映画から歴史的教養や雑学を学ぶ教養的映画鑑賞、18回目の今日はあの超名作『十戒』です。
はじめに:『十戒』、一神教の本質を見る作品
旧約聖書の出エジプト記を映画化した作品。
ユダヤ教誕生の物語としても非常に重要な部分を映画化したもの。
ストーリー(Amazonより)
ハリウッド創世期から70本以上のスペクタクル映 画を次々と製作・監督してきたデミル監督が、生涯の情熱を傾けた映画史上最大のスペクタクル巨編。題材を聖書に求め、前半は知られざるモーゼの出生から成 長を描き、後半は特撮を駆使して忠実に預言者モーゼの波乱万丈を描く。特に紅海が真っ二つに割れるシーンは映画史上空前の迫力である。
歴史教養的見どころ
◆モーゼの誕生から約束の地まで、出エジプト記は知っておくべき物語
ユダヤ教はもちろんのこと、ユダヤ教を母体に誕生したキリスト教にとっても旧約聖書は文化的起源です。
特に出エジプト記はユダヤ教誕生のシーンを含む重要な部分。
ユダヤ教圏、キリスト教圏では一般常識なのでこの映画全体のストーリーは知っておくべきですね。
超長編映画ですが、これ一本見れば「出エジプト記」の大体の知識は得られると思います。
気軽に読めるといことでこちらもオススメ。
◆一神教の本質に触れる
この映画で感じて欲しいのは一神教の本質です。
モーゼと神が契約を交わしてからの神の御業は、もちろん人智を超えた圧倒的力を見せつけるわけですが、その仕打ちはあまりにも厳しい。
ヘブライ人を奴隷として扱うエジプト人に対しても、偶像を作ってしまったヘブライ人に対しても、そして神を信じきれなかったモーゼに対しても容赦はありません。
その恐ろしいまでの厳格さに一神教の何たるかを垣間見ることができます。
多神教の文化的ベースを持つ多くの日本人は、一神教の文化圏の人達から見ればある意味信仰にルーズと映ることを知っておくべきかと思います。
もちろんどちらがいい悪いということではありません。
このルーズさが日本人のいいところだとも思います。
ただ、宗教に関しては外国はそんなに甘くないですよということです。
最後に個人的な感想を
とにかく長辺の見応えのある映画です。
さすがに特撮シーンはCGに慣れてしまった私達の目からするとちゃっちいと感じてしまいます。
あの有名な海が割れるシーンも、今ならもっとリアルに描けるのにと思ってしまいます。
しかし、エジプトのセットや荒涼とした砂漠の美したなど、前編にわたって映像美のクオリティの高さは圧巻。
これぞ映画の醍醐味だと感じさせます。
1つ気になったのはエジプト軍の衣装。
まるでローマ軍のような出で立ち。
時代設定がラムセスの頃だからBC1300頃〜1200年代ですので(ローマの建国はBC753年)、ちょっとおかしいですよね。
映画的にはきらびやかさを出したかったんでしょうが。
基本データ
監督: セシル・B・デミル
主演:チャールトン・ヘストン
公開:1956年
220分
あわせて読みたい