<楽天ブックスはコチラ> 『超訳聖書の言葉』
白取先生の今度の“超訳”ターゲットはなんと聖書。
ニーチェだけでなく、キリスト教にも造詣の深い先生の超訳ですからこれは期待大。
はたしてどんな超訳となるのでしょうか。
【目次】
まえがき
人生の苦難と果実
善と悪と愚
愛とは何か
永遠に生きる
【ポイント&レバレッジメモ】
001 悲しみに流されるな
人生の中には悲しみがある
けれども、悲しみに押し流されてしまわないように。
また、暗い考えにふけってもならない。
それが人の生命というものだ。快活であるほどに生命が延びる。
震える心を慰めよ。心痛はおまえを早くふけさせてしまうから。 シラの書 第30章
009 仕事は楽しく
自分の仕事を心から楽しむ。これ以上に人の幸福はない。 コヘレットの書 第3章
021 生きていてこそ
今ここに生きている一匹の犬は、
とうに死んでしまった勇猛果敢なライオンにまさる。 コヘレットの書 第9章
042 喜んで多くを与えよ
おまえは、惜しみながら種を蒔いているのか。
では、収穫のときには少なく刈り取るであろう。
しかし、豊かに種を蒔くならば、
おまえはたっぷりと収穫できるだろう。
なぜならば、神は喜びながら多くを与える者を愛するからである。 コリント人への第二の手紙 第9章
042 光あるうちに歩け
光はまだある
だから、光あるうちに歩け。
くれぐれも闇に追いつかれぬように。
闇の中を行く人は行く手がわからない。
いっそ、あなた自身が光となれ。
光あるうちに光を信じよ。 ヨハネにによる福音書 第12章
067 心を支配しているものは何か
今こそはっきりと知れ。
あらゆる事業の始まり、根本にあるのは、理性なのだ。
どのような行いをするにせよ、まず熟慮しなければならない。
その熟慮、その考えの根はどこにあるのか。心だ。
心は四つの枝を生やす。
前、悪、生命、死。そのような心を支配しているものは何かを知れ。
お前の舌。おまえの言葉だ。 シラの書 第37章
086 この世の光
あなたたちは地の塩、
すなわち、この地上の上でとても大切な人々である。
もし塩がその味を失えば、塩以外の何によって味がつけられようか。
その意味で、あなたたちはこの地上の塩なのだ。
そしてまた、あなたたちはこの世の光でもある。人々の前で、あなたたちの光を輝かせ、
多くの人を照らしなさい。 マテオによる福音書 第5章
094 独りよりも二人がよい
独りでいるよりも、二人でいるほうがずっとよい。
仕事にしても二人で働くほうがはかどる。
また、二人で寝ると二人とも暖かいではないか。
独りきりで寝て、どうして暖かくなれよう。 コヘレットの書 第4章
098 愛妻家のすすめ
妻を持つ夫たちに告げる。
ちゃんと妻を愛しなさい。
決して、一度たりとも、
自分の妻を苦々しく扱ってはならない。 コロサイ人への手紙 第3章
【感想など】
あの、ミリオンを突破した大ヒット作
の白取先生の最新刊です。
そして今回の”超訳”は聖書。
それも、旧約聖書と新約聖書の両方からの抜粋。
ただし、文章選びの基準が白取先生らしい。
文章抜粋の基準は、聖書という従来のイメージにそぐわないような文章、前後の脈絡を知らなくてもそれだけで理解できるような文章、宗教的な臭いのしないような文章、聖書らしくない印象を与える叙述、私の好きな文章、といったものだ。
とのことであるが、実際本書に収められている177の”言葉”は、「えっ、聖書にはこんな一節があるの?」と驚くものが多く、巷によくある「聖書の名言集」とは一線を画すものとなっています。
例えば、
117 すべてが美しい少女よ
少女よ、おまえの臍はそこから葡萄酒を汲んでも
尽きることはあるまいと思われるほど麗しき小さな賜杯のようだ。
そして、おまえの腹は、百合に囲まれた小麦の山のように
白くたおやかではないか。
さらに、おまえの乳房の優美な揺れぐあいはどうだ。
双子のカモシカ、あるいは二頭の小鹿が飛び跳ねているかのようだ。
おまえの瞳は、
ヘシボンの池のような瑞々しい深さをたたえている。 雅歌 第7章
こんな官能的な一節が聖書にはあるんですね。
もちろん有名なシーンもいくつか見られます。
例えば、 054 神のものは神に返す では、
皇帝に税金を納めるべきかを否かを訊ねられたイエスが貨幣を見て答える、「シーザーのものはシーザーへ」のシーン。
「ここにあるのは誰の彫像か。ここに刻まれているのは誰の名前か」
「皇帝のですが」
「ならば、この貨幣は皇帝のものなのだから、皇帝に返さなければならない。そして同じように、神のものは神に返さなければならない」
そして、ノアもモーゼもほんの少しだけ登場しますが、それはあくまで”ほんの少し”。
全体には、白取先生のおっしゃる通り、こんな一説があるのかという驚きと発見に満ちていて楽しめます。
ワタクシは、聖書はたまにホテルに泊まった時に、部屋においてくれているものをパラパラと読んでみたことがある程度で、しっかりと読み込んだことはありません。(コーランもそんな感じ)
旧約聖書は手塚治虫さんの『旧約聖書物語』を読んだだけ。(そういえば仏教に関しても手塚先生の「ブッダ」を読んだだけ)
ほぼ真っ白な状態。
で、今回本書を読んでキリスト教自体について印象的だったのは2つ。
まず一つ目は、やはり”愛”についての記述。
キリスト教が”愛”の宗教と言われる所以が伝わってきました。
そして二つ目が、”言葉”に関する記述。
「はじめに言葉ありき」との記述があるぐらい言葉に対する重視度はちょっとレベルが違う。
我々日本人には言霊という観念がありますが、聖書のそれとはどこか異質な印象を受けました。
なんか、聖書をちゃんと読んでみたくなってきたなぁ。
宗教云々はさておき、教養として、西洋の理解を深めるうえでも、一度読んでみようかな。
そんな興味を喚起してくれてる一冊。
もちろん本書だけでも十分読み応えあり!オススメです。
【関連書籍】

この一冊で「キリスト教」がわかる!―――誕生・発展の歴史から世界に与えた影響まで (知的生きかた文庫)
- 作者:白取 春彦
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2013/11/11
- メディア: Kindle版