こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。
今日ご紹介するのは氏家健治さんの
『余計なことはやめなさい!: ガトーショコラだけで年商3億円を実現するシェフのスゴイやり方』
です。
商品は1個3000円のガトーショコラのみ。
ネット販売も行わず、店頭販売だけで年商3億円達成するビジネスモデルには、大いに参考にする点があるでしょう。
では早速、気になるポイントの読書メモをシェア!
読書メモ
★本質を見極める
2016年には私はシェフ業からも卒業しました。自分でガトーショコラを作ることをやめたのです。
シェフ業にこだわり続けるのも1つのあり方です。しかし、私にとって「本質」だと考えたことは「と客様に喜んでもらえることと利益を出し続けることを両立させること」。どんなに味にこだわり質にこだわり、上を目指しても、そこで利益を出せなければ、ビジネスでは意味がありません。
本質的なものでないと薄々わかっているのになかなか手放せないもの、手を引く決意ができないもの。そうしたもののほとんどは、業績が落ちることへの恐怖と、周囲からこういうふうに思われたいという、見栄や気遣いに端を発しています。
★4Pのうち3つのPを重点的に見直す
実は、私が手放してきた「余計なもの」とは、4Pのうちプロダクト、プライス、プレイスの3つです。これらを徹底的に見直し、絞り込むことで、もう1つのP、すなわちプロモーションに注力する態勢を整えたのです。
限られた資源を有効に使うために「商売全体をできるだけ研ぎ澄ました上で、世の中に知ってもらう活動に注力する」、この戦略が正解だと私は考えています。
★小さな会社には宣伝活動が9割
小さな会社であればあるほど宣伝活動に力を入れるべし。
これが私の持論です。良い商品であればおのずと人気が高まっていく。品質が良ければじわじわファンはついてくる。もしかしてそんなふうに考えてはいませんか?
はっきり言います。そうした固定観念はいますぐ捨てたほうがいい。いまや商品が高品質であるのは当たり前。物やサービスが良いのは、ヒットのそもそもの前提条件です。まずそこをクリアした上で、知ってもらう努力、つまり宣伝活動が欠かせません。
繰り返しますが、商品が高品質であるのは基本条件。モノが良くないのに広報に力を入れたり、広告を打ったりするのは逆効果。SNS全盛の昨今、マイナス情報はあっという間に拡散されます。高品質を追求する姿勢なくして、宣伝活動で効果を得られることはありません。
「商品は最大の広報」なのです。
★中小企業はトップも宣伝活動に力を入れる時代
いまの時代、シェフや社長が自らプログやSNSをやるのは当たり前。それだけにとどまらず、会社のトップは宣伝活動を部下に任せ、人任せにせず、自ら積極的に取り組むべきだというのが私の考え方です。といっても何から何まで自分でやる必要はありません。総合プロデューサーになるイメージです。
私は毎日SNSのチェックを欠かしません。キーワードでもハッシュタグでもまめに検索をかけています。Googleアナリティクスを活用し、自社のホームページのアクセス状況をもチェックします。
ケンズカフェ東京やガトーショコラがネット上でどのようにつぶやかれ、どう紹介されたのか、自社ホームページにはどんなデバイスや検索キーワードでたどり着いたのか。そういった諸々の情報を毎日チェックしています。そういった情報の蓄積が、宣伝活動のみならず、経営方針に活きるのです。
★エゴサーチとインフルエンサーに注目せよ
適切なSEO(検索エンジン最適化)対策を施したブログやホームページを開設し、画像や文章にも力を注ぎ、SNSでも発信するようになった。次にやるべきことは、エゴサーチです。
エゴサーチとは、自分の名前やハンドルネーム、会社名、店や商品、サービスなどを入れて検索し、それらに対する評価を自ら確認する方法のこと。
エゴサーチから抽出できるのは、自分とは全く利害関係がない赤の他人の声です。自分とはなんの関係もないので、そこから出てくる意見や感想は客観的で容赦がありません。だからこそ価値があります。次の一手につながるヒントの宝庫といっても良いでしょう。
また、ブログやツイッター、インスタグラムなどのネットのメディアでの発信を通じて他者や一般社会に大きな影響力を及ぼすインフルエンサーにも注目しています。
特に注目しているのは、フォロワー数が多く、さらに「いいね!」やコメントの数が多いインフルエンサーです。
影響力のあるインフルエンサーの動向を把握していれば接点を作れるかもしれない。そこから新しいビジネスのチャンスをつかむことができるかもしれない。インフルエンサーの動きには常に敏感でありたいと考えています。
★プロの広報パーソンと契約する
広報活動はプロの力を積極的に借りたほうがいい。
以前は私も自分でせっせとブログを書いていました。SNSでの発信も積極的にやっていました。でも、今はほとんどしていません。なぜなら自分で自分の商品を語っても、世間的な評価がさほど上がらないから。
それよりも、一般メディアに取り上げてもらうほうがインパクトがあり、信頼性が断然高い。良いことだけでなく、多少であれば悪いことであっても書かれないよりはずっといい。知名度アップに有効です。
それを実現するのが「広報のプロ」です。
常勤で雇う必要はありません。お金を出してプロの時間を買い、活動してもらうのです。これまでさまざまな「余計なこと」をやめてきたあなたなら、それくらいのお金は捻出できるはずです。
★宣伝は永遠に必要である
宣伝活動は永遠に必要である、ということです。
広報と広告を両輪と捉え、プロを上手に起用し、「ありえないこと」を実現するために、できるだけ逆張り路線も採用する。
大事なのは継続です。続けていくとアンテナの感度も上がります。そうやって得た感度を駆使して、新しいことを試していく。こうした一連の活動の結果として、ガトーショコラが一般的なツイーツとして認知されたと捉えています。
感想
◆広報・広告といった宣伝活動こそが生き残るための命綱!
