自分はクリエイティブじゃない。アイデア発想は苦手だなと思っている人。
諦めるのはまだ早い。
才能も努力次第で習得できる技術だとしたら、あなたはどうしますか?
【目次】
第1章 創造のプロセスを「仕組み化」する
第2章 さあ、始めよう!
第3章 Stage1:探査 問題を把握する
第4章 Stage2:構築 ルールを組み立てる
第5章 Stage3:確認 ルールを見定める
第6章 Stage4:実行 ルートを実際に進む
第7章 仕事を楽しむ
第8章 グループで創造性を高める
第9章 テクニックを超えて
【ポイント&レバレッジメモ】
★「創造エンジン」・・・アイデア発想と実行のプロセスを、よりスムーズにするためのフレームワーク
◇「創造エンジン」4つのステージ
「ルート探査」
「ルート構築」
「ルート確認」
「ルート実行」
創造性のテクニックを使うというのは、想定やルールなどをいったん忘れることなのです.いったん取っ払ってしまい、なんでもありで考えるのです。そのあとで現実に戻り、実際に存在している制約やルールを考慮していきます。
創造性のテクニックは、「異なる視点を与えることで問題を変形させる」ことに、その本質があります。
★「ルート探査」
「ルート探査」は、あらゆる創造的解決策の可能性を排除せずに、問題の明確化を図る活動です。「創造エンジン」のプロセスにおいて、このステージでは、思考の発散と収束を繰り返し、最終的に状況の全体像を明らかにして、このあとどのように進むべきかを決めていきます。
◇問題を明確化するための5つのツール
①コンパス
②障害マップ
③レベルチェーン
④航空測量
⑤目的地
★「ルート構築」
構築とは、原材料を集め、新しいものをつくりあげることです。創造エンジンにおける「原材料」とは、思考、記憶、アイデア、それら全てを結びつなげる脳力です。
これらを結びつなげるプロセスは、通常、使い慣れたいつもの道筋で行います。しかし、普段より創造的に進めたいときには、この「いつもと同じような、決まった道筋」が邪魔になります。
この章で扱うテクニックは、習慣的に脳が組み合わせるパターンを超えて、新しい領域にシフトしていくためのものです。
◇「ルート構築」プロセスで使う4つのテクニック
●障害物をくぐる「トンネル」
●飛び越える「ブリッジ」
●まわり込む「バイパス」
●「新しい目的地」を見つける
◇創造的であることに対して立ちはだかる主な障害は、じつは、あなたのまわりの人の反応です。まわりの人の否定的なコメントが、いかに影響を及ぼすかを過小評価していると、良いアイデアを失ってしまう危険性があります。
★「ルート確認」
この活動には2つの役割があります。ひとつは、あわただしい創造活動のあとにひと休みして、つくりだされたものを評価すること。もうひとつは、微調整を行い、生みだされた解決策やアイデア発想が果たしてベストかどうかを見定めることです。
◇「ルート確認」で扱う5つのツール
・入口ランプ
・手洗所
・展望ポイント
・道路標識
・警告マーカー
◇ただ覚えておいてほしいのは、実行可能なアイデアを魅力的なものにするより、魅力的なアイデアを実行可能にするほうがはるかにたやすいということです。
創造を起こすためには、新しい知識をベースにしながら、既に知っていることを超えて発展させることができなければならないのです。物事が、「何であるか」より、「何になり得るか」または「何になり得ないか」を知る必要があるのです。
★「ルート実行」
「想像力に富むだけでは不十分だ。実行を伴わないものは創造的ではない」と。
「実行なくして創造なし」。これが本書のメッセージです。
◇ルート実行において必要な4つのプロセス
プロセス1 ジャニープラン
プロセス2 旅の途中で必要となるツールを携える 「リソースリスト」「携帯電話」
プロセス3 チェックポイントの設定
プロセス4 到着を告げる
◇「フレクシブルアプローチ」
製品デザイナーが市場に合った新商品を考える際に、フレクシブルアプローチの手法を使います。このアプローチは、「プロトタイプをつくる」ことと、決めた時間内で、「何度も試験を繰り返す」ことの、2つの重要な要素からなっています。
◇フレクシブルアプローチ・4つのステップ
「コンセプトモデル」「デモンストレーター」「ワーキングサブセット」「最終製品」
★仕事を楽しむ(抜粋)
◇仕事を心から楽しむ
仕事を楽しんでいる人たちが、組織の創造性のレベルをかなり持ち上げてくれるという事実です。われわれは、楽しむことと創造性の間に、直接的な関係があると確信しています。
それは学術的な研究をもって証明できるものではないのですが、創造的な組織とは、常に楽しい組織であることは実証できます。
◇利他的なネットワーキングに取り組む
「あなたがその人たちを好きだから、連絡をとり続ける」ことです。そういう気持ちで人とのつながりを保っている人は、関係をより楽しむことができ、単に利己的な手段としてネットワーキングに取り組んでいる人より、ずっと人との関係から多くのものを得ることができるでしょう。
人から何をしてもらえるかではなくて、自分が相手に何をしてあげることができるかを考えながら、人脈としての関係を持ちはじめましょう。
◇自分にとって本当に重要なことを知る
あなたにとって何が重要なものなのかを知らずして、楽しみのレベルを上げることなどできません。もし自分にとって何が重要なのか、既に分かっているというなら、次は、それが自分に対して何の助けになっているか考えてみてください。
【感想など】
本書の帯には
発想(クリエイティビティ)は才能ではない。技術だ!
