こんばんは、3連休いかがお過ごしですか、休みなく3日間ずっと仕事の一龍(@ichiryuu)です。
さぬきうどん日記外伝、今回は村上春樹さんがさぬきうどんについて書いた紀行文をご紹介。
ただし、超大物作家だろうが、ノーベル文学賞候補者であろうがこと「うどん」に関しては容赦しない一龍です。
大胆にも物申してみました!
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【村上春樹に物申す】
夏に上京したおり、詩人の西田庸子さんからこの本のことを教えてもらいました。
超大物作家、村上春樹さんの紀行文。
この中に「讃岐・超ディープうどん紀行」(約20ページ)というのがあるのです。
早速取り寄せて読んだのですが、さすが春樹さん表現が面白い。
取材は90年のことのようで、うどんブームの前。
登場するうどん屋も現在では大将が代替わりしたり、超有名店になったりとだいぶ状況が変わっていますが、なんというか突っ込みどころ満載!
それと同時に、「そういう感想もあるのか」といろいろ楽しめたのでちょっとご紹介してみようと思います。
なお、相手が超大物作家の村上春樹さんとはいえ、うどんに関してはひよっこみたいなものですから、遠慮なくツッコミを入れさせていただきました!
面白おかしく、香川県とうどん文化理解の一助となれば幸いです。
【ポイント&うどんメモ、そして一龍のツッコミ!】
★香川にはうどん屋しかない?
しかし僕が香川県に行ってみてなによりも驚いたのは、うどん屋さんの数が圧倒的に多いことであった。うどん屋さん以外に何もないんじゃないかという気がしてくるくらい見事にうどん屋さんが多いのだ。寿司屋とかラーメン屋とか蕎麦屋とか、そういうものはほとんど見当たらない。どこを向いても、まるでメーデーの日の代々木公園に翻る旗みたいにぎっしりと、うどん屋またうどん屋である。旅行中朝から晩までずっとうどん屋の看板を見ていたような気さえする。
ちょっと言い過ぎのきらいはありますが、あたらずとも遠からずです。
本当にうどん屋の看板だらけ。
一節には香川県にはうどん屋は約800店、ラーメン屋は200店、蕎麦屋にいたっては専門店は20店ほどだと言われています。
★根本的に違う!
うどん屋なんて全国どこに行ってもだいたい同じだろうと思われる読者もいらっしゃるかもしれない。しかしはっきり言って、その見方は間違っている。香川県のうどん屋のあり方は他の地方のうどん屋のあり方とは根本的に異なっている。ひとことで言えばかなりディープなのである。ちょうどアメリカの深南部に行って、小さな街でなまずのフライを食べているようなそんな趣さえある。
アメリカ南部のなまずのフライはよくわかりませんが、香川県のうどんのあり方は他県とは根本的に違います。
香川県が”うどん県”を名乗るようになって、「うどんは香川県だけのものじゃない!」とクレームを付けてくる人がいますが、香川に来れば、うどん県を名乗れるのは香川県だけだということに納得するはずです。
■中村うどんにて
★世の中なんてどうでもよくなる?
丼を持って外に出て外に出て(店の中は狭いので)、石の上に腰掛けてずるずるとうどんを食べる。時刻は朝の九時過ぎである。天気もいいし、うどんも美味しい。朝っぱから石の上に腰掛けてうどんをすすっていたりすると、だんだん「世の中なんかもうどうなってもかまうもんか」という気持ちになってくるから不思議である。僕は思うのだけれど、うどんという食べ物の中には、何かしら人間の知的欲望を摩耗させる要素が含まれているに違いない。
そんなわけないやろ!
確かにうどんは美味い(特になかむらのは)、しかし「世の中なんかもうどうなってもかまうもんか」なんてことにはならない。
ましてや「知的欲望を摩耗させる」なんてことはあるはずがない。
もしそうだとしたら、毎日うどん食べている香川県民は知的欲望がないことになってしまう。
美味い表現だけど、ちょっと言い過ぎ!
