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リンダ グラットン, アンドリュー スコット(著)『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』東洋経済新報社【本の紹介】人生100年時代、マルチステージ化に対応した者が長寿の恩恵を享受する

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こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。

今日ご紹介するのは一昨年発売され、今も売れ続けてロングセラーとなっている『LIFE SHIFT』です。

では早速、気になるポイントの読書メモをシェア!

読書メモ

★人生の「資産」を管理する

 資産はしばらく存続する可能性がある半面、たいていなんらかの形で価値が下落していく。使用したり、放置したりすれば、価値が減少するのだ。したがって、資産には、慎重なメンテナンスと投資をする必要がある。このように考えれば、友人関係や知識や健康を資産の一種と位置づけるべき理由が理解できるだろう。友情や知識は一夜で消失はしないが、十分な投資を怠り、友だちと連絡を取らず、知識をリフレッシュしなければ、いずれは価値が下がり、ついには消失してしまう。

★さまざまな無形の資産

 無形の資産には非常に多くのものが含まれる。長寿化との関係を基準に、これらを三つのカテゴリーに分類してみた。

1  一つ目は 生産性資産。人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のことだ。スキルと知識が主たる構成要素であることは言うまでもないが、ほかにもさまざまな要素が含まれる。
2  二つ目は 活力資産。大ざっぱに言うと、肉体的・精神的な健康と幸福のことだ。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係などが該当する。長期追跡調査によれば、活力資産を潤沢に蓄えていることは、よい人生の重要な要素の一つだ。
3  最後は 変身資産。 100 年ライフを生きる人たちは、その過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げることになる。そのために必要な資産が変身資産だ。自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていることなどが含まれる。このタイプの資産は、旧来の 3 ステージの人生ではあまり必要とされなかったが、マルチステージの人生では非常に重要になる。

★新しい経験に対して開かれた姿勢

 自分についての知識と多様性に富んだ人的ネットワークは、変身の基盤をつくり出す。しかし、変身資産にダイナミズムをもたらすのは、実際の行動だ。過去に例のない大胆な解決策を受け入れる姿勢、古い常識ややり方に疑問を投げかけることをいとわない姿勢、画一的な生き方に異を唱え、人生のさまざまな要素を統合できる新しい生き方を実験する姿勢をもっていなくてはならない。ほかの人たちの生き方と働き方に興味をもち、新しいことを試すときにつきものの曖昧さを嫌わない姿勢も必要だ。

★エクスプローラー

 エクスプローラー(探検者)のステージと聞いて思い浮かぶのは、興奮、好奇心、冒険、探査、不安といった要素だ。エクスプローラーは、一カ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に、そして敏捷に動き続ける。身軽でいるために、金銭面の制約は最小限に抑える。このステージは発見の日々だ。旅をすることにより世界について新しい発見をし、あわせて自分についても新しい発見をする。

エクスプローラーは、周囲の世界を探査し、そこになにがあり、その世界がどのように動いているか、そして自分がなにをすることを好み、なにが得意かを発見していく。このステージは、自分を日常の生活と行動から切り離すことから始まる。新しい町に移ってその土地の人たちと知り合ったり、知らない国を旅して自分の生き方について考えたりといった具合だ。エクスプローラーがおこなう探検は、単なる観察で終わらせずに、さらに一歩踏み込んだときに最も効果がある。観光客が旅先の町を見物するような態度では、大きな成果は得られない。望ましいのは、関わりをもつことだ。

 エクスプローラーとして生きるのに年齢は関係ないが、多くの人にとって、このステージを生きるのにとりわけ適した時期が三つある。それは、 18 ~ 30 歳ぐらいの時期、 40 代半ばの時期、そして 70 ~ 80 歳ぐらいの時期である。これらの時期は人生の転期になりやすく、エクスプローラーのステージを経験することが明確な効果を生みやすい。現状を再確認し、自分のもっている選択肢について理解を深め、みずからの信念と価値観について深く考える時間にできるのだ。

★インディペンデント・プロデューサー

 いま出現しつつあるインディペンデント・プロデューサーのステージでは、旧来の起業家とは性格の異なる新しいタイプの起業家になったり、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に携わる。旧来のキャリアの道筋からはずれて自分のビジネスを始めた人たちがこのステージを生きる。エクスプローラーのステージと同様、特定の年齢層に限定されるステージではない。人生のどの段階にいる人でも実践できる。インディペンデント・プロデューサーとは、ひとことで言えば、職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ。

 こうした生き方をしたい人たちにとっては、企業体を築き、金銭的資産を蓄えることより、組織に雇われずに 独立した 立場で 生産的な 活動に携わるためにまとまった時間を費やすことが大きな意味をもつ。

