おはようございます、一龍です。
先日とあるご縁からとても素敵な本と出会えました。
カンボジアの子どもたちに映画を届ける活動をされているNPO法人CATiCの代表、教来石小織(きょうらいせきさおり)さんの著書、『ゆめのはいたつにん』 という本です。
帯に「運命的に出逢った映画を観ているかのよう」という俳優の斎藤工さんの推薦文があるように、普通のOLだった著者が、ふとした思いつきからカンボジアで映画を上映する活動を始め、多くの人を巻き込みつつ夢を実現していくストーリーは、まさに一本の映画を見るようでした。
本エントリーでは夢を実現したいと思っている方にも参考になる部分をピックアップしつつ、本書を紹介したいと思います。
夢を実現するポイント(神話の法則とともに)
★天啓(冒険へのいざない)
カンボジアに映画館を作りたい。
2012年夏のことでした。都内のオフィスで派遣社員の事務仕事をしていた私に、突然そんな言葉が舞い降りてきたのです。Excelにデータ入力をしながら、「夢がある人は自分の出来ることで具体的に応援していくとして、では夢のない人はどうしよう。そういう人には夢のきっかけを与えられるといいのかもしれない。たとえば途上国の子供とか・・・」と考えていたときに、ふっと降ってきたのが「カンボジアに映画館を作りたい」でした。奇しくも10年前に「途上国に映画館を作る」と言っていたことを思い出すのは、それからしばらく経ってからのことでした。
★「夢とは、人生をかけて築き上げたいと願うもの」
「夢とは、人生をかけて築き上げたいと願うもの」(『あなたには夢がある 小さなアトリエから始まったスラム街の奇跡』より)私はカンボジアはじめ途上国の子供たちに映画を届ける世界を、一生かけて築き上げたいと願っています。飽きっぽい性格なのですが、不思議なことに夢が降ってきたあの日からその思いが変わった日は一日だってないのです。もしかしたら、30歳を過ぎてやっと、私は本当の夢に出会えたのかもしれません。また同著には、こうも書かれていました。「いい人生とは、期待して待つようなものではない。いい人生とは、自分の夢を土台にして、一瞬ずつ築いていくものだ」あの日仕事中に舞い降りてきた私の夢は、その後確かに、私自身が築き上げていく、人生の土台になっていくのでした。
★フォロワー(初めての仲間)
※管理人注:まずこの映像をご覧ください
この映像をもとに考えると、コミニケーションが苦手で、仲間やチームとは無縁だった私が、やがてリーダーと呼ばれるようになっていくのは(ある方のブログに「ヘタレキャラのリーダー」と書かれていました)、コースケ君が最初のフォロワーになってくれたことが大きかったのだと思います。コースケ君がいなければ、カンボジアに行ったこともないくせに「カンボジアに映画館を作りたい」と言い出した私は、ただの変な女に過ぎなかったのでしょう。実際友人たちは引いていましたし。
★始める前から「続ける」を意識する
カンボジアで地雷撤廃に向けた活動と、地雷被害者支援をされている大谷賢二さんにお会いしたとき、こんなことを言っていただきました。
「始めるものはなんでもいい。ただ始めたら続けることが大事」
まだ始まってもいないのに「続ける」を意識し始めたのは、この時だった気がします。
★自分の人生の主役は自分
もしも今、あの美しい女性と話すことができたなら、伝えたいことがあると思いました。彼の人生ではボロ雑巾のように捨てられ、忘れ去られていく存在だとしても。彼の人生から消えても、自分の人生からは消えなくてもいいのだと。映画の主人公はいつも、どん底から這い上がっていくではないですか。人生は生きるに値するものだと教えてくれるではないですか。絶望した時ほど、強く自覚してしなくてはいけません。自分の人生の主役は、他の誰でもない、自分なのだと。
★この景色が見たかった(第一関門突破)
薄暗闇の中、スクリーンの灯りで照らされる子供たちの顔。私は、この顔が見たかったのです。初めて映画を観る子供たちはどんな顔するのだろう。ずっと妄想の中で恋い焦がれていた光景がそこにありました。
