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高城剛(著)『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』集英社【本の紹介】これから30年間の世界変動はまさにSFの世界、人類の進化の方向は?

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こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。

今日ご紹介するのは、 高城剛(著)『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』です。

タイトルからして「EUに加盟ってどういうこと?」「HUMAN3.0ってなに?」とはてなマークがたくさん飛び交う本ですが、さすがに世界を股にかけて活躍する方だけあって、なかなかおもしろい未来予測でした。

では早速、気になるポイントの読書メモをシェア!

 

『2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』読書メモ

★2022年から寒冷化が進む

ノーサンブリア大学のザルコヴァ教授によると

 地球の気候は、常に変動しています。そして、マウンダー極小期から300年が過ぎた2020年頃から33年間は、太陽活動が低下するために地球は再び寒くなり、2030年代がピークになるというのが、私の予測です。

 もちろん、環境汚染は少ないほうがいいですし、温室効果ガスが削減できるなら、それに越したことはないでしょう。でも、人類の地球に対する影響力は、太陽には及びもつかないほど小さなものです。もうすぐ太陽の活動は衰え、それに伴って地球は寒冷気に入ります。これは揺るぎない事実です。

★2019年の世界

 

 世界の人口は2030年までに86億人、2050年には98億人に達する見通しだ。実際には、開発途上国などで登録されていない「シャドー人口」が存在することから、2049年の世界の人口は、実質的に100億人を突破していると考えられる。このうち、20億人近くが、60歳以上となる。

 人口と環境問題を専門とするポール&アン・エーアリックによれば、100億の人口を抱えるのは一時的にはかのうかもしれないが、持続可能な人口は、現在の半分以下だという。

 2050年の世界の海外旅行者数は、40億人を突破するとみられる。この伸び率は、スマートフォンの増加率と似ている。

 2015年のアメリカのピュー・リサーチ・センターによれば、キリスト教徒の人口は約23億人で、ここには最大でもっとも活動的な派閥「福音派」約6億人が含まれる。続くイスラム人口は約18億人、無宗教約12億人、ヒンズー教徒が11億人だが、出生率を手考えると、2049年にはキリスト教を追い抜いて、イスラム教徒が世界最大人口を誇る宗教になっている可能性が高い。

★アメリカの危機

 

 無人化への流れは、世界中で加速している。そして、その先頭にいるのがアメリカで、西海岸には無人化を進めるだけの技術力がある。この背景には人件費の高騰があるが、今後、パーソナル・コンピュータやスマートフォン同様、沿岸部の企業が内陸部に、無人ストアを次々とオープンするだろう。これにより、内陸部の雇用は、さらに脅かされる。

 1980年当時のカリフォルニアでは、白人(主にコーカソイド)が3分の2を占めていた。そして、ヒスパニック系の比率は、まだ、19%に過ぎなかった。ところが2010年になると、白人の比率は40%にまで低下。反対に、ヒスパニック系は38%にまで急騰。2020年には双方の比率が逆転し、2050年までにヒスパニック系が過半数を超えると予測されている。つまり、民主的にヒスパニック系に優遇政策を唱えるヒスパニック系カリフォルニア州知事の誕生が近い。

 アメリカでは、大企業の経営者と平均的な社員の年収格差は、1965年では、20倍程度だったが、2017年では361倍もの開きがある。アメリカの富全体に占める富裕層上位0.1%の資産の割合は、7%から22%へと上昇したが、下位90%のこの割合は1985年の37%から22.8%へと大幅に下落した。
 この数字だけを見てもアメリカ社会の収入面からの「分断」は明らかで、人種以外にも、経済的な問題による階級闘争が起きかねない。この傾向は、今後も当面続くものと思われる。なぜなら、国家が財産破綻をしてリセットする以外の解決策は、ほぼないからだ。つまり、あえてその道を選ぶ可能性はある。

 トランプ大統領は、内陸部優先の政策をさらに続ける。一方、リベラリズムや多様性などは事実上無視すると思われる。

 内陸部の白人を擁護する動きは、沿岸部の企業や住民にとって面白いはずがない。特に、リベラリズムや多様性を愛する西海岸の人々は、苦々しい思いを抱いているはずだ。そこで盛り上がりつつあるのが、カリフォルニア+エグジット、すなわち「キャレグジット(Calexit)」と呼ばれる独立運動である。

★中国の台頭と停滞

 

 政治が安定しているのは、中国にとって強みの一つだ。ただし、そこにはデメリットもある。一般的に、社会の多様性と流動性が大きいほどイノベーションが起こりやすい。多様な人々が集まり、互いに刺激を与え合うことが新たなものづくり・サービスの源泉となるからだ。その点、中国は不利に見える。権力は共産党によって握られていて、庶民がその権力に割って入るのはほぼ不可能。また、中央政府や地方政府の中では、取り締まりを行っても腐敗を払拭できないという事実もある。そして国際社会の中ではガラパゴス。 こうした中で、イノベーションを起こし続けるのが難しい。

 中国は広大な土地と世界一の人口を背景に、今後もガラパゴスなまま伸びるだろう。だが、まもなく成長は、急速に鈍化すると思える(政府が正しい数字を公表するか否かはさておき)。おおそらく、アメリカと肩を並べる程度の市場にはなるだろうが、アメリカを抜いて覇権を握るのは無理だと、僕は考えている。

★インドも覇権国の座には届かない

 

