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いつの時代もリーダーの基本は変わらない【書評】横山 信治(著)『リーダーの基本』 かんき出版

おはようございます、管理職よりも自由が欲しい一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、横山信治さんの新刊をご紹介。

職場環境の変化でリーダーの立ち位置も、リーダーに要求されるスキルも激変している昨今、自分の立場に悩んでいるリーダーも多いことでしょう。

そんな方にぜひ読んでいただきたい本。
著者の経験から書かれたリーダー論はきっと学ぶところが多いと思いますよ。

 

【目次】
はじめに
プロローグ リーダーシップとは
第1章 観察力
第2章 コミュニケーション力
第3章 行動力
第4章 部下を育てる
第5章 チームをまとめる

【ポイント&レバレッジメモ】

★一流のリーダーは、行動のみを叱る

 リーダーは優しいだけではなく、部下を厳しく叱らなければならないときがあります。部下を叱る場合、次の二点だけは注意してください。
1.なぜいけないのかを伝える
2.部下のプライドを傷つけない
 部下の「間違った行動」を叱るのです。人格を傷つけるようなことは言わないでください。感情的になると、つい部下が一番傷つくことを言ってしまうことがありますので注意してください。

★一流のリーダーは、最初に部下の変化に気づく

 私はこれに対し「あなたは部下に関心がありますか?」と尋ねます。多くの人は「もちろん」と答えますが、実際はどうでしょうか。質問者の関心は「部下」ではなく「自分」にあるのです。だから思いどおりにならない部下を変えたくなるのです。
 自分中心に考えるのは、人間の本能です。ただ、それを認識するかどうかで行動が違ってきます。
 多くの管理職の方は、部下の変化に気づいていません。<中略>
 実は多くの人は部下に関心を示していませんが、上司のことはよく観察しています。上司に向ける関心の半分を部下に向けてください。
 関心を持たれて不愉快な人はいません。
 ましてや、上司であるあなたに関心を持たれれば、部下はそれだけで嬉しいものです。仕事にも意欲的になり、成長も目に見えてわかるようになるでしょう。<中略>
 相手に関心を持ち、質問をし、共感し、言葉をかける。
それが部下との垣根を破る秘訣です。

★一流のリーダーは、具体的に・第3者の立場で・公平に褒める

褒め方のポイント
1.具体的に褒める
ただ単に「仕事が早いね」とか「仕事ができるね」ではなく、具体的に「○○さんは、先日お願いしたマニュアルの改訂を、わずか3日で仕上げてくれたね。とても早くでき上がり助かりました。仕事が早いね」など、具体的に説明することで、何が喜ばれているのかがわかり、仕事にやりがいと自信が出ます。

2.ティーアップする
 誰かに紹介するときに、褒める方法も有効です。
「彼は少し生意気ですが、仕事は抜群に優秀です。どうかよろしくお願いします」というように、第三者の立場で褒めてあげるといいでしょう。

3.一人だけを褒めない
 部下たちは、みんな上司に褒められたいと思っています。その中で一人だけを特別扱いすると、どうしても嫉妬を買うことになり、本人にとっても不利になります。同じポジションの人たちの中で、一人だけを褒めたいと恩っても、他に人のいないときにするなど、よくよく気をつけてください。

★一流のリーダーは、信念を背中で伝える

夢に向かってチャレンジする、率先垂範できるリーダーが部下を動かします。
いくら指示を出し、ハッパをかけたところで、リーダーが精一杯働く婆を見せない限り部下はついてきません。<中略>
 リーダーはどのような組織にしたいかという組織が目指すべき姿とビジョン(道筋)をメンバーに示さなければいけません。
 ビジョンを語ることは、言い換えればリーダーの信念を伝えるということです。一度や二度ビジョンを発表しただけで、放ったらかしではいけません。ことあるごとにビジョンを説明し、自分自身もこのビジョンに沿った行動を実践し続ける必要があります。

言葉より行動。
それがリーダーに求められる最大の条件です。

★一流のリーダーは、すべてを受け入れる

 私はストレスに対応する方法は2つあると考えています。
 まず一つ目は、経験です。
 難問に出合ったとき、決断の際に参考になるのはすべて過去の経験です。同じような種類の問題に遭遇したときのことを思い起こし、過去のジャッジを参考にしてください。<中略>
 そして二つ目は、考え方です。
 強いストレスがかかる状況に遭遇したときに、二つの考え方を身につけておくことが重要です。
1.起きていことはすべて正しい
2.自分の力で変えられることに全力を注ぎ、変えられないことは受け入れる

「起きていることはすべて正しい」
 この考え方ができるようになれば非常に楽になります。完壁を求めるとハードルは高いですが、今より少しでもこの考え方に近づければ、必ずあなたのプラスになります。

★一流のリーダーは、ホウレンソウを徹底させる

 ホウレンソウのいずれも、最初に何について話すのかを明確に示す必要があります。
 部下が報告にきたら、最初に何の件かを確認してください。部下が話し出したら、まず何の件か聞くのです。

次のポイントは、感情を入れずに事実のみを報告するように教えることです。
意見や感情は、上司に聞かれたときに話せばいいことです。また、自分の思い込みだけで話すのも問題です。<中略>

 部下に繰り返し繰り返し、このことを指導してあげてください。必ず部下自身の成長につながります。こちらが何を言いたいのか察して聞いてあげるだけでは、部下が成長しません。

1.用件と結論から話す
2.主観は入れない
3.事実のみを報告する
 この三つを徹底させてくださしうまくできなし部下には話すことをこの三点に沿って紙に書いてから報告にくるように指導しましょう。

