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夏休みに親子で読んでほしい本第1弾【書評】長友佑都(著)『日本男児』(ポプラ社)

夏休みがスタートしてもう10日か過ぎました。
お子様たちは宿題してますでしょうか? うちの子はだらだらと夏休みを満喫しております・・・。

さて、ワタクシ今でこそ書評ブログなどをやっておりますが、夏休みの宿題で一番嫌いだったのが”読書感想文”。
書くことが苦手だったし、そもそも何を読めばいいかもわからない。

今日ご紹介するのは、そんなお子様におすすめの一冊。
しかもビジネスパーソンが読んでも示唆に富む内容なので、せっかくの夏休み、親子で読んではいかがかと推薦させていただきます。

 

【目次】

はじめに
第1章 初志貫徹
第2章 一期一会
第3章 一意専心
第4章 切磋琢磨
第5章 試行錯誤
第6章 有言実行
第7章 一心不乱
おわりに

【ポイント&レバレッジメモ】

サッカーを嫌いになってはいなかった。僕はただ、環境が好きじゃなかった。
「環境のせいにするな。すべては自分次第で変えられる」
今ならそう考える。どんな環境であっても自分さえしっかりしていれば、成長はできるし、有意義な毎日は送れる。嫌なことも、とらえ方や見方を変えれば、
プラスに転換することができる。すべては自分次第なんだ。

真っ白なノートを前にして、今日一日あったことを振り返る。なにが起き、どんな行動をし、そしてどういう風に感じたのか?頭の中であれこれ考えると、その瞬間には自覚していなかったさまざまな自分の感情に気づくことが出来る。
そして、文字にして書く。パソコンや携帯なら、文字を打ち込みながら、書き進めることが出来るけれど、ノートに書くという作業は、書き始める前にある程度、自分の気持ちを整理しなくちゃいけない。そして、ノートの上に記された僕の感情を読むことで客観的に自分を見つめることができた。

”努力する才能”がないと、成長できないと思う。
どんなにサッカーがうまくても努力をしないと上へは行けない。
現在の自分に満足せず、なにが足りないかを知り、それを補うトレーニングを行う。
”努力する才能”とは、努力することを躊躇(ためら)わない勇気でもある。

僕は、安定した日々を送りたいとは考えていない。安心した気持ちで暮らしたくはない。不安というのではなく、常に危機感を抱いていたい。そういう気持ちがあれば、頑張るしかないと考え、成長に結びつくから。だから、がけっぷちに立っているような緊張した毎日のほうが、実は居心地がいい。

たとえば、試合でピッチに立つ選手は22名。その中でいち早く目につくのは、足が速いとか、パスがうまいとか、誰にも負けないストロングポイントを持った選手だ。すべてのことが平均的に出来るだけでは、上へは行けない。
東福岡の100名を超える選手たちの中で、監督の目に留まるために、長友佑都というプレーヤーを認識させるためには、短所よりも長所を伸ばすベキだと考えた。自分がピッチで活躍しなければ、未来は開けない。だから、自分を客観的に見て、まずは武器を作り磨く。その後ウィークポイントを克服する作業をすればいい。

努力したことで、得られるものは本当にたくさんある。努力の成果はピッチの上だけに現れるものじゃない。たとえば、努力する過程での人との出会いも成果のひとつ。他人から見れば、気がつかないような小さなことであっても「成長出来ている」「良くやった」と感じること、ちっちゃな幸せを積み重ねていくことが大事なんだ。<中略>
「ありがたいな」と思う気持ち、感謝の心を持つことは、そういう小さな幸せを手にするチャンスをたくさん作ってくれる。成長するために、感謝の心は必要不可欠なんだ。

走力、スタミナ、1対1の強さ、身体能力の高さという僕の武器を活かすサイドバックへ起用してくれた監督には、本当に感謝している。
自分の気持ちや決意、信念を貫き通すことは大切だ。でも、第3者の客観的な目、言葉に耳を貸すことも同じように重要なんだ。周囲の人の声を聞き、そのうえで、考えて決意する。考え方が違うとか、わかっていないと耳をふさぐのは、もったいないことなんだと、この経験を通して僕はそう思うようになった。

