方を目指しているのですが、今日ご紹介するのは志を同じくする同志諸君にオススメの一冊。

澁澤龍彦(著)『快楽主義の哲学』文春文庫です。

なぜ「幸福」ではなく「快楽」なのか。
最初はどちらも同じではないかと思ったのですが、読み込んでいくうちに「快楽」というキーワードが「好きなことをして生きていく」人たちの価値観にピタッとハマることに気が付きました。

では早速、記になる「快楽主義」のポイントを読書メモしたのでシェア!

『快楽主義の哲学』読書メモ

・人生に目的がなければ、覚悟をきめて、自分で作り出せばいいのです。ケツをまくって、この人生に居直ってやればよい。といっても、それはべつにむずかしいことではない。人間は、それぞれ自分の生活から何を要求し、生活のなかで、どういうことを実現したいと望んでいるか、ーーーこう考えれば、答えはあきらかです。

・まず第一に、幸福は主観的なものだが、快楽は客観的なものだということがあります。さきほど、わたしは「快楽とは感覚に根ざしたものであって、万人に共通のものだ。」といいましたが、幸福には、残念ながら、そのような万人に共通な基準は見当たらないのです。

・快楽とは瞬間的なものであり、幸福とは持続的なものである、といえるかもしれません。これが第二の相違点です。

・アンドレ・ジイドが、うまいことをいっています。「おのれ自身を知れ。この金言は、有害であるとともに醜悪でもある。自分自身をよく知ろうと苦心する毛虫は、いつになっても蝶にはならないはずだ。」と。

・雨や風のような自然現象に対する場合ばかりでなく、怒りとか、悲しみとか、嫉妬とかのような人間的感情に対しても、修練をつんだエピキュリアン(快楽主義者)は、自由に自分の態度や気分をリラックスすることができます。

・けっきょく、人間にとっていちばんの大敵は、わたしたちが頭の中でつくりあげる空想だ、ということになります。

・どうすれば、このような労働嫌悪の風潮を逆転させ、「いやな労働」から「魅力ある労働」の可能性へと転化することができるか。ーーーこれは、一種のユートピア論議には違いありませんが、やはり、人間のエロス的な力の解放、性感帯の拡大に求めるしかないと思います。そして、快楽主義の究極の目標も、ここ以外にはないと思うのです。

・ヒューマニズムのお説教する大学教授や評論家先生は、保険会社のイデオローグ(つまり外交員)と同じで、生命こそ人間のギリギリの財産だという迷信をふりまいていますが、こもは信用いたしかねる。なぜなら、生きるということ自体が、これを自然のエロス的活動としてみた場合、絶えざる生の消費、絶えざる「小さな死」の連続にほかならないからです。
迷信にだまされて、大切な自分の死を資本家連中に預けてしまってはなりません。自分の死をジブンノ手に握ること、そして自分の死を誰にも譲り渡すまいと堅く決意すること、ーーーこれが、かつて魂の科学を作り出そうと悪戦苦闘した人たちの、それぞれの決意であり、同時にまた、私のおすすめする反人間主義的な快楽主義の根本原理でもあるのです。

・まず第一に、労働とか生産とか勤勉とかを尊重する原理から、遊びとか消費とか瞑想とかを尊重する原理へと、今後、わたしたちの頭を切り替える必要があるということ。
第二には、与えられるレジャーのちっぽけなイメージに、目をくらまされてはならないということ。
人間の本質的機能を、「ホモ・ルーデンス」(遊ぶ人)として示したのは、有名なオランダの歴史家ホイジンガですが、ーーー人間が労働の鉄鎖を引きちぎって、子どもや動物と同じように、いつでも遊んでいるような存在にならなければ、真の意味で、社会や文明が進歩したということにはならないのだ、とわたしは考えるものです。このことは、何度でも繰り返して主張しておきたい。

感想

本書の存在を知ったのは里中李生さんのコチラの本でした。

「孤独」の読書術 (君が1年後、急成長する25の本の読み方)

里中さんご自身も「我が道を行く」代表的な作家さんで、僕のあこがれの一人ですが、その里中さんが大絶賛し、何度も読み込んだということなので僕も読んでみました。

働き方改革が叫ばれ、若い人を中心にこれまでの価値観とは違った働き方を模索する人たちも表れる昨今、多くの方が現代の「働き方」に疑問を持ちつつ結局は古い慣習や資本主義的枠組みのなかでもがいている状態だといえます。

もうすでに「こんな働き方はおかしい」「もっと人間らしい生き方があるんじゃないか」と頭ではわかっているんですよね。

でも、そこから一歩踏み出す勇気がなかなか持てない。

そういった人たちに、「自分の価値観は間違っていない」という精神的な拠り所となり得るのが本書だと思います。

ただ、その道は険しい。

特に第6章では「あなたも、快楽主義者になれる」として、快楽主義者になるための方法論、精神論を展開されていますが、「一匹オオカミを辞さぬこと」「誤解を恐れないこと」と言った言葉が並んでいるように、人と違った道を歩む覚悟が求められています。

これ、すごく不安なことだと思いますが、そんな孤独な旅人の心の支えとなるのが本書。
これから我が道を行くという人は、懐に一冊忍ばせておきたい本ですね。

目次

第一章 幸福より、快楽を
第二章 快楽を拒む、けちくさい思想
第三章 快楽主義とは、何か
第四章 性的快楽の研究
第五章 快楽主義の巨人たち
第六章 あなたも、快楽主義者になれる

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中央公論新社
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