★一流のリーダーは、部下の出世を喜ぶ

 部長や課長、マネジャーとアシスタントマネジャー程度の差であれば、簡単に逆転します。また、自分自身も日常業務をこなすプレイングマネジャーが大勢を占める現在、部下に抜かれる心配をするのは仕方がありません。

 ここで大切なことは一部下に自分を超えてほしい」という気持ちで部下を指導することです。
 
 部下を育てる能力の大切さを会社は知っています。人を育てることができない会社は生き残れません。自分がいなくてもまわるように部下を成長させてあげることが、部下に抜かれない一番の秘訣です。

★一流のリーダーは、モチベーションを上げるのがうまい

ビジネスパーソンが仕事でモチベーションを上げるには、2つのポイントがあります。
1.自分でコントロールできること(選べること)
2.周りの人に感謝されること
 上司は部下に仕事を強制するのではなく、任せて責任感を持たせ、自主的に行動してもらえばパフォーマンスが向上します。
 どんな小さなことでも構いませんので、部下に選択権を与えてください。
 物事を自分で決めているという感覚を持つことで集中力が高まり、ミスも減ります。
 さらに、自分の出した成果が顧客に喜ばれ、上司に感謝されれば、いっそう頑張ろうと思えるでしょう。

【感想など】
◆リーダーが難しい時代
当ブログでも応援している横山信治さんの新刊。
テーマはリーダー論です。

書評ブロガーをやっていると感じるのですが、昨今”働き方本”がブームとなっている影で、それと正比例して”リーダー本”も数多く出版されているように思います。

それは職場環境の変化に伴うものなのでしょう。

そしてこの変化は間違いなく、厳しい方への変化。

だからこそ、働き方を見直す動きが現れ、また、今までのスタイルではリーダーがリーダーとして成り立たない状況が出現している。

特に、プレイングマネージャーという立ち位置は、本当に難しいもので、高度経済成長期のようなリーダー論では機能障害を起こしてしまいます。

ただ、時代や環境が変わっても、そこは人間の集団、組織の話しですから普遍の真理もあります。

本書はリーダーとして大切な基本をおさえつつ、新しい時代にあったリーダーのあり方について、バランスよく書かれた良書だと思います。

◆リーダーにとって普遍の部分とは

ワタクシも20年ほど社会人をやってきましたので、その間、いろいろな上司に接してきました。
中には「なんでこんな程度のやつが管理職なんや?」という大変迷惑した人もいれば、本当に尊敬し信頼できた上司もいました。

その素晴らしい上司はいまでも、「あの人ならどうするだろうか?」といった判断基準にさせてもらったりしています。

若いうちに素晴らしい上司と出会えると、職業人として一生の財産となりますよね。

まぁ、それはさておき、その素晴らしい上司はいったいどこが素晴らしかったのか。
色々あるのですが、ワタクシが一番に思い出すのは

「わかりやすさ」
でした。

「自分はこうしたい」「こういう方向に進みたい」というビジョンをハッキリ表明してくれるのです。
そして普段の言動も判断基準も自分が示したビジョンに沿っていて、一貫性がある。

だから部下としては自分の判断に「安心感」がありました。

ブレない軸をハッキリ示す

そうしてくれたおかげで、現場は非常に動きやすかったのを覚えています。

また、その人は率先行動の人でもありました。

本書に山本五十六が好んだ有名な言葉として、

「してみせて、言って聞かせて、やらせてみせて、それで賞めれば人は働く」

が登場します。

山本提督に関しては他にも

話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

といった、言葉も有名ですよね。

先述のワタクシの尊敬する上司はまさにこの実践者でした。

とにかく自ら動く。

それに、年配のもう仕事を諦めているような人たちを、仕事を怠けたり、仕事から逃げたりしていたら、どんな状況であろうとその場で叱り飛ばす厳しさもありました。

でも、その一方でワタクシは一度も叱られることなく、当時社会人2年目のひよっこでしたが、「若いうちに好きにやれ。骨は拾ってやる」と言ってくれたのを覚えています。

ある意味豪快な方でしたから、今の時代にそのまま真似はできませんが、「自ら動く」「ビジョンを示す」「年齢に関係なく部下に公平に接する」といったところは、いつの時代のリーダーにも必要な普遍の要素だと思います。

◆新しい時代にあわせる部分

一方で、「責任は俺が取るから、思い切りやってこい!」といった、昭和型のリーダーでは立ち行かない部分も多く現れているのが今の現場でしょう。

今の若い世代は、価値観の多様性が生んだのか、あるいはゆとり教育が悪いのか、原因を考えても仕方がないのですが、「仕事を取りに行く貪欲さ」といったギラギラした感じ、「上司の意向を慮る」といったコミュニケーション能力は、高い人と低い人との差が大きく開いているように思います。

部下一人ひとりにあわせた接し方が求められるのが今からのリーダーでしょうね。

そういうと、面倒くさいなと感じるでしょうし、実際ワタクシも若手を指導する時に「何で伝わらないのだろう」と色々迷うことがしばしばでした。

でも、人間は学習するもの。
ホウレンソウでも、ポイントをしっかりくり返し教え続けることで、必ず浸透します。

これからのリーダーに必要なのは、「くり返し、くり返し」そして「根気よく」ではないでしょうか。

そういった、リーダーに必要な要素、基本が実例とともに紹介されいるのが本書。
その内容は現場たたき上げで、上司としても数多くの部下を指導してきた経験から書かれたものです。

現在迷っているリーダーにとって、答えがきっと見つかると思いますよ。

本書は著者の横山様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
同著者の既刊本を紹介

 

www.s-ichiryuu.com

 

 

 

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