今までの私の人生、こんなにたくさんの人に喜んでもらえたことがあったでしょうか。映画を届けるなんて、現地に必要とされていたわけではないただの私のエゴなので、現地の人が迷惑そうだったらやめようと思っていたけれど、でもこの光景を見たら、感動せずにいられない。この感動を続けたいと思ってしまう。
★夢にむかって進むときの3A
「夢に向かって進むときは、3Aを大切にするといいですよ。あせらない、あてにしない、あきらめない」
アンコールワットの修復を20年近くにわたり大手掛けてらっしゃる三輪さんの3Aには、ズシリとした重みがありました。それから壁にぶつかるたびに、この3Aを思い出すようにしています。
★ゲームを変える(次なる冒険の始まり)
「教来石さん、ゲームを変えましょう。たとえ今は、上映作品も先方に頭を下げてお願いしている状態ですよね。たとえばこれが、東南アジア全土になったらどうでしょうか。東南アジア全土に、映画配達人による教来石インフラが広がっていくんです。確実に村人が集まって映画を観るインフラが。すると今度はその教来石インフラに作品を乗せてほしい、CMを流してほしいという企業が現れるかもしれません。自分が優位に立てるゲームに変えるんです」
「僕はお金集めに時間をかけるよりも、事業に集中したほうがいいと思うんですよね。壮大な夢を描いてください。壮大な夢には、お金が集まりますよ」
壮大なスケールのお仕事をされている岡田さんとお話したことで、「ゲームを変える」「ビジョンを大きく」を少しだけ意識できるようになった気がします。
※管理人捕捉:その後団体名を、「カンボジアに映画館をつくろう!」から「World Theater Project 」に変えようと思うに至ります。ビジョンが込められた名前には、ステージが上がった今後の方向が示されています。
感想など
◆「神話の法則」そのもの
突然ですが、「神話の法則」というものをご存知でしょうか。
ビジネス書にも時々登場するので、当ブログの読者の皆様は聴いたことがあることと思います。
もともとはこちらの本で唱えられたものですが
人の心を動かす法則といえるもので、多くのハリウッド映画やドラマで使われる手法です。
スター・ウォーズのエピソード4〜6などはまさにこのまんまです。
簡単にこの法則を紹介しすると
「神話の法則の型」
1.日常の世界
2.冒険へのいざない
3.冒険の拒絶
4.賢者との出会い
5.第一関門突破
6.敵との戦い・仲間との出会い
7.最も危険な場所への接近
8.最大の試練
9.報酬
10.帰路
11.復活
12.帰還
という流れになります。
実は今回ご紹介した『ゆめのはいたつにん』を読みながら幾つかのイメージやキーワードが浮かんだのですが、まず気がついたのはこの「神話の法則」でした。
まさに教来石さんの物語自体が「神話の法則」なのです。
本エントリーでは割愛させていただきましたが、公私ともにさえない「日常生活」を送っていた著者が、天啓ともいえるひらめきから「冒険へのいざない」を受け、実際に冒険へ出発し、挫折や困難を賢者や仲間と出会い乗り越え、さらに大きな試練へと進んでいく。
神話の法則の各ステージが本書では織り込まれています。
そして、その過程で著者自身が成長していく姿は、なんとも感動的であります。
さて、おそらく期せずして「神話の法則」とリンクするストーリーを地で歩んでおられるのでしょうが、僕が著者に最大の敬意を払いたいのは「冒険へ出発した」(行動にうつした)ことです。
著者はもともと大学で映画関連の学部に進学していることや、脚本家を目指していた時期があるというバックボーンがあります。
しかしだからといって「カンボジアの子どもたちに映画を届けよう」というふとしたひらめきを、実行する人というのはまずいないでしょう。
そこには地位も名誉もお金(報酬)も存在しないことは予測できますし。
でもやってしまう。
そしてそれに共感する人がつぎつぎと現れ協力して、大きな活動へと発展していく。
現実の社会では多くの人が夢や憧れを持って生きていても達成できずに人生を終えていきますが、結局夢を実現できるかどうかの最大の違いは、行動に移したかどうかなのです。