と書かれています。
「持って生まれた才能」なのか?それとも才能とは「練習努力で習得できるもの」なのか?
この問題提議に対してワタクシは、スポーツでも芸術でも、本書のテーマであるアイデア発想でも、はてはモテまでも、「才能(センス)は練習や努力である程度(それもかなり高い)のレベルに到達できるのではないか」と考えております。
そう考えるようになったきっかけは、フォトリーディングの講習で講師が語ったポール・シーリィ(フォトリーディング創始者)の奥さんの話でした。
ポールの奥さん(名前忘れました、ゴメンナサイ)は画家ですが、全然絵が売れなかったそうです。それが、一念発起して画集など芸術関連の本を数千冊フォトリーディング(プレビュー)すると、自分の描いた絵が売れ出したとのこと。
大量のインプットがやがて“絵のセンス“という質に転化してアウトプットされ、絵が売れ始めたのだというのです。
つまり芸術的センスも努力次第で高めることができると。
これと似たようなテーマを扱ったのがこの本
「一万時間の法則」と呼ばれる法則が紹介されていますが、だいたいこれくらい練習すると一流(天才)の域に到達するという主張ですね。(ただし、すごい練習量ですが…)
となるとアイデア発想も実は同じでないかと思うのです。
歴史に残るようなアイデア発想といえば、「りんごが木から落ちるのを見てひらめいた」とか、「夢のお告げで」とか、何やら突拍子もなく神がかり的な、そしてスピリチュアルな香りが漂うのですが、たいていの場合、発明者や発見者というものは、それまでにものすごい量の研究をやってるわけで、何もないところに急にひらめくなんてことはありません。
それにもし素人がひらめいても、それを形にすることはできませんから。
ワタクシ思うに、大量の情報インプットというベースがあることが前提ですが、創造的な発想やアイデアといったものもトレーニング次第で形になる率が上がるのではないかと考えています。
大量の情報インプットの部分は、読書術の本やワークライフバランスの本にお任せするとして、本書では発想以後の部分の道筋を学ぶことができます。
本書でいう「創造エンジン」とは
解決したい問題の状況把握から、創造的解決策のアイデア発想・実行までの一連の流れを「仕組み化」し、皆さんに体得し、実践してもらうことが本書の狙いです。この一連のアプローチを、「創造エンジン」と呼ぶことにします。
ということなのですが、このプロセスが実に秀逸。
基本的には
「探査」⇒「構築」⇒「確認」⇒「実行」
の4つのステージに分かれており、それぞれのステージでさらに細かなテクニックが披露されています。
(ネタばれ自重のために割愛させていただきましたが…)
この手順の可視化が素晴らしい。
まさにここが本書のキモ!
アイデア発想法的な本はこれまでたくさん見てきましたが、発想したものを実現する手順を再現性の高い“フレームワーク”にして、伝えている本をワタクシはじめて読ませていただきました。
この本、使える予感がします。
ワタクシ個人的な感じですが、この本はとんでもない逆転の発想を生み出すためというより、より現実に沿った「問題解決」のための発想方法が書かれている様な気がします。
(でもこれって凄いこと。だって仕事のほとんどは“問題解決”ですから)
それだけに、かえってワタクシのような発想の貧困な者でも、この“型”どおりに実行していけば、ちょっとはましなアイデアが出てきそうな予感がするんです。
そう、まさに干場社長の言葉を借りれば
凡人のための想像力養成講座
ただし、ハードルは低くはないですよ。
本書は各項目ごとにエクササイズも掲載されていて、それを解きながら読み進めていくことができるのですが、ワタクシ最初のエクササイズでもうつまずきましたから。
そのエクササイズがこちら
まず自分が川岸に立っているとイメージしてください。
幅が5メートルある川です。
その川を渡るために、1本の鉛筆だけが渡されています。
では問題です。
どうすれば、たった1本のこの鉛筆を使って、5メートルもの幅がある川
を足を濡らさずに渡ることができるでしょうか?
この答えは本書をお読みいただきたいのですが、ワタクシは思わず「それ反則やろ!」と叫んでしまいました。
でも、よく考えれば、別にクイズじゃないし、入試問題でもない。
自由に発想していいわけですよ。
でもこれが一番難しかったりします。
本書では 想像力を妨げる8つのもの が紹介されていますが、②固定概念 ③すでにある経験や知識 といったものが、いかにワタクシたちの発想の妨げになっているか、本書を読むと痛感させられると思います。
ま、そんなことを言っていても仕方がない。
大切なことは、本書にもあるように
今すぐ行動に移す
こと。
本書のような書籍は、読んで終わりにしてしまうか、または「よし、いつかやらないといけない!」と思い、でもやはりそこで終わりにしてしまう人が多いものです。この手の本を読んで、何か行動に移す人は、稀なのです。
でも、そんな習慣は変えて、今すぐスタートしてください。
これまで挙げた例や提案を挑発だと受け止めて、今から始めてください!
と本書末には書かれています。
もっと豊かな発想を手に入れたい方、仕事上の問題を解決したい方、是非一読あれ!
【追記】
本書の訳者、泉本行志様がブログ Knowledge Bridge で当ブログを紹介してくれました。
素晴らしくポイントをまとめて下さっています。
これを読んだら、本読まなくてもいいかも・・結構大変でしたが、翻訳して良かったです。
ブログ「一流への道」管理人、一龍さん、どうも有難うございました!
【関連書籍】

ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ
- 作者:横田 尚哉
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)