★ボートフォリオ・ワーカー

異なる種類の活動を同時におこなうのがポートフォリオ・ワーカーのステージだ。

 ポートフォリオ・ワーカーへの移行に成功する人は、早い段階で準備に取りかかり、フルタイムの職に就いているうちに、小規模なプロジェクトを通じて実験を始める。興味をもてそうなプロジェクトを試しに実行し、自分がなりたいポートフォリオ・ワーカーのロールモデルを見つけ、社内中心の人的ネットワークを社外の多様なネットワークに変えていく。この過程で変身資産をはぐくむことが重要だ。人的ネットワークを広げ、さまざまな分野の人たちと関わり、業種を移っても活用できて評価されやすいスキルと評判を身につけなくてはならない。

★自己の再創造のための移行

 もう一つのタイプの移行期間は、自己の再創造(リ・クリエーション)を中心とするものだ。枯渇した活力資産への投資よりも、新しいスキルや知識、新しい人的ネットワーク、新しい視点などの生産性資産への投資を積極的におこなう。たとえば、大学などの講座で学んだり、パートタイムでなんらかの仕事をしたりする。住む場所を変えたり、ライフスタイルを大きく変えたりするなど、もっと大がかりな変化をともなうケースもある。こうした再創造型の移行期間は、次のステージに向けて人的ネットワークとスキルを転換するために重要な役割を果たすことができる。

★計画と実験

 100 年以上にわたって生産的に生きる人生を設計するうえでは、計画と実験が重要になる。長い人生で経験する多くの変化によって金銭的資産と無形の資産を破壊されないためには、計画して準備することが欠かせないし、ありうる自己像について検討するためには、実験をおこなう必要がある。計画と実験は、人生に目的と個性を生み出し、アイデンティティを形づくる心理的連結性をもたらすのだ。

感想

◆問題なのは過去のロールモデルを引きずっていること

まず、本書については、「本当に寿命が100年を超えるのか?」という本書の大前提への疑問がありますが、これについては問題にするほうがおかしいと言っておきます。

現実を見てほしいのです。

本書が提示する問題の本質は、世の中が激変しているのに過去のロールモデル、すなわち「教育→仕事→引退」の3つのステージで生きようとするのはもう無理ですよということ。

この問題提議は今現在の日本人の平均寿命が80歳代ですが、現時点でも十分意義ある問題定義だと言えます。

というのも、現在多くの企業が60歳定年制をもうけていますが、猛スピードで高齢化が進む日本では年金給付開始年齢が今後も引き上げられることは間違いないし、もっと言えば年金自体が存続できるのか怪しい。

そんな現実に対して政府は年金給付開始年齢を引き上げることと、再雇用を奨励することで急激な高齢化にとりあえず対応しようとしています(これが焼け石に水な対策であることは誰の目にも明らかですが)。

とにかく2番めの「仕事」のステージが今後も伸びるのは間違いないです。

また、仮に寿命が伸びなくても、AIの普及で45歳前後でのリストラがこれから本格化していくでしょう。
100歳まで生きようがどうしようが、

手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。時間をとって学び直しとスキルの再習得に投資する必要がある

時代になっていることは間違いありません。

だとすれば、やはり自分の身は自分で守るしかありません。

となれば、本書で提示されているいくつかの働き方のモデルは非常に参考になるものと思います。

◆常に移行に備えたリ・クリエーション(再想像)を意識する

本書では伝統的な3ステージにプラスして

・「エクスプローラー(探検者)」
・「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」
・「ポートフォリオ・ワーカー」

といったステージを新たに紹介しています。

生涯に2つ、もしくは3つのキャリアを持つ、つまり人生はマルチステージ化するという著者の主張には僕も完全に納得。

こういった新しいステージへの移行を実現するために重要なのは、いかにリ・クリエーション(再創造)の時間を増やすかを日頃から意識することだと思います。

現在の日本のように、長時間労働を強いられ、しかも多くの企業が副業禁止としている状況ではリ・クリエーションの時間をとることが非常に厳しい現実があります。

ですが、それをしないと人生100年時代を豊かに生き抜き、その恩恵を享受することはできない時代になってしまいました。

ダーウィンが言った、

環境に適応できるものが生き残る

という言葉通りの社会がもう始まっています。

古い働き方に疑問を持ち、生涯を通じて「変身」し続ける覚悟を持って生きていこうではないですか。

新しい時代を生きるための指針としておすすめ。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

目次

日本語版への序文
序 章 100年ライフ
第1章 長い生涯――長寿という贈り物
第2章 過去の資金計画――教育・仕事・引退モデルの崩壊
第3章 雇用の未来――機械化・AI後の働き方
第4章 見えない「資産」――お金に換算できないもの
第5章 新しいシナリオ――可能性を広げる
第6章 新しいステージ――選択肢の多様化
第7章 新しいお金の考え方――必要な資金をどう得るか
第8章 新しい時間の使い方――自分のリ・クリエーションへ
第9章 未来の人間関係――私生活はこう変わる
終 章 変革への課題

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