
おはようございます!
今日ご紹介するのは、発売後即ベストセラーとなっているこちらの本。
百田 尚樹(著)『夏の騎士』新潮社
当ブログでは生活や仕事に役に立つ情報をお伝えするために、文芸書はめったに紹介せず、もっぱら実用書・ビジネス書・ノンフィクションを紹介していますが、この本だけはどうしてもブログで取り上げたく、今回この記事を書くことにしました。
とはいえ、小説ということでネタバレするわけにはいかないので、今回は読書メモは無し。
感想のみをお伝えしたいと思います。
百田 尚樹(著)『夏の騎士』:感想
◆圧倒的に心地いい読後感
勇気 それは人生を切り開く剣だ。
この一文から始まるこのストーリーは、主人公の遠藤宏志と木島陽介、高頭健太の3人が結成した「騎士団」の友情と、少女殺害事件を巡る冒険、そして騎士団のレディ有村由布子や、ストーリーのキーパーソンである壬生紀子との恋のものがたりです。
時代は昭和最後の年。
男の子なら誰もが憧れた秘密基地が登場し、いわゆるギャングエイジの少年たちが主人公。
物語の伏線として殺人事件が絡んでくるので、「百田版スタンド・バイ・ミー」とAmazonなどでは紹介していますが、これはあくまでこの物語の”スパイス”であり、その点、『スタンド・バイ・ミー』とは全く違います。
そもそも、内容に詳しく触れることはできないため説明しにくいのですが、『スタンド・バイ・ミー』と『夏の騎士』が圧倒的に違うのはその読後感。
僕はもう随分前になるのでストーリーもうる覚えですが、『スタンド・バイ・ミー』って正直言ってそれほど印象に残らなかった。
しかし、『夏の騎士』はとにかく心地良い読後感がずーっと続くのです。
なんともいえない優しい気持ち。
そして、自分の人生まんざらでもなかったなという満足感。
それは、昭和を知っている世代だから、そして平凡だけどそれなりに人生を生きてきた年齢だから味わえるのもしれません。
ですが、きっと若い世代にも伝わると思います。
とにかくこんな読後感を味わえる本に、僕は今までであったことがありません。
◆人は「わずかな勇気」さえあれば人生を渡っていける
時代や年齢的なこと以外にも、この本には共感を与えてくれる要素があります。
それは先述した書き出しの「勇気」というキーワード。
この物語の主役の3人の「騎士」はごく普通の少年たち。
百田尚樹さんといえば現代の超一級のストーリーテラー。
『永遠の0』では凄腕のゼロ戦パイロット、『海賊とよばれた男』では並外れた経営者を主人公にしてきました。
その主役たちは並外れた「勇気」を持った人たちでしたが、『夏の騎士』の少年たちは本当に普通の小学生なのです。
勉強ができるわけでもなく、喧嘩が強いわけでもない。
そんな取り柄のない少年たちが、本の少しの「勇気」と、勇気を振り絞ってした「行動」。
さらに行動に伴って得た「出会い」。
これで人生が変わっていくのです。
特に能力がなくても、人生はほんの少しの「勇気」を持つことでなんとかなる。
それさえあれば僕たちのような凡人でも大丈夫なんだという「勇気」を与えてもらえるのが本書なのです。
◆絶対に最後のページを先に読むな!
さて最後に、本書を読むときのアドバイスを一つだけしておきます。
それは、最後のページを先に読むな! ということ。
多分そういう人は多くないと思いますが、僕はときどきやってしまいます。
この本は、最後のページ、最後の3行でドーンときます。
このドーンを味わうために、絶対に1ページめから順番に読んでください。
以上、感想やらアドバイスやら書き散らしましたが、僕のような昭和を覚えている世代は文句なしに楽しめます。
そして、季節柄、読書感想文にもいい本ですので、お子様にもオススメください。
この本、後日文庫化されたら絶対「新潮文庫の100冊」の常連作品になるだろうな。
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