 同じ現実の直面したとしても、気の持ちようでいろいろなことが変わってくる。
 ヘルニアでサッカーができないことで、「何でおれだけがこんな大変な思いをしなくちゃいけないんだ」と考えれば、すべての行動が投げやりになるだろうし、そうなれば中途半端な結果しか得られない。もしくはなにも得られない。そして、周囲への負のオーラを放ってしまう。
 だけど「プレーは出来ないが、チームのためにやれることに全力を尽くそう。できることは手を抜かない」と、前向きに考えれば、自分の中のネガティブな思考は消えるし、自然と充実した毎日が過ごせる。

 サッカーにはミスはつきものだ。判断ミス、単純なプレーでのミス、意思疎通がうまくいかずチームとしてミスを犯すこともある・・・・・ミスは必ず起きる。そして、ディフェンダーのミスは致命的なダメージをチームに与えるリスクもある。90分間、ミスなしでプレーすることは不可能に近いのかもしれない。慎重なプレーを選択してもミスは起きるし、事故のような失点もある。逆に慎重なプレーは消極性を生み、そうなればプレーの質は必ず低下する。
 重要なのは何が起きても平常死んでいることだ。ミスを受け入れ、気持ちを切り替えて、やるべきプレーを精一杯行う。どうしてもミスは起きてしまう。大切なのは同じミスを繰り返さないという姿勢なんだと、僕はこのとき思った。

 自分の弱さを理解したうえで、「何をすればいいのか?」と考えた時、行きついたのは「ストロングポイントでは絶対に負けない」というシンプルな答えだった。

 アメリカ合宿でもFC東京と同じように「自分の武器で勝負する」ことを意識した。それは何より自信を手にしたいからだ。「俺は出来るんだ」と思えれば、「もっとやれる」と考えられる。
 「俺は出来るんだ」と思うことで、不安やネガティブな感情を抑え込める。だから僕は自己暗示をかけるように、そう思うときがある。
 自分の力を信じる力、自信があれば、困難を前にした時も前向きにチャレンジできる。
 出来るかな、じゃなく、やれるんだという気持ちで挑めば結果も違ってくる。
 そのためにはだれにも負けない自分の武器が必要だし、自分を信じられるだけの努力を日々重ねなければいけない。

 今の頑張りが、自分の成長へつながる。
 悪い時を乗り越えてもう1ランク上に成長できるかが大事なんだ。苦しい時こそが勝負の時だから。
 「なんだかうまくいかないなぁ」そ漠然と過ごすことはない。「なんでうまくいかないのか?」とその理由を必死で探す。絶対に理由が存在し、すべてに意味があり、教えがあり、学びがある。それに気がつけるかどうかは重要だ。だから、困難にぶつかったときは、冷静に客観的に自分を見つめ直す。そうすることで、解決策、打開策が見つかる。
 壁にぶつかったときこそ、成長のチャンスだ。

【感想など】
最初にお断りしておきますが、ワタクシは全くサッカーについては知りません。

サザエさんちのカツオ君のように、学校が終わったら近所の広場にあつまって、野球ばっかりやってた世代ですから。
サッカーやってた子は周りに一人もいなかったなぁ。

だから、昨年のワールドカップも、先日のなでしこジャパンの優勝も、日本チームの躍進は素直にうれしいし、感動もするわけですが、1試合も中継を見ることもなく、終わってしまいました。

スポーツニュースで結果を見るぐらいかな。
ですのでサッカー選手もほとんど知らない。
ワタクシの中でサッカー選手と言えば、いまだに”KINGカズ”というぐらいですから。

そんな私が前回のワールドカップで覚えている数少ない選手は、長谷部選手と長友選手の2人。

でも、長谷部選手は”超訳ニーチェ”を読んでいるという記事を読んで印象に残っているだけで、プレーが印象に残っているわけではない(スイマセン)。

ワタクシにとって、プレーで記憶に残っているのが長友選手でした。
それも、試合中継を見ていないので、スポーツニュースのほんの数十秒のVTRを見ただけで強烈に印象に残っているんです。

ではなぜ長友選手がそれほど印象に残っていたかと言うと、それは彼の動きと体の使い方が今までのサッカー選手に対するワタクシのイメージと異質だったから。

体の大きい外国人選手と接触しても体の軸がぶれない体幹の強さ、これはかなり体幹を鍛えているなと。

失礼承知で言わせていただきますが、武道経験者の目で見た時、サッカー選手はさすがに下半身は強靭ですが、多くの選手が上半身とそれを支える体幹が弱く、そのため上半身と下半身のバランスが悪いという印象をうけていました。