 問題点として挙げられる1つは、今も根強く残るカースト制とである。カースト制度は一応廃止となった。〈中略〉だが実際には、今もカースト制度はインド社会に深く染みついていて、ことあるごとに社会問題化している。

 第二に個人主義の傾向が強いことも、インドの発展にブレーキをかけている。〈中略〉
 組織や国のことは二の次だ。愛国心はきわめて薄い。北欧に行くと、社会全体が支え合って生きようとする雰囲気を強く感じる。ところが、インドでは真逆だ。自分さえよければいいと考える人が多く、儲かると思ったら平気で国を捨てて海外に移住する。アメリカやイギリスで成功すれば、まず自国に戻るインド人は稀である。
 ひとよりいい暮らしをしたい、見栄をはりたいと願う気持ちが強い。だからインド人には上昇志向があり、必死で仕事や学問に取り組む人が多い。だが、そのエネルギーはあくまで個人として発揮され、国としてまとまることはない。

 インドは、巨大なカオスだ。そして、カオスなままで拡大を続けるだろう。その結果、覇権国の座に就くことはないが、アメリカと中国に並ぶ市場規模には達すると思われる。

★老害化するEU

 

 現在のヨーロッパは「落日の地域」に見える。どの国も、おしなべて成長力が鈍い。その理由は、前編『分断した世界』にも記したが、社会が成熟し、国民の平均年齢が上がったことから、労働時間が著しく減っている点にある、と僕はみている。
 欧州内では働き者と言われるドイツ人でも、夕方5時になれば皆帰路につき、夏休みは数週間にわたって、しっかり休む。一方、インドを見れば、5時に帰る者は、ほとんどいない。この差は、10年後に如実に表れることだろう。

感想

 

◆結局日本はどうするのか

ということで、2049年までの世界の大きな流れ、主要各国がどうなっているかのポイントをメモしてみました。

副題となっている「日本がEUに加盟する」のはどうしてか、「HUMAN3.0」とは何かという部分は割愛しました。

この部分はぜひ本書で直接お読みください。

一応僕自身の感想を少し述べておくと、EUへの加盟はないなと。
本書で著者が挙げている日本のEUへの加盟理由が、かなり弱いと感じたからです。

独自通貨発行権や軍事・外交といった政治的決定権の大枠を手放してまでEUに加盟するメリットが感じられないからです。

そもそも、著者が言うようにもうEUは明らかに失敗だったわけで、そこにわざわざ加盟することはないでしょう。

とはいえ、それ以外の著者の眼力は非常に興味深いものを提供してくれています。

「宇宙気候変動」「ポスト・スマートフォンとしての人体」「レイヤー化する貨幣」「民主主義vs市場主義」「創造的ホワイトカラー」「世界政府」などなど、キーワードを連ねただけでも、他の未来予測本は一線を画していることがおわかりでしょう。

自分の足で稼いだ情報だけにしかない凄みがあり、一つの仮説として読む価値は十分あります。

◆生き残るキーワードは「独立個人政府」

さて、高城剛氏の未来予測が当たるかどうかは別として、AIに対する考えと今後の人間の進化の方向性については僕も同じように考えていました。

よく、AIによって、職が奪われるという議論がされていますが、あれはほとんど意味がないと思っています。

新しい技術が誕生すれば、それに取って代わられる職業は必ず存在しますが、同時にあたらいし仕事も誕生します。

なので、僕は失業云々に関してはかなり楽観視しています。

問題なのは、どんどん便利になっていくことで起きる弊害。

高城剛氏は

AIによって職を奪われるのではなく、AIが人間の考える力を代替し、気がつくと、人間自身が考える能力を失うことになる

この点について注意喚起していて、まさに慧眼と思いました。

人類が誕生以来、一番大きな武器として持っている「考える」能力が退化することが一番怖いことだと僕も思います。

ちなみに、AIに仕事を奪われない人について、高城剛氏は次のように言っています。

 AIやロボティックスに取って代わられ、はじめに職がなくなると言われるのは、誰でもできる仕事(いわゆるマックジョブ)なのだろうが、日々、同じ場所から同じ会社に通い、同じ人々とばかり接しているのでは、そのリスクは高まるだろう。それが、たとえ「先生」と言われるような職業であっても。
 つまり、いくつもの場所で、いつもの仕事を、不規則的にこなしている人々は、AIに取って代わられることがない。

てか、これ高城さんのことじゃないか(笑)。

まぁ、確かに納得できるけど。

いずれにしてもこれからの30年を生き抜くのはどんな人かについて、本書の最後で触れられていて、

今後生き抜く強い個人は、「ブランド化された信用力のある」「独立個人政府」ということになるだろう。

とおっしゃっていますが、ここからが本書の真骨頂。

最後はSFの世界のようなお話になりますが、HUMAN3.0になる日は意外と近いかもしれません。

HUMAN3.0についても本書でチェックしてくださいね。
びっくりしますよ。

2049 日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生

本書はオトバンク様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに
第1章 宇宙変動がもたらす人類の危機
 地球温暖化は本当か?/小氷期を迎える人類の未来
第2章 世界はどうなっていくのか
 2049年の世界/アメリカの危機/中国の台頭と停滞/インドの潜在能力/老害化するEU
第3章 日本がEUに加盟する日
 2049年までの人類史/2049年以降の世界、HUMAN3.0の誕生
おわりに

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