久しぶりの書評です。
今日ご紹介するのは、3月に読んでいたのに記事にするのが延び延びになっていた
白潟敏朗(著) 『仕事の5力』 (中経出版)です。
5月も終わりになって今更とお思いでしょう。
しかし、ちょうど4月に入社したフレッシュマンも研修が終わり実戦配備されたころ、5月病も乗り越えてそろそろ仕事に面と向き合えるころあいだと思い記事にしてみました。
とにかくフレッシュマンに読んでほしい一冊。
さてその中身は・・・
【目次】
第1力 聴く力
シンプルしかけ1 聴くモードスイッチ
シンプルしかけ2 へそぎき
シンプルしかけ3 あいのソナタ(あいソナ)
シンプルしかけ4 忍法おうむ返し
第2力 考える力
シンプルしかけ5 まぜならばシート(なぜシー)
シンプルしかけ6 3つにまとめる訓練シート(みつまめくん)
シンプルしかけ7 メリデメ・シンキングシート(メデシー)
第3力 話す力
シンプルしかけ8 セリフ007
シンプルしかけ9 にこチラ
シンプルしかけ10 具数一(グースーヒー)
シンプルしかけ11 結論からいうと、なぜならば
第4力 書く力
シンプルしかけ12 これかライティングシート
シンプルしかけ13 文章のGood Styleシート(グッシー)
シンプルしかけ14 プリントからスタート(プリスタ)
シンプルしかけ15 もじ50
シンプルしかけ16 主をぬくな
第5力 時間力
シンプルしかけ17 じかん上手
シンプルしかけ18 できる私は30から
シンプルしかけ19 マイアポもテチョ~ル
シンプルしかけ20 毎日・ときどき・多分
【概要】
まず巻頭に
京セラ名誉会長 稲盛和夫氏の[人生・仕事の方程式]が登場します。
[人生・仕事の結果]=[考え方]×[熱意]×[能力]
「かけ算」になっているから[考え方]がマイナスだったり[熱意]や[能力]がゼロだったりするとトータルでの結果がゼロやマイナスになります。
次に船井総合研究所の船井幸雄会長が提唱する「伸びる人材の3条件」が登場します。これは先述の[考え方]にあたります。
「のびる人材の3条件(考え方)」・・・1[素直]、2[勉強好き]、3[プラス思考]
本文中にもあるように逆を考えると納得
つまり「伸びない人の3条件」・・・[素直じゃない]・[勉強嫌い]・[マイナス思考] 納得でしょ!
さて、上記の[考え方]がすでに備わっており、仕事の対する[熱意]もあるならば、あとは[能力]さえあれば[人生・仕事の結果]はおのずと良いものになるわけです。
本書では[能力]のうち、[基本的なスキル]=「5力」について書かれています。
この手のビジネスハウツー本は世の中にごまんと出ていますが、問題は読んでるときは「なるほど、こうすればいいのか、やってみよう!」となるものの、いざ実行し、続けるのが難しい点。
それに関して本書の著者は簡単に実行できるよう「シンプルしかけ」として20個用意してくださいました。しかも
「シンプルしかけ」の特徴
1「かんたん実行」・・・かんたんに実行できる
2「らくらく継続」・・・らく~に継続できる
3「みるみる成長」・・・気がついたらみるみる成長できる
という条件を満たしたものです。
それでは「シンプルしかけ」とはいかなるものでしょうか?
【ポイント】
ここまで引っ張っておきながら大変恐縮ですが、本書はハウツーものですから「ネタばれ」注意しつつ書かねばならないことをご了承ください。
一応私が気になった点や気に入った所を抜粋という形で書かせていただきます。
目次から内容を想像しつつお読みください。
★第1力 聴く力
「話を聴く人は好かれる」→「人の話を聴くことにより人生の80%は成功する」(デール・カーネギー)しかし人の話を聞くのは難しい
<人に好かれる聞き方 5大原則>
①聞き方は「80対20の法則」で
②人の話を奪い取るな
③相手の話を即座に否定しないこと
④相手の言うことを即座に肯定すること
⑤反論に反論しないこと
箱田忠昭(著) 『「できる人」の聞き方&質問テクニック』 (フォレスト出版)より
「ポジティブ・リスニング」(心を開いてもらう聴き方)の4つの体系
1「ハート・リスニング」(心で聴く) ・・・ハーリスの「3ない」
2「ボディ・リスニング」(体で聴く) ・・・ボディリスの「3く」
3「リターン・リスニング」(あいづち・繰り返しでのせる) ・・・リタリスの「3あい」
4「クエスチョン・リスニング」(質問で聴き出す) ・・・クエリスの「3もん」
↑これがシンプルしかけの部分ですが
内容は本書を読んでください
★第2力 考える力
「考える力」は「センスではなくて訓練で身に付くもの」
自分が解決したい問題について、「なぜならば」を考える(なぜグセをつける)→理由(3個以上)を紙に書き出すことでロジカルシンキングが可能になる→続けていると考えることが苦にならなくなる
