
ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ
- 作者:横田 尚哉
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
企業組織や仕事の改善だけではない。
ファンクショナル・アプローチは人生の武器としても使えます!
【目次】
まえがき
1章 ワンランク上の問題解決とは
2章 実践ファンクショナル・アプローチ ステップ1 準備
3章 実践ファンクショナル・アプローチ ステップ2 分解
4章 実践ファンクショナル・アプローチ ステップ3 創造
5章 実践ファンクショナル・アプローチ ステップ4 洗練
6章 日常をファンクショナル・アプローチで考える
終章 目標に向かって、とるべき針路を見つけよう
付録 ファンクショナル・アプローチ・シート
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★ファンクション
「わずかに現れている兆候から問題を見つける」ためには、日頃より問題に対する感度を高めるとともに、新たな視点を持っておく必要があります。新たな視点とは、現象にとらわれずに本質を捉えることのできる視点です。本書ではその本質のことを「ファンクション(機能、目的、効用、意図)」と呼びます。ファンクショナルな視点を身につけることで、問題を早期に発見できるようになります。
あなたが見ているもの、聞いているもの、触れているもの、・・・これらのものはすべて、「何かを表現するための手段」であるということに着目してください。「モノ」「コト」そのものを行ったり、提供したりするのが目的ではありません。「モノ」や「コト」を通して、何かを表現しようとしているのです。その表現の源となっているものが「ファンクション」です。
「ファンクション」とは、意味であり、意図であり、働きであり、役割であり、目的であり、効用であり、効果であり、性能であり、理由であり、機能です。まず「ファンクション」があり、その結果として「モノ」や「コト」が生まれたのです。
★問題解決=改善点×解決手段
改善点がわかっていても、問題は解決できません。解決手段がいくらあっても、問題は解決できません。「何を」「どのように」改善すればいいのか。この両方がそろって、はじめて問題は解決されるのです。
★改善点に大きなヒントがある
解決手段は、<中略>多くは成功例や失敗例といった前例や事例、あるいはそれを知っている人物、組織、文献などにあります。つまり解決手段は、問題の「外」にあります。<中略>
一方、改善点は、<中略>現状をよく観察し、調査分析や仮説検証することによって、少しずつ見えてくるものです。つまり、改善点は問題の「内」にあります。
ワンランク上の問題解決をするためには、まず改善点に焦点を当てることです。問題の「外」に向かうのではなく「内」へ向かうことです。
★ワンランク上の問題解決をもたらす思考のルール
・固定観念にしばられす、前回と違った方法を試してみる
・手段にこだわるのではなく、改善点に焦点を当てる
・「見落とされている改善点」を探す
・過去を手放し、未来のあるべき姿から発想する
★「無駄な努力」を見分ける2つの質問
「それは何のため?」
「それは誰のため?」
★「なぜ?」よりも「何のため?」
「なぜ?」という言葉を「何のために?」に置き換えてみましょう。それだけで、視点を「過去」から「未来」へと移すことができます。<中略>
「原因」を追求して過去を思い出すよりも、「目的」を追求して未来に目を向けることです。
【感想など】
今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、本書の 1章 ワンランク上の問題解決とは から、ファンクショナル・アプローチの基礎的な考え方の部分のみを抽出しました。
本書ではこの後、様々な例を挙げつつ、事細かにファンクショナル・アプローチの手法を段階を追って解説してくれていますが、あまりに多岐にわたるのと、とてもブログでまとめられるよな簡単な内容ではないので割愛させていただきました。
ただし、最初の1章だけと言っても、ファンクショナル・アプローチを理解するにはとても重要部分。
と言うのも、
問題解決5つのフェーズ「I・S・S・U・E」のうち、最初の「①問題の認識」と「②改善点の特定」に問題解決の方向性の決定づけと、改善成果の80%がかかっており、この二つの達成には、
新しい視点を持ち、意識を変えることによって、はじめて実現できる
からです。
それに、ワタクシはこの部分を読んだだけで自分の中で大きな変化が起こりました。
実はワタクシ、本書の存在自体は出版された頃に知っていました。
聖幸さんが激プッシュしてたので。
でも、ずっと気になっていたのに、なかなか読む機会がなくて。
結局、読んだのは今年に入って、著者が「情熱大陸」に出演された頃だったかな。
「これを機に読んでやれ!」って勢いで読んだのですが、もう衝撃ですよ。
そして「なんで今まで読まなかったんだろうという後悔」。
「モノ」や「コト」を「ファンクション」で見ること
それと、
「それは何のため?」「それは誰のため?」
の問いかけだけで、仕事も世の中も違って見えるのですよ。
まぁ、ワタクシの場合、一時期職場で若手がなんか言ってくる度に、「それは何のため?」「それは誰のため?」と繰り返して「面倒な先輩」と不評を買いましたが・・・(笑)。
でも、日常業務の細かな部分まで、「それは何のため?」「それは誰のため?」と自問自答を繰り返すと、何んとなくこなしていた業務の目的や価値が見えたり、逆に全く無駄な業務も見えてきます。
そうすると、それぞれの仕事への力配分が変わったりしました(本当はいけないのかもしれませんが)。
そしてこの手法は、何も企業組織や仕事の改善だけに役立つものではありません。
人生における戦略や戦術の決断にも役立つのではと思うのです。
受検、就職、転職、結婚、マイホーム購入、子どもの教育、老後・・・等々。
それぞれ人生の転機に「ファンクション」に注目し、「それは何のため?」「それは誰のため?」を自問するのです。
例えば住宅。
今でこそ勝間さんの影響か、「マイホームより賃貸の方がお得」という考え方が広がっていますが、マイホームの購入を検討するとき、まずは家というものを「ファンクション」で捉えてみる。
すると、≪家族が安全・衛生・文化的に暮らせる場≫という基本的な機能を果たせばいいわけで、必ずしも持家である必要はないことにすぐ気が付きます。
それに、家族構成も年齢とともに変わるわけで、人生のステージごとに住む場所を変えるほうが経済効率がいいこともわかります。
ということで、賃貸の方がよさそうですが、時すでに遅く、ワタクシはマイホーム買っちゃった定年までのローンレンジャーです。
早いうちにファンクショナル・アプローチを知っていれば・・・(遠い目)。
蛇足ながら、ここまで書いて思い当たったのですが、このメソッドって斎藤一人さんの説く“眼力”に通じるものがありますね。
ものごとの本質を見抜く眼。
それを、誰でもできる再現性を持たせたメソッドがファンクショナル・アプローチかと。
とにかく一読オススメ。
知っているのと知らないのとでは人生に大きな違いが出るの、間違いなし!

ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ
- 作者:横田 尚哉
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)