出典:映画.com
2019年、映画館で観る7本目は「ジェミニマン」。
この記事では、「ジェミニマン」について紹介しています。
実年齢51歳のウィル・スミスが、フルCGで作られた23歳のウィル・スミスと共演する本作は、映画表現の新しい領域を広げた作品と言えます。
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「ジェミニマン」【映画レビュー】(ネタバレあり)
もう生身の役者はいらない!? とは思わない
とにかくこの映画の見どころは、51歳のウィル・スミスと23歳のウィル・スミスの戦うシーンであることは間違いない。
まずは下の公式ツイートと、メイキング動画を見てほしい。
“若返り”のVFXは近年のハリウッド超大作では珍しいものではない。
しかし『#ジェミニマン』では、“若返り”の映像技術を使ったわけでも、“顔の入れ替え”をしたわけでもない…#WETAデジタル が若い #ウィル・スミス の肉体を一から完全に作り上げているのだ‼ pic.twitter.com/iGTXNkP5vn
— 『ジェミニマン』公式 (@GeminiMan_JP) October 26, 2019
これまでもふけるメイクや若返りメイクもあったし、タイムマシーンもので過去、あるいは未来の自分と共演するシーンはありました。
ですが、現在51歳のウィル・スミスが本物で、相手を演じる23歳のウィル・スミスはフルCG、しかもこの二人がハードな格闘シーンを演じるというのは今回が初めての映像。
そして、23歳のウィル・スミスの完成度が異常に高い。
というか、説明されなければCGとは絶対気づかない。
今まででももうすでに亡くなった役者をCGで出演させた例はある。
スター・ウォーズシリーズのレイア姫などがそう。
しかし、よく見ると”なんか違う”があったのだが、この作品での23歳のウィル・スミスにはそれがない。
ちょっと汗をかいた肌の質感とか、後頭部の姿の刈り上げ部分とか、本当に細部まで作り込まれている。
「ああ、これは完全にCGだな」と感じてしまうのは、ものすごくキレキレのアクションシーンで、もはや人間の動きとスピードの領域を超えていたところ。
「監督さん、これはやりすぎですよ」とちょっと残念に思ったものです。
しかしだ、しかしだよ。
どんなに完成度の高いCGとはいえ、この演技のベースは実はウィル・スミスをモーションキャプチャーしたデータなのです。
技術的にはもう役者がいようがいまいが、あるは実在しない人物だって演技させられるけれど、そのCG役者に魂を吹き込むのは、やっぱり今のところ生身の役者なんですね。
ただ、この映画の技術でまた映画で表現できる設定の幅が増えたのは確か。
そして、この2人の共演シーンは映像オタクなら必見です。
バイクアクションが抜群にいい! 格闘シーンはちょっと残念
この映画を見ていて素晴らしかったものの一つがロケ地でした。
美しいロケ地に釘付け!特別映像公開📽️
🌎欧州の古都ハンガリー・ブダペスト
🌎伝統的港町ジョージア州サバンナ
🌎世界遺産コロンビア・カルタヘナ#アン・リー 監督の徹底的なこだわりにより、
世界中を股にかけたロケ地の魅力に迫る💣#ジェミニマン #ウィル・スミス pic.twitter.com/TFwgqHohM9— 『ジェミニマン』公式 (@GeminiMan_JP) October 23, 2019
特に世界遺産のコロンビアのカルタヘナのカラフルな町並みはバイクチェイスをより華やかにしていたように思います。
そして、この映画のアクションの中でもバイクチェイスはダントツに素晴らしかった。
この映画での二人の最初のコンタクトのシーンでもあり、”ジュニア”が並外れた戦闘能力があることを見せつけるシーンでもあります。
それをこのカラフルな、いかにも南国の平和な町並みを舞台にしたのは効果抜群。
息詰まる近接銃撃戦から息つく暇を与えないバイクチェイスへの以降。
そして”ジュニア”の見事なバイクさばき。
これは必見。
ただ、ここで期待をもたせてくれるのはいいのですが、後半の拳を交える格闘シーンはちょっといただけない。
舞台が地下墳墓なので、画面が暗くてよく見えない。
お互いに顔がよく見えない演出だったのかもしれないけれど、せっかくの格闘シーンがもったいない。
“デジタルの人間”を生み出したことにより、『#ジェミニマン』は格闘表現も進化。
CGの #ウィル・スミス の顔に拳が命中し、歪む…まるで本当に殴られ、観客が「痛い」と感じるような凄まじい迫真性が生まれている‼ pic.twitter.com/7DsUniyjpM
— 『ジェミニマン』公式 (@GeminiMan_JP) October 18, 2019
生身の人間と、CGとの格闘シーンは明るい、もっとはっきりした映像で見たかったなぁ。
ところで、ちょっと話が変わるけど
なんか、最近のハリウッド映画のアクションシーンは画面が暗すぎてよく見えないというのが多くないですか?
「ハン・ソロ」とか、そういえば映画ではないけど「ゲーム・オブ・スローンズ」もそうだった。
これは一体何なのだろう、なんか理由があるのかな。
自分のクローンと出会ったとき、その反応をするだろうか?
さて、この映画を見ていて違和感を抱いたのかウィル・スミス演じる51歳のヘンリーが、はじめて自分のクローンの”ジュニア”と遭遇するシーン。
自分と外見が良く似ていてい、しかも自分と同じ”読み”をする相手に、なにかを感じて引き金を引くのをためらいます。
そうでないと後にストーリーが続きませんが、はたして凄腕のエージェントがあの状況で躊躇するのか?
これはちょっと疑問。
そしてもし自分が当事者なら、やっぱりためらわずに打ちますね。
自分と同じDNAを持つクローンにもし出会ったら、人の平均的な反応は一体どんなだろうと想像してみてください。
多分すごい嫌悪感というか、気持ち悪さを感じるんじゃないかと思うんですよ。
僕だったら化け物に出会ったときみたいに、「ギャーッ!!!」となって、パニック状態で引き金を引き続けるんじゃないかな。
いずれ自分のクローンと向き合う日が来る
でも、この映画を見ていてふと思ったのは、もしかすると自分のクローンと出会う日が近い将来来るかもしれないということ。
兵器ではないですよ、医療用に自分のクローンを作っておいて、臓器移植とかに使うわけです。
ようは、自分用の”替えのパーツ”のためにクローンを作る。
そんな時代が来るんじゃないかと。
その時はたして、本当の自分はどっちなのか?
肉体は同じでも、その肉体に入る魂は別人。
この映画でも、23歳のウィル・スミスは51歳のオリジナルの彼とは違います。
いまのところ、人間のクローンを作るのは禁じられているけれど、例えば肺とか腎臓とかパーツだけを培養するのは実際に研究が進んでいるし、どうなるんでしょうね。
なんてことを考えてしまった映画でした。
でも、劇場に見に行く皆さんはそんな事考えずにアクション映画として楽しんでくださいね。
引用:『ジェミニマン』公式予告
そにしてもよくできてるなぁ。
とてもCGとは思えない。
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