※なお、本書中では「中村うどん」と表記していますが、「なかむら」とひらがな表記するのが普通です。
「中村」と漢字表記した場合は姉妹店(丸亀市土器町)の方を指します。
★うどん屋でもするか
養鶏場から突然うどん屋に商売変えするという発想も大胆だと思うのだが、あるいはこういうのも香川県ではそれほど不自然なことではないのかもしれない。しかし、そういわれてよくよく見てみると、うどん屋になっている建物はなんとなく鶏小屋のようなかたちをしている。
不自然だよ!
と言っておく、が、案外的を得ている。
と言うのも、昔サラリーマンが飲み屋で仕事の愚痴を言う時の決まり文句に
「仕事辞めてうどん屋でもするわ!」
というのが定番であった(最近は全然聞かなくなったけど)。
脱サラの方向性として、うどん屋というのは香川県民にとってかなりポピュラーなものであることは間違いない。
ちなみに、なかむらの建物は元鶏小屋です。
★足で踏んで捏ねる
「中村うどん」ではうどんは二本の足で踏んで捏ねる。
それ普通です。
本来はそれが主流。
最近は機械で捏ねる店も多いと思いますが、トラディショナル&スタンダードな作り方は足で踏んで捏ねます。
ワタクシも自分でうどんを打つときは踏みますよ!
■山下うどんにて
★「一件いこか」はうどん屋?
そういえば話で聞いたのだけれど、東京から香川県に転勤してきたサラリーマンが仕事のあとで上役に「どや、一件いこか」と誘われて、バーかカラオケかと思って行ったらうどん屋で、ふたりでずるずるとうどんを食べてそれでおしまいというようなことが実際にあるらしい。微笑ましい土地柄というべきであろう。
実際にそんなことはありません!
それはたぶん、東京から来た人だったからうどん屋に案内しただけでしょう。
仕事終わりに「一件いこか?」といえば、香川県でも飲みに決まってます。
だいたい、夜にうどん屋さんはほとんどやっていませんから。
ただ、お昼は別。
昼休みに、「飯いこか?」の「飯」の意味は80〜90%ぐらい「うどん」を指します。
★特別の小麦粉
日清製粉は香川県にだけは特別な配合をした小麦粉を出荷している。というのは香川県の人はことうどんに対してはきわめて厳しい基準を持っているので、普通の全国向けの配合のものではユーザーからクレームがくるのだそうだ。
これ本当。
製粉工場自体が香川にあるとも聞いたことがあります。
うどん屋さんも日々研鑽で、小麦粉を時々実験的に変えてみることがあります。
すると必ず「大将、うどん粉変えた?」と聞く人がいます。
■まとめ
★うどんLOVE
これほど深く ———篤い信仰心にも似た情熱を持って——— うどんを愛している県民は日本国中さがしたってぜったいにいない
御意!
★革命勃発
僕は思うのだけれど、もしある日オーストラリアと日本とが何かの事情で国交を断絶をして、小麦粉の輸入が全面的にストップし、うどんというものが一切なくなってしまったら、少なくとも香川県では人民革命が起こるのではないだろうか。
その時はワタクシも武器を取って戦います!
革命万歳!
★うどんは家族
香川県の人々がうどんについて話をするときには、まるで家族の一員について話しているときのような温もりがあった。誰もがうどんについての思い出を持っていて、それを懐かしそうに話してくれた。そういうのってなかなかいいものだし、またそういう温もりがうまみを生むのだと僕は思う。
No Udon, No Life!
【管理人の独り言】
村上春樹様へ
あなたが絶賛したなかむらうどん。
今も美味しいですが、そこ(中村うどんを含む)で修行したお弟子さんたちがすごく活躍されています。
「一福」、「やすなみ」などなど。
またぜひお弟子さんたちの店にも食べにきてくださいね。
なんならワタクシが案内しますよ!
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