本書は以前、当ブログでも紹介した
『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方』 (SB新書)
の続編に当たる本です。
当ブログでの紹介記事:ダントツの商品と戦略的ブランディングが”格”のスパイラル上昇を生む【書評】氏家健治(著)『1つ3000円のガトーショコラが跳ぶように売れるワケ』SBクリエイティブ
この紹介記事でも書きましたが、献本と一緒にガトーショコラもいただき、そのクオリティに超絶驚いた次第。
もう、あんな美味いガトーショコラを食べたもんだから、それ以後、どこのガトーショコラを食べても満足できない体になってしまいました。
だから、この間のクリスマスも近所のケーキ屋さんのガトーショコラを食べましたが、
讃州屋 一龍@ ブログで独立準備中→人生を味わい尽くす❗️@ichiryuu
クリスマスケーキとして食べました、ガトーショコラ。
これはこれで美味しいんだけど、以前食べたケンズカフェのガトーショコラが凄すぎて忘れられない・・・ https://t.co/ntdjTi9a8m
という感じ。
まったくケンさん罪作りです。
それはさておき、
商品を磨き上げる過程は、上記のリンクから前著のレビューを読んでいただくとして、今回の読書メモでは宣伝に関する部分を中心に取り上げました。
小さなお店が生き残るためには、商品がずば抜けていることは大前提。
そのうえに広報・広告といった宣伝活動に注力すること。
これが著者の一番の主張。
きっと多くの経営者は「それはしたくてもお金がない」と感じるでしょうね。
ですが、そんなふうに感じたあなたは、広報・広告の方法自体が数年前とは全く違っていることを、知らないんじゃないかと思います。
本書でも登場しますが、ネットで誰でも発信できる時代。
これを使わない手はありません。
また、ネットは発信だけでなく、自社製品に対してどんな評価がなされているかの「調査」もできます。
いまの時代、ブログ、Twitter、Instagramなど、この中で一つもまだやっていませんという経営者は、そうとうやばいと自覚してください。
自社と製品を知ってもらうために経営者のあなたがタダでできることは、いくらでもあるんですよ。
これからだったらYouTubeが一番オススメかな。
制作現場をライブ配信しても面白いでしょうね。
◆本質を追求して、シェフも辞める!?
さて、本書を読んで一番驚いたこと。
それは著者の氏家健治さんがシェフをやめてしまったこと。
広報・広告など宣伝以外のことはできるだけ削ってシンプルにすることで、経費を宣伝に回すのはわかるのですが、著者がシェフまでやめてしまったというのにはさすがに驚きました。
確かに、経営者というのは「総合プロデューサー」といった立ち位置だというのはわかりますが、そのあまりの潔さに驚嘆します。
扱う(制作する)商品によっては経営者しか作れない職人技が必要なものもあるでしょう。
しかし、そういった特別な製法とか技が、他の人では再現できないというのであれば、それはビジネスとして拡大展開できないだけでなく、その商品はいつかは消えます。
なぜなら人間には寿命があるから。
もし、制作過程や販売方法をマニュアル化して、汎用性と再現性を100%に近づけることができるのであれば、きっとあなたのビジネスは生き残る確率が上がるでしょう。
「現場が大事」という言葉もビジネスの社会ではよく聞く言葉ですし、大切なことですが、著者がいう「本質」を追求した時、経営者には今までとは違った立ち位置が見えてくるのではないでしょうか。
◆後半は成功法則
あと、本書後半部分は著者がこれまでの経験から得た、成功法則といった内容が記述されています。
これも小さな会社やお店の経営者にとって参考になる点が多いと思います。
ブランドの作り方、そしてものまねしてくる他者への対抗策など、現実によくある問題への対応方法も記載されています。
ただ、あくまでも商品のクオリティがずば抜けていることが前提条件だと、もう一度言っておきます。
まだそんなレベルではないという方は、まずは商品を磨き上げる努力を徹底してください。
そのうえで本書を読まれることをお勧めします。
本書はオトバンク様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
目次
序章 忙しすぎて、儲けることをおろそかにしていませんか?
第1章 余計なことをやめるたびに、会社が大きくなった
第2章 余計なことをやめたら、こんないいことがあった
第3章 「余計なことをやめる」代わりに、ますます強化すべきこと
第4章 「余計なことのやめ方」にはコツとタイミングがある
第5章 ブランドは、余計なものを捨てた先にある
終章 人の役に立とう
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編集後記
著者の氏家健治さんとは、とあるパーティーで偶然お会いしたことがあります。
そしたら、僕が著書を紹介した記事を覚えてくれていて、何度も何度もお礼を言っていただきました。
いえいえ、こちらこそあんな美味しいガトーショコラを頂いて、本当にありがとうございます!! といった感じなんですけどね。