ビジネス書を読んでいるとよく目にするキーワードがあります。
“ニッチを狙え”
“資格やスキルで差別化しろ”
そして
“ブルーオーシャン戦略”
これを実践していた人がめちゃくちゃ身近にいたことに先日気がつきました。
それはワタクシの親父。
今日は身内ネタですがその話を。
ワタクシの親父は真珠湾攻撃の数日前に生まれたので今年の12月で70歳を迎えます。
とっくに定年を迎えていましたが、特に趣味もない人だし、その後も会社に乞われて仕事を続けていましたが、70歳を目前にさすがに体力的にきつくなり、本人の希望で1月に完全退職となりました。
それで先日、親父の完全退職祝いにささやかながら寿司屋でお祝いを家族でしたのです。
親父はとある地方の港湾施設で外国船の積み荷の陸揚げ仕事をしていました。
ですので各種クレーンや重機の免許を持っております。
ワタクシが子供のころは大型重機を操る親父をカッコ良く、誇らしくも思っておりました。
とりあえず、これで一区切り。
40年以上も本当にお疲れさま、そして感謝しております。
さて、その祝いの席。
「えっ、そうだったの?」というはなしがありました。
1月にいったん完全退職し、職場でみなさんに見送ってもらった数日後、電話がかかってきてどうしても会社に出てきてくれと頼まれたそうです。
大型の貨物船が入港するのに特殊な大型クレーンを操作できる人がいないというのです。
そこで親父がいった衝撃の事実、「うちの港にそのクレーンを使える免許を持ってるのワシだけなんや」。
これが最初の驚き。
親父は地方港湾施設というめっちゃニッチな“市場”で、特殊な免許を持つことでブルーオーシャンを築いていた。
うちの親父は本なんて読んでるの見たことないブルーカラーですから、もちろんそんなことまったく考えてもいなかったと思いますが、結果的に会社が事業整理、人員削減したときにもその免許だけで生き残っていたわけです。
まぁ、人材育成をしていないその会社もどうかと思いますが、親父は親父なりに武器を持っていたわけですね。
そしてこの教訓(?)からもう一つ学べること。
「資格だけで飯は食えない」とよく言いますが、探せばあるのかもしれませんということ。
簿記とか宅建とか誰でも聞いたことがあるような資格ではなく、ものすごくニッチで免許取得者が極端に少ないもの。
これが狙い目かもしれません。
さて、この話には続きがあります。
退職後に「これが最後だから仕事に来てくれ」と頼まれた親父。
どうしたと思います?
1日12時間労働を3日間行ったそうです。
かなりきつかったと言っておりましたが、その時ワタクシ親父に尋ねました。
「賃金交渉はしたの?」
そしたら親父、「そんなんせん。恩返しや。」
律義というかお人好しというか・・・。
まぁそれが親父の人柄なんでしょうが、当ブログをお読みのみなさんはお気づきですよね。
これビジネスチャンスなんですよ。
今更、会社設立しなよとは言いませんが、すでに退職しているんだから時給の交渉ぐらいすればいいのに。
せっかくのブルーオーシャン市場で独占的なスキルを持っているにもかかわらず、それを賃金アップに生かそうとしていない。
もし親父がセルフブランディングを知っていればもっと稼げたのに。
チャンスに疎いなぁ。
その点に関しては反面教師として学ばしていただくとしよう。
まっ、なにはともあれやっとのんびりできるな親父。
元気で長生きしてくれ。
【参考まで】
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ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press) (2005/06/21) W・チャン・キム、レネ・モボルニュ 他 |