讃岐うどん日記、第10回目。
久々のうどん日記となってしまったが、その理由については言い訳させてほしい。
実はこの間、一件のうどん屋に通っていたのだ。
それが今日ご紹介する うどん 一福 である。
グミのような奇跡の麺【讃岐うどん日記】うどん 一福
ことのはじまりは、あの映画「UDON」のモデルとなった麺通団の田尾団長が、一福の麺を「奇跡の麺」と賞したことにはじまる。
あの田尾団長をして「奇跡の麺」と言わしめる麺。
これは実食するしかないではないか。
しかもその大将は、あの超軟体麺で有名な中村(ややこしいが飯山のなかむらの姉妹店)で修行されたという。
食べたい!食べてみたい!ああ、夜も眠れない・・・
しかし、国分寺町(高松市)というのは中途半端な場所で、お昼休みにちょこっと食べに行くにはちと遠い。
これまで食べに行くチャンスがなかなかこなかったのである。
ところが、日本一うどんの神に愛される男、一龍である。
4月末に、ちょうどお昼頃、国分寺付近を通過する外回りの仕事が入ったのだ。
いよいよ、奇跡の麺とのご対面である。
第1回目の遭遇は、この日異常に暑かったので冷たいぶっかけうどんにしてみた。
トッピングはエビのかき揚げである。
ファーストインプレッションは、「細い!すごい細麺だ!」。
割り箸の太さと比べてお分かりだろうか?
ほぼ、割り箸の先の太さである。
そして、口に含むと・・・
ん?噛み切れない。
何だこのコシ、この弾力?
大将が中村で修行したと聞いていたので、てっきり超軟体麺かと思っていたら、まるでグミのようなコシと弾力。
しかも箸を持ち上げると、麺がビューンと伸びるではないか!
これは面白い麺だ。
40数年讃岐うどんを食い続けてきたが、こんな麺ははじめてだ。
ただ、若干難があるとすれば、麺と出汁が合っていない。
いや、出汁が不味いのではない。
標準以上に美味い出汁だと思う。
しかしそれ以上に麺がずば抜けていて、麺の良さを出汁が生かしきれていないのだ。
とはいえ、あまりの麺の素晴らしさに本当に惚れてしまった一龍は、「これはもっと違うメニューも食べてみたい」と思い、ぶっかけうどんを食べながら再来することを決意したのである。
そして一週間後。
うどんの神に愛された男は、その機会を得るのである。
第2回目の遭遇は、マイ定番であるかけうどんといなり寿司のコンビネーション。
ぶっかけうどんと打って変わってかけうどんの出汁は透明系。
思わず「美しい」と見惚れてしまう。
そして、細麺だがしっかりエッジのたった麺。
口に含むと・・・「ああ、なかむらの軟体麺だ!」
正確に言うと、なかむらの軟体麺よりは力強いのだが、かなり柔らかい。
そしてそれでいてコシがあり、伸びがある。
この麺、増々面白くなってきた。
しかし、もともと豪麺好きのワタクシは、このかけうどんを食べながらも「やっぱり冷たい、グミのような食感の麺を味わいたい」と思ってしまうのである。
まるで「男の腕のなかで、他の男を思う」ジュディオングの「魅せられて」だ。
そんなワタクシにうどんの神は微笑みかける。
2週間後、またチャンスがやって来たのである。
3回目の遭遇はざるうどん!
この白く、か細く、それでいてつやのある麺。
なんとも色っぽいではないか。
見た目はか弱い女麺なのだ。
ところが実食すると・・・
グミだ。
噛み切れない。
この見た目とのギャップがまたいい。
女麺とは見た目だけで、中身は細マッチョなのだ。
しっかり堪能して満足し、この日はもう思い残すこともなく、すっきりした気分で午後の仕事に向かったのである。
さて、蛇足ながらその約1週間後。
なんと家族で一福にいくことに。
4回目の遭遇は、ぶっかけうどんととり天。
このとり天はオススメである。
そして、不思議なのはやはりここのうどんだ。
2回目のぶっかけうどんでは、麺と出汁のアンバランスを感じなくなったのだ。
慣れた?
いや違う、でも、もう違和感はない。
んー、不思議だ・・・。
ということで、約1ヶ月の間に4回、この店に通ってしまった。
しかし自信を持ってお伝えする。
この店、うどんツアーを組むなら、絶対立ち寄っていただきたい。
讃岐うどんの麺の新しい方向性を感じるうどん店なのだ。
【おまけ】
いなり寿司評論家でもある一龍が、一幅さんの稲荷について評する。
小粒ながらフォルムはいい!
そして味もいい。
ただ、これはワタクシの美的センスからはいただけない。
ジョブズは言った、「見えないところも美しく」と。
包んでほしかった。
究極のいなり寿司と出会える日はいつなのか・・・。
うどん 一福 お店情報
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