躊躇せずに、すっと最初の一歩をだしてしまった著者に敬意を払いたいと思います。
◆「be yourself」 あなたらしく
さて、もうひとつ本書を読んでいてまさにこの言葉がピッタリと思ったのが
「be yourself」 あなたらしく
でした。
この言葉は本書の後半、メインイベントともいえる夢AWARDの3次審査でのプレゼン直前、スタッフのゆーや君から教来石さんに送られたLINEのメッセージです。
この言葉が本書全体を通して、ハマり過ぎるほどピタッとハマっていて、もしかすると夢を実現する人の資質を表すキーワードなのではないかと思ってしまいました。
おそらく夢AWARDファイナルの教来石さんの映像を見ていただくと理解していただけると思います。
こちらの映像をご覧ください。
僕はこの映像を本書を読み終えてから観ました。
本書内で教来石さんは自分のことを何もできないダメな人間のように表現しています。
しかし、こういった自分を卑下する表現はビジネス書ではよくあること。
NPO法人を立ち上げて、実際に活動をしている方ですから、僕は勝手に「そうは言ってもできる女性なんだろうな」とイメージしていたわけです。
ところが実際に映像で見る教来石さんは、めちゃくちゃ普通の人。
誰かのブログに「ヘタレキャラ」と書かれたことがあると書いてましたが、正直に言うと僕も「えっ、この人大丈夫?」と思ってしまう頼りなげな雰囲気。
(↑もし著者さんご本人が読まれたらごめんなさい。あくまで印象です。)
でもそれでいいんだと思います。
あくまでも
「be yourself」 あなたらしく
であったからこそ、多くの共感を生んだのだと思います。
もし、自分をよく見せようとか大きく見せようとして、たとえばバリバリのキャリアウーマンを演じて夢AWARDの舞台に立ったとしても、おそらく感動は与えられなかったでしょう。
夢を追いかけるなら自分らしくあれ
本書から得られる大きな教訓の一つだと思います。
ちなみに神話の法則でいうと夢AWARDでのグランプリ獲得は「報酬」かな。
しかしこの後「帰還」とはなりません。
教来石さんの「冒険」はステージを変えてまだまだ続くのです。
◆「夢」は最高の支援物資
最後になりましたが、僕も映画好きの一人。
実は僕も今の職業につきたいと思ったきっかけを作ってくれたのは映画なのです。
だから、「情報がない」、「選択肢を知らない」ために将来の夢を描けない子どもたちに「夢の種まき」という活動はとても重要だと思います。
考えてみれば、僕のオヤジの世代はアメリカ映画に登場する豊かな生活(かっこいい車、おおきくて食品が詰まった冷蔵庫)を夢見て高度経済成長期を生きました。
本書に登場する様々な方の言葉
ワクチンや食料は、生きるための手段。本や映画は、生きる目的を与えてくれる。
「先ほど面接のときに皆さんいらっしゃるので言えませんでしたが、実は途上国を変えるのは映画なんです」
実は私も心のどこかでおこがましくもそんなこと思っていたのですが「映画だと思ってるんです」「映画かもしれませんよ」ではなく、「映画なんです」と言い切られたことに、何やらゾクッとしました。
「もしも虐げられている途上国の女の子が、戦う少女の映画を観たら、自分たちも戦っていいのだと気づくでしょう。映画だけでは無い、本、ドラマ、アニメ。物語を伝えるコンテンツにはね、人間のマインドセットを変える力があるんです 」
にあるように、人間はただ生きるだけではなく、生きる目的が必要です。
食べ物やワクチン、あるいは産業も重要ですが、それとセットで”夢”も支援することが本当の途上国支援なのではないでしょうか。
当ブログとしては大したことはできませんが、教来石さんの活動を応援していきたいと思います。
そして、とても素敵な本に出会えたことに感謝。
目次
はじめに
第1章 ライフ・イズ・ビューティフル
第2章 はじまりのうた
第3章 セレンディピティ
第4章 スタンドバイミー
第5章 ボレロ
あとがき
関連書籍
本作品中で紹介されている著者が影響を受けた映画、上映した映画
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