しかし長友選手の動きと体型を見たとき、「この人はサッカー選手というより、キックボクサーの体型だな。この下半身と体幹の強さならKー1のミドル級で戦える」と思ってしまったのです。

そして、野武士のような風貌。

それで強く印象に残っていたわけですが、本書を読んで納得。
ヘルニア対策でしっかり体幹を鍛えていたんですね。
それに1対1での強さが彼のストロングポイントなわけですから、格闘家のような体型も頷けます。

さて、前置きがすごく長くなってしまいましたが、夏休みに親子で読んで欲しい本第1弾として、本書を紹介します。

お子様には、どうか素直に本書を読んでもらいたい。
特に、努力することの大切さ、努力を続けることだけが偉大な結果へと到達する唯一の道だということを知ってもらいたい。
それに気がついてくれれば十分。

そして、大人へは・・・。

今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、ビジネスパーソンにも通じる長友選手の考え方をランダムに抜き出してみましたが、どうですか?示唆に富んでますよね。

サッカーはチームスポーツです。
チームメイトという同僚と、監督・コーチといった直接の上司の元で目標を達成するために闘う。
また、そのチームはFIFAなど、さらに大きな組織に属して活動しています。

こういった点は会社組織とよく似ていますよね。

そして、チームの中で自分をアピールし、自分のポジションを掴み、次のステップを目指す。
これもビジネスの世界と似ていますよね。

だからこそ、ビジネスパーソンにとって読む価値のある本だと思うのです。

例えば、
沢山の学ぶべきポイントが散りばめられている本書ですが、長友選手がアマチュア時代からこだわってきたのが

「ストロングポイントでは絶対に負けない」

という点。

すべてに平均点ではなく、何かひとつずば抜けたものを、つまり”武器”をもつことの大切さを教えてくれます。

これはそれほど難しいことではありません。
なんでもいいんですよ、「この問題は○○さんが専門家」「これは○○さんに任せておけば大丈夫」といったシーン、職場でありますよね。

まず、社会人となったらこのレベルを目指しましょう。
何かあった時に、名前を思い出してもらえるものを何か一つ、とにかく早く手に入れること。
これがまさしく突破口となるわけですから。

また、組織の中での悩み事のトップはいつの時代も、どの職種でも人間関係だと思います。
それも上司との人間関係。

嫌な上司との軋轢は、進退問題にまで発展したりします。

サッカーでは上司は監督なわけですが、この点に関して、

僕はまず、「監督を好きになろう」と考える。やっぱり監督をリスペクトする気持ちがないと、その監督のもとでは闘えない。「なんだ、この監督」と思っていると、それがプレーに出る。

確かに試合に使ってもらえないと監督を批判する選手もいる。でも本当にスゴイ選手だったら、使ってもらえる。自分がダメだから起用されないだけなのに、それを監督のせいにするのはおかしい。

これはなかなか言えませんよね。
普通は「上司が馬鹿だから俺のアイデアをわかってくれない」と、新橋あたりでくだをまくんですよね。

尊敬できない上司でも、好きになるというのはなかなかできることではないのですが、でも、結局これしかないんだとワタクシも思いますね。

こういったビジネスパーソンへの示唆に富む本書ですが、もう一つおすすめの点が、長友選手のお母様の子育て哲学。

「私、思うんよ。佑都は絶対アスリートに向いているって。だから、その道で勝負して欲しいんよ。もしアカンかっても別にかまへんし。挑戦せな、失敗も出来ひんやろ」

この言葉にはガツンとやられました。

挑戦させることが大切なのに、いつしか失敗を責めることばっかりしていたなと。
反省、反省。

うちのバカ息子が、漢字の書き取りで、“責任感”と書くべきところを、“責任盛”と書いたからといって責めてはいけません。
どんどん挑戦です!
子育て哲学書としても参考になる本です。

最後に、今の日本にぴったりの長友選手の言葉を

ひとつになること。ひとつになれることは、日本人のストロングポイント。この強みを磨き、活かすことで、世界と戦える。

【関連書籍】

こちらは前回のワールドカップ、日本代表キャプテン長谷部選手の著書。
ワタクシは未読なのですが、読書家としても知られる長谷部選手だけあってワタクシの周りの本好きの間で評判のいい本です。

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