『うどん手帖』で紹介された、「 死ぬまでに一度は食べたい!」 全国の名店50件を訪れるシリーズ第3弾。
今回は東京都渋谷区にある「久留米うどん」さんの訪問記。
東京で九州のうどんというのもなんですが、九州うどん初めての体験は、今までに味わったことのないものでした。
『うどん手帖』の紹介記記事はこちら
久留米うどん(東京都渋谷区)【全国うどん名店50】ふわふわ麺の食感がクセになりそう
渋谷の喧騒から一歩路地に入った閑静な街の中にこのお店はありました。
まず、お店の前にあったメニャーボードがローマ字表記だったことに東京を感じてしまいました。
外人さん多いんでしょうね。
今回こちらにきたのは、以前から一度九州のうどんを食べてみたかったから。
東京に来る用事があったので、今回やっと食べることとなりました。
さて、注文ですが、普通は初めてのお店だとかけうどんを食べるのが鉄則です。
しかし、九州うどんですからね、そりゃもう、「ごぼう天うどん」一択でしょう。
僕の頭の中では、「九州のうどんのトッピング」=「ごぼう天」となっています。
そして実は、うどんにごぼう天は初体験。
讃岐うどんではごぼう天はほとんど見かけませんから。
「ごぼう天うどん」単品で頼もうかと思いましたが、よく見ると「セットメニュー」なるものがあるじゃないですか。
ならばとういことでそちらをチョイス。
うどんが到着するまでの間、お店の雰囲気を眺めていましたが、こちらのお店の内装はカフェ風ですね。
実際夜はカフェかバーになるのかな。
などと考えていると、それほど待つくこともなく着丼。
「おおお、これかぁ」としばし眺める。
シンプルながらとてもいい佇まい。
まずはお出汁からいただきますが、透き通ってますね。
やっぱりお出汁はこうでなきゃ。
醤油で濁っているのは野暮ってもんですよ。
でね、味ですが、この味は初めてだな。
讃岐うどんのいりこストレート勝負のだしとは全然違う。
いりこだけでなく、何種類もの魚から出汁を取っている。
独特の風味と魚介系独特の苦味はあるけど、やや薄めの非常にあっさりしたお出汁でした。
(あとで女将さんに訊いたら、数種類の魚をお出汁にしていて、しかも煮詰めずにさっと沸かすだけだとおっしゃってました)
そして、細かいチェック点ですが、ネギがちゃんと細ネギを使っているのがいい。
最近、香川県のうどんやさんでも太いネギ(万能ネギ)を使うお店が多いんですよね。
うどんはやっぱり細ねぎでしょう。
ちなみに、いいうどんやさんの見分け方の一つがネギです。
ネギまで手を抜いていないお店はまず間違いなく美味い。
さて実食。
九州のうどんは柔らかいと聞いていましたが・・・
柔らかいどころではない、ふわふわだ。
なんだろうこの食感、めちゃめちゃ面白い。
讃岐のうどん人は「うどんは噛まずに飲み込む」とよく言いますが、それはかんでも噛みきれないコシと、飲み込んでもツルッと入る艶々の麺だからこそできる喉越しを楽しむため。
しかしここのうどんは、ふわふわだから噛む必要がないという、全く別の方向性で「飲む」ことができる麺です。
それでいて、箸で持ち上げても麺が切れないという、超絶微妙なコシ。
たとえば讃岐うどんにも超軟体麺で有名な「なかむら」さんの細麺で柔らかい麺がありますが、それとも別。
なかむらさんの麺は噛むと最後の最後に押し返すコシがあり、儚さと芯の強さを感じさせることから「女麺」と呼ぶ人もいますが、久留米うどんさんの麺は男麺とか女麺とかそういった「性別」を超越したところに存在する感じ。
普段、コシがあるとかないとか”うどんうんちく”を垂れる讃岐うどん人の僕ですが、いやはや、これは面白い食感、癖になりそう。
そして、ごぼう天。
こちははゴボウの固い食感を想像していましたが、
想像以上に薄切りされたゴボウが、ゴリッではなく、サクッという感じの歯ごたえを返してくれました。
なるほとねぇ、これが九州のうどんとごぼう天なんだな。
ちなみに、今回セットメニューでかしわ飯を頼んだのですが、売り切れとのことで、肉うどんに乗せる肉をご飯に乗せたものを出していただきました。
これがまた濃い味付けでうまい!
まるで肉の佃煮だ!
うどんのお出汁があっさり系なので、とてもあいます。
最後は抹茶アイスのデザートもいただきました。
うどんの後にアイスを食べたのも初めてだなぁ。
さて、このデザートをいただきながら、メニャー裏にあった「筑後うどん」の説明書きを読んでいたのですが、これを読んでなるほどなぁと納得。
九州のうどんは主食ではなく「汁物」の位置付けなんですね。
だからお出汁があっさりしているわけだと納得でした。
ただし、筑後うどんの特徴をわかりやすくするために讃岐うどんとの違いも説明しているのですが、その説明が「ん?」となりました。
ご飯の代わりの主食
というのはそのとおりですが、
うどんでお腹をいっぱいにするために強いコシの麺になり
というのは初耳。
密度の濃い凝縮した麺を食べるためという意味かな?
そして、
汁でお腹が膨れないように釜揚げや、ぶっかけで食べる文化が広まったと言われています
????
誰が言ってるんだろう、こんな説は初めて聞きましたよ。
さぬきうどんはあくまで「かけうどん」がベースです。
釜揚げやぶっかけは食べ方のバリエーションとして普及したもので、僕が子供の頃はほとんど見なかったし、今でも主流ではありません。
実際年配の方には、「水で締めないと麺じゃない」といって、釜揚げを邪道扱いする人も多いですし、僕も釜揚げはほとんど食べません。
たぶん、「さぬき釜揚げ」と看板をあげている香川県と関係のないあの系列の影響だろうな。
あそこは勝手に讃岐うどんの文化をでっち上げるしなぁ。
まぁ、それはいいとして、九州うどん。
今度は地元九州で食べてみたい。
讃岐うどんファンの中には、「あんなやわな麺はうどんじゃない」と九州のうどんを否定する人が多いですが、僕は結構好きかも。
この食感にハマってしまいました。
全国の名店50のうち6軒訪問達成です。
久留米うどん お店情報
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