解決策をたくさん出して、重要な3つを選び、選んだ理由を考える→「どれが正しいのか探し当てる」野は考える力がいるので、もっとも重要な3つに考えをしぼっていく過程で、思考力が強化される
「メリット」「デメリット」の両方を見比べながら、判断する→選択する際にデメリットまで考えられると、いい判断ができる
「ロジカルシンキング」とは「筋道を立てて『考える』こと」
<論理的思考力向上の3ステップ>
ステップ1 「まぜグセをつける」 → 本当の原因が見えてくる
ステップ2 「紙に書く」 → 頭の中が整理される
ステップ3 「人に説明し意見交換する」 → 他人の目からのチェックは「絶対に自分一人では気づけない視点」をもっている
★第3力 話す力
「メラビアンの法則」によると会話は
・「バーバル(言語的)」・・話の内容(7%)
・「ノンバーバル(非言語的)」・・話し方やボディランゲージ(93%) の二つに分けられる。
会話に占める「話の内容」の重要度はわずか7%だと自覚する → 「話し方」や「ボディランゲージ」の工夫ができうまく話せる
人と会ったとき「笑顔で相手の目を見る」ことで好印象を与える → 「笑った眼」ほど、人に好印象を与えてくれるものはない
「ボディトーキングの6トーク」
①スマイル・トーク
②アイ・トーク
③ハンド・トーク
④アクション・トーク
⑤リアクション・トーク
⑥タッチ・トーク
この6トークで話の55%の部分をカバー
話は「具体的」で「数字」を入れ、「一言」で語る → 具体的に数字が入った話を一言で語るので、説得力がアップ
「結論から言うと○○~、なぜならば○○~」を口癖にする → 結論が「一言」でいえ、具体的に数字で語れる習慣がつく
ビジネスの会話では「結論から言う」法が明快でわかりやすいので圧倒的にメリットは多い
★第4力 書く力
かくりょく向上の3ステップ
<ステップ1>文章でいちばん伝えたいことを考える
<ステップ2>文章の構成を考えて、「いちばん伝えたいこと」から書く
<ステップ3>書いた文章を「チェックして分かりやすくする」
「ビジネス文章」はわかりやすさが一番、「上手な文章」とか「美しい文章」は目指す必要がない。
書く前に、1「だれに?」2「なにをいちばん伝えたいか?」を考える → 「書くまえに考える」ことで、書く内容が明確に整理整頓される
タイトル→目的→結論→理由の順番で、ひな型どおり簡潔に書く → 「ひな形」に沿って書くだけで、よいビジネス文書が書ける
文書を書き終えたら必ずプリントして、紙の上でチェックする → 「チェック効果」は紙の上で行うことで、数倍になる
一文が50文字以上ある場合は、2つに分けるなど、一文を短くする → 一文の長さが50文字以内だと、ビジネス文書はわかりやすい
「文章に主語があるかどうか?」をかならずチェックする → 文章には主語を必ずつけることで、はるかにわかりやすくなる
★第5力 時間力
次の日の仕事を「書き出して順番をつけ」、翌日、順番通りにやる → 順番をつけて紙に書き出すことで、時間管理の力が数倍になる
作業時間も記入するとさらに効果的
箱田忠昭(著)『「できる人」の時間の使い方』(フォレスト出版) より
スケジュール管理の手帳を「30分きざみの手帳」に変更する → 「30分きざみの手帳」なら「すきま時間」を有効に活用できる
「自分ひとりの仕事」も、きちんと手帳に書き入れておく → 「自分でやる仕事
の作業時間」がキープでき、作業モレがない
「毎日使う」「ときどき使う」「多分使わない」に分類する → システマティックに捨てる技術が身につき、整理整頓につながる
・「整理」は、イラナイものをすてること
・「整頓」は、整った状態にすること
【感想】
私自身が特に気なったのは「聴く力」と「話す力」。
書いたり考えたりすることほど何も考えずにやってますよね。
本当に人の話を聞くのって面倒くさいしつまらないことが多いのですが、この本に書かれている方法は、聴こうと努力するのではなく相手をうまく乗せて気持ち良く喋らせるということでしょうね。
カーネギーが言うように「人の話を聴くことにより人生の80%は成功する」のであれば、どんどん聞かなければいけませんね。
それと「話す力」で出てくる「メラビアンの法則」。
話の内容がたった7%で、あとの93%が口調、抑揚、語調、言葉の使い方、沈黙などの「話し方」と、ジェスチャー、姿勢、表情など「ボディランゲージ」で相手に伝わるのだとしたら、本書が言うようにノンバーバルの部分を練習する必要がありますね。
そういえばヒトラーの演説がまさしくノンバーバルをうまく使ったものだったことを思い出しました。
う~ん、シンプルしかけと言いながら奥が深いです。
すべてを実行するのは難しいので、読んでみて気に入った「シンプルしかけ」があれば実行すればいいと思います。フレッシュマンはもとよりベテラン組も一読の価値ありの一冊でした。