
おはようございます、一龍です。
突然ですが、みなさんは落語に興味ありますか?
最近『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』を読んで、落語って学ぶ点がとてもたくさんあることに気がつきました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、まさに生き方の教科書なのです。
しかもそのテクニックには現実のビジネスシーンで使えるテクニックなども豊富。
今日は本書の 第3章 落語に学ぶ最強の伝え方メソッド! から、スピーチやプレゼンテーションでつかえる落語のテクニックを幾つか紹介します。
『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』より、スピーチ・プレゼンに応用できる落語の「マクラ」のコツとポイント
★「マクラ」をビジネスに活かす
「マクラ」とは
落語では通常、いきなり本題には入らず、冒頭で世間話をしたり本題に関連する小話をしたりします。
これを「マクラ」といいます。
寄席では次々に芸人が入れ替わり登場して、ネタを披露します。
そこで、「マクラ」を使うことで
新たに登場した落語家は、直前の世界観をリセットするとともに、自分に注目してもらい、これから話す落語の世界に自然に入ってもらおうとします。
著者は
マクラからは、ビジネス、プライベートにかかわらず、突然何かを話さなければならなくなったときに役立つノウハウが学べます。
といいます。
そのいくつかをまず見ていきましょう。
★第一声を決めておく
「始めよければ終わりよし」で、スムーズに導入部分をこなせたらプレゼンもスピーチも半分は成功だと言っていいでしょう。
そのためには
上手なスタートを切りたい人は、寄席で落語家が話す第一声を参考にしてください。落語家が登場して話す第一声にはある程度パターンがあり、みんながそれを組み合わせているのです。
落語家がよく使った第一声では
「お暑い中、いっぱいのお運びでありがたく御礼を申し上げます。毎度ばかばかしいお笑いを一席申し上げます」
というオーソドックスなパターンがありますが、これを分解すると
「お暑い中」(時候、季節の挨拶)→「いっぱいのお運びで」(寄席の様子)→「ありがたく御礼を申し上げます」(来場への謝辞)→「毎度バカバカしいお笑いを一席申し上げます」(これから話すことの概要)
となります。
つまり
「時候、季節の挨拶」→「寄席の様子」→「来場への謝辞」→「これから話すことの概要」
というパターンです。
このパターンを憶えておくと、どんなスピーチにも応用できます。
例えば結婚披露宴でのスピーチなら
「今日はお寒い中、新郎新婦のためにこんなに多くの方に集まっていただき、ふたりになりかわりましてお礼申し上げます。私からふたりの門出へのお祝いを申し上げます」
となるわけですね。

★うまいマクラのコツ
会議やプレゼンテーションで、いま、話題になっているニュースなどを上手に話してから本題に入る人がいると、「うまいな」と思いますよね。
うまいマクラのコツは、話題になっていることと、自分が話したい内容を関連付けること。
です。
たとえば「サッカーで日本代表がワールドカップ出場を決めた直後」で、「コミュニケーション」について話すのであれば、
「昨日は見事な連携でゴールを奪いましたが、サッカーではアイコンタクトで意思の疎通を図るそうです。これはビジネスのコミュニケーションでも応用できて・・・」
テーマが「集客」であれば
「昨日のサッカー中継は40%を越える視聴率だったそうですが、Jリーグ発足前、サッカーはテレビ中継されるどころか会場もガラガラだったそうです。」
といった話題から本題に入っていくのです。

★話を「聞く気」にさせるコツ
著者は、相手に話を「聞く気」にさせるコツがあるといいます。
ふだんのコミュニケーションでも、最初に軽い世間話などをして、まず「聞き手を温める」配慮をしてみましょう。
たとえば
講演上手で知られる斎藤茂太さんは、必ず公演場所に早めに行き、周りを歩いてみるのだそうです。
地方なら前日に入り、名物を食べることもあるといいます。
そして、その時のエピソードを、講演に冒頭で話すそうです。「このあたりはカキの養殖が盛んだそうですね。実は私、当地のカキの評判を聞いたらもう待ち遠しくて一日、早めにやってきてしまったんです。昨晩、カキ、もう、いただいちゃいました。いやあ、絶品。みなさんは幸せですねえこんなに美味しいカキを毎晩だって食べられるのですから・・・」
講演冒頭でこんな話をされたら、地元の人達はすっかり上機嫌になりますよね。
私の地元香川県では講演会やコンサートでこの方法を使う方を多く見かけます。
「さぬきうどん」がありますからネタにしやすいんでしょうね。
★緩急をつけた話し方 最初はゆっくり、徐々にスピードアップ
名人・柳家小三治師匠のマクラは、間をたっぷりとってゆったりとしゃべることで知られています。その後、本題に入って徐々にスピードアップしていき、最後にはたたみかけるようにオチにもっていくわけです。
この
「ゆったりと入って、徐々にスピードアップして最後にたたみかける」
というマクラのテクニックは古今東西のスピーチの名人と呼ばれる人の共通点でもあるそうで、本書ではその例としてマーティン・ルーサー・キング牧師の有名な「I have a dream」の演説がとりあげられています。
この時のキング牧師が話すスピードは、始まりが1分間に92語。
それが次第に速くなり、最後には1分間に145語を話すまでスピードアップしているそうです。
小三治師匠、そしてキング牧師に共通する加速感
これが、聞き手の心をどんどん惹きつけているコツ
といえるようです。
『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』まとめと感想
落語は究極の”伝達メソッド”といえるかもしれません。
衣装は着物。
小道具は手ぬぐいと扇子。
座っているので派手なボディランゲージはなし。
制約が多い中で、巧みな話術で情景描写し、噺の世界に引き込み、泣いたり笑ったり。
長い歴史の中で培われてきたテクニックには、我々のビジネスシーンでスピーチやプレゼンに応用できるテクニックがたくさんあります。
が、これまであまり顧みられることがなかったのではないでしょうか。
今回、本書には他にも沢山のテクニックが記載されていましたが、「マクラ」にのみフォーカスしてポイントをピックアップしてみました。
私も経験ありますが、プレゼンなどではやはり出だしが一番緊張するし難しいんですよね。
ある程度プレゼンが進んで、自分でも調子がノッてきたなと思う頃にはもう終盤ということが度々あります。
出だしでボーンと笑いの一つでもとって、一瞬で話しを聞く体制にもっていく。
そういったメソッドは落語の「マクラ」を研究するのがいちばんいいような気がします。
ちなみに「目次」で確認していただきたいのですが、本書はそういった”しゃべり”のテクニックだけではなく、落語からの様々な「学び」を紹介してくれています。
いうならば、「総合落語活用本」です。
興味ある方はぜひお読みください。
本書は著者の横山信治様から献本していただきました。
ありがとうございました。
『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』目次
はじめに
第1章 なぜ年収1000万円以上のビジネスエリートは、落語を聴くのか?
第2章 落語は”人間関係の悩み”に効く!
第3章 落語に学ぶ最強の伝え方メソッド!
第4章 落語が教えてくれた成長のルール!
第5章 落語家の生き様に学ぶ”覚悟”の磨き方!
第6章 仕事に効く落語ガイド!
おわりに
『ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?』関連書籍
マクラの名人、柳家小三治師匠の「マクラ本」です。
マクラだけで3冊も出ているんですね。