こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。
今日ご紹介するのは、さかはらあつし(著)『小さくても勝てます』(ダイヤモンド社)です。
この本、
西新宿の理髪店「ザンギリ」を舞台に、若い経営者の大平法正と映画監督で元経営コンサルタントの役仁立三が経営改革をしていく物語。
非常に厳しい理髪業界において、さまざまなアドバイスとアイデアで9年の歳月をかけて「ザンギリ」は小さな理髪店ではありながら勝ち組へと変わっていきます。
小説仕立てとなっていて、関西弁の立三は、『夢をかなえるゾウ』のガネーシャを彷彿とさせるキャラですが、今回はその立三の台詞から気になるポイントをピックアップしました。
では早速、読書メモをシェア!
『小さくても勝てます』読書メモ
★非合理的に決めた志を、合理的に追いかける
「非合理的に決めた志を、合理的に追いかけた者だけが、志を達成するんや」
「合理的に志を立てるというのは、理屈で志を立てること。非合理的に志を立てるというのは、理屈抜きで『これやりたい』と志を立てること。わかるか?」
「で、非合理的に追いかけるとは、何も考えんと『ただ頑張る』ということ。合理的に追いかけるとは『何をどう頑張るか』をよく考えて志を追いかけることや」
「理屈で考えて合理的に決めた志なんて、ちょっとしたことですぐ崩れてしまうんや。例えば、今流行っているからというだけでラーメン店を始め、おにぎりショップが流行りだすとすぐ乗り換えるようなヤツは、ものにならん。つまりな、儲かるからという理由だけで始めたことは、儲からなくなるとやめてしまうんや。でも、ホンマに成功したいヤツは、どうしたら儲からるかを死ぬ気で考えて、やり方を見つけて、そのやり方を徹底して、最後には成功する」
★ビジネスは「構造」「制約」「仕組み」で理解する
「ビジネスも『構造』『制約』『仕組み』で理解すると、チャンスが見えてくる」
「それがわかったら、自分が今、何をしているのかをしっかり理解できる」
★成功してもメモを取り続ける
「あとな、何の話を聞いてもメモを取れ。取って、取って、取りまくれ。成功するまでメモを取りまくっていた人が、メモを取らなくなってから経営がうまくいかなくったった、という話は一杯ある。メモをとっている間は大丈夫や。たとえ成功しても、メモを取り続けるんや」
★一気に燃え上がるところまで続ける
「あのな。物事はな、何でも続けるんが大事なんや。空手家が巻藁を拳で叩き続けていたら、しだいに拳に肉が付き、叩いた時のパチン、パチンという音がある日、パコン、パコンという音に変わるように、突然、力がつき始めるんや」
「こういうのをな、〈クリティカルマス〉、日本語で〈臨界質量〉っていうんや」
「わかりやすく言うと、最初は全然アカンけど、あるところまで行ったら一気に燃え上がる。そういう値があるんや。そこまでは絶対に続けなあかんのや」
★何に集中し、どの順番でやるかを決める
「経営というのは結局、何に集中し、どの順番でやるのか。それを決めることが肝心なんや」
★組織は個人の人格の表現にすぎない
「不思議なことに、経営者の資質、人間性、個人のありようというのが、どんだけ大きな組織になっても大切なんや。結局、組織は個人の人格の表現にすぎないんや。だから、もし『予約制』がお客さんのためになると思えば、やったらいし、違うと思えばやらんかったらええんや。どっちにしても君の人格の表現やからな」
「そして、一度決めたことにこだわる必要もない。時代が変われば、環境も変わる。人も変わる。その変化の中で『お客さんのためには何が1番いいんか』『自分らしいのは何か』と考え続けるんやで」
★明確なビジョンを共有する
「ビジネスは、全体のイメージ、構想、つまりビジョンが大切なんや。結局、人間はそこに向かって進んでいくんや。明確なビジョンがスタッフ間で共有されていなければビジネスはうまくいかないんや」
★学びが癖になったら勝ち
「そうや。勉強も一緒やな。学ぶ、インプットするというのは癖になる。癖になったらこっちの勝ちや」
「学ぶことは大切や。好きなことを必死で学んだらいつか必ず花が咲き、あとで活きてくる」
「それは、そんな難しいことではない。結局、いろんなことやっても全部、1つの脳みそ、1つの意識、1つの感情、1つの個性、1つの人生経験やから、みんなつながっている。当たり前言うたら当たり前。普通のことやろ」
「既に得意なことがあればそれを活かすけどな。基本的に人間は、経験であれ、勉強であれ、インプットせな話にならんやろ」
感想
本書では「10の理論戦略」と「15のサービス戦略」、あわせて25の戦略が登場します。
そして、物語の進行に合わせて、「ザンギリ」独特のアイデアがいくつも登場します。
実は、西新宿に「ザンギリ」は実在しており、著者自身も経営コンサルタントということで、本書はどこまでフィクションでどこからが現実の話なのかちょっとわからない部分があります。
ですが、本書で登場する「ザンギリ」のサービスはかなり面白い上に「ああ、そういうのありがたい」と思うものばかりでした。
「メガネ洗浄機」「名刺スキャナー」「靴磨き」など、散髪中にできればとてもありがたいですよね。
それに、散髪後に証明写真を撮るいうのも、本書内ではうまくいっていない例でしたが、いいアイデアだと思います。
こういったアイデアや、そのアイデアを思いつくまでのプロセスも本書の読みどころですのでぜひ実際日本書にあたってみてください。
なお、本書を通じて痛感するのは、経営者の勉強、インプットへの姿勢について、著者が非常に重要視している点でした。
Appleの創業者の一人、スティーブ・ジョブズが「点と点を結ぶ」ということをスピーチで言ったのは有名です。
本書においては経営者が放送大学で学ぶのですが、一見理髪店の経営者に大学の勉強は必要ないですよね。
ですが、ジョブズが言ったように、何が点と点とで結びつくかは、学んでいる時点ではわからないのです。
理髪業界のような狭く、閉塞感がある業界ほど、この他分野のインプットというのがその後の展開の鍵となる。
インプットし続けることの重要性を痛感する一冊でもありました。
本書はダイヤモンド社様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
目次
第1章 戦略的発想で志を追いかける
第2章 ビジネスを理解すればチャンスが見える
第3章 手順を考え、数字で表現する
第4章 自分らしさを発揮できる局面で戦う
第5章 情報発信で追い風をつくる
第6章 ビジョンを共有し、ブランドで約束する
第7章 新しさを取り入れながら、変わり続ける
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