<楽天ブックスはコチラ> 『残念な努力』
いつも“あそび”を大切にしてる美崎本のなかでは異色作品の登場です。
少し辛口、でもユーモアもたっぷり。
新美崎ワールドは、なかなか考えさせられる1冊でした。
【目次】
はじめに
第1章 「ノート」に関する残念な努力
第2章 「サービス」に関する残念な努力
第3章 「時間」に関する残念な努力
第4章 「企画」に関する残念な努力
第5章 「人間関係」に関する残念な努力
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★「ノート」に関する残念な努力
◇無駄に暗記しようとする努力
覚えるより、書いて忘れるほうが楽ということは、みんな知ってるなのに、なかなか実行できず、記録するツールを持ち歩くのが面倒で、暗記しようとしてしまうことが多い。メモ一枚だけなので、何でもよいから書けるようにしておけば、そのメモさえなくさなければ、くだらないことを覚えておくストレス解放されるのに
◇見返さないのにノートに書く努力
見返さないのにノートに書くのは、まったく意味がない。
講演会で一生懸命にノートに書いている人をみると、「この後、そのノートをどう使うんだろう?」と思ってしまう。次の講演までに覚えてこないといけない事柄でもないし、見返す予定もないのだとしたら、書く必要はないだろう。
あとで見返さないと最初に決めたら、書かない。
あとで見返すと最初に決めて、書く。
これだけだ。原則は変わらない。
◇後から大事になる気がして、とりあえず書く努力
大事なことだけ記録すれば良い。
いま面白いと思っていないならば、後から面白いと思うことはない。
いま大事だと思っていないことが、後から大事になることはない。
★「サービス」に関する残念な努力
◇借りたいときに借りられないレンタルビデオ店の努力から学ぶこと
借りたいと思った客を待たせないことが良いレンタルビデオ店のサービスだとしたら、あなたが仕事で行っているサービスに当てはめて考えて、客を待たせないようにする工夫をするべきだ。
⇒自分の周りにある残念な事例が改善されれば、儲かる商売になる可能性は大きい。
◇残念なマッサージから学ぶこと
はじめて仕事する相手の仕事ぶりは、よく分からない。うまくやってくれると思いながらやるしかない。自分も未経験の仕事の場合、何が正解なのかどうかもわからない。
仕事が残念になるか、そうならないかは、結局、コミュニケーションの問題で、相手に何も言わないから残念なことになるのだ。
★「時間」に関する残念な努力
◇いつまでも始業時間を変えない努力
「毎日」、始業時間を「全社員で」同じにする理由なんて、存在しない。
変える時刻はマチマチなのに、どうして仕事の開始時刻を合わせる必要があるのだろうか。
⇒残念な始業時間に合わせて、残念な通勤電車に乗って体力を奪われるのがイヤだと思うのであれば、自ら行動を変えるべきなのだ。
◇忙しいを口癖にする努力
「忙しい」が口癖になっている残念な人がいる。
ヒマな人にかぎって、すぐに「忙しい」と言う。むしろ、仕事やプライベートが充実していて、実質的に時間を確保するのが難しいと思われるスゴイ人のほうが、「忙しい」と言わない。
充実した時間を過ごしていれば、時間が足りなくなるのは当たり前だ。それを、忙しいとしてしまうか、そうしないかは、当人の考え方次第なのだ。
★「企画」に関する残念な努力
◇客が求めていない根性ばかりを見せてくれる努力
本当に必要なのは、「お客様に対する」努力であり、「仕事のクオリティを上げるため」に歯を食いしばる根性なのだ。
◇アイデアを出すために、机で唸り続ける努力
「本気で感動した人しか、その感動を伝えることはできない」
人を感動させるような商品やサービスを生み出したいと思ったら、実際に、いろいろな感動体験をしておかねばならないということだ。机上に感動はない。アイデアは、そこに落ちていないのだ。
★「人間関係」に関する残念な努力
◇無礼講だという上司に突っ込む努力
「今日は無礼講だ」と上司が宣言するのだが、それを真に受けて容赦なく突っ込むと、その後、会社で切られることになる。
ダウンタウンのように、実力で跳ね返す自信のない人は、油断しない方がいい。
遠慮なく突っ込みを入れても、ギャラは変わらない。むしろ、会社での評価というギャラは、下がるだろう。
【感想など】
まず全体的な印象からですが、いままでの美崎本とはガラッとイメージが変わりました。
デビュー作がノート本の
「結果を出す人」はノートに何を書いているのか (Nanaブックス)
- 作者:美崎 栄一郎
- 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
- 発売日: 2009/09/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
だったし、最近では、文房具本の
そしてデジモノの
を刊行されているので、ついつい〇〇術のヒトというイメージが定着していたのですが、今回は自己啓発書といっていい内容の本。
なかなか美崎さん引き出し多いですね。
さて、個別の“残念な努力”については大いに納得できるものも、「そこは大目に見てあげなよ」と思ってしまうものもあったりと様々。
例えば、日本料理を出す居酒屋で外人さんがアルバイトしてたら、ワタクシなら嬉しくなっちゃう。
「この人はきっと日本の文化についていろいろ知るためにこの店でバイトしてるんだろうな。大変だろうな。頑張れよ。」って思ってしまう。
逆に、中国系の方が餃子の王将でバイトしてても「普通やん!」としか思えなかったり。
もっといえば「この人残念やな、せっかく日本に来てるのになんで中華料理屋やねん」と。
ともかく、どれが残念で、どれが残念でないかは好みの問題ですので、それに関しては本書のスパイス的に楽しんでいただければと思います。(←ってオイ!それメインディッシュやんか)
ワタクシ的には、本書のキモはそこではなく次の点でした。
一つ目は、美崎さんの視点。
やはり、独特なものの見方や注意の払い方をされているなと。
例えば、
P178に「電車の中で残念な人を見たらネタとして記録していた」として、7つネタが書かれているのですが、
どれも日常よく見る光景なんですよ。
それをネタとして気づくあたり、これはかなり勉強になります。
なるほど、人気作家はこういうものの見方をしていたんだな。
それを知るだけでも価値があると思います。
それから二つ目。
美崎さんとはこれまで何度かお会いしてよくしていただいているのですが、ご存じのとおり美崎さんはサラリーマンで専業の作家さんではありません。
にもかかわらず、すごいペースで本を出されているし、築地朝食会など勉強会を催されているし、地方の講演も精力的にこなされている。
そんな多忙な中、いつ、どうやって、社会人として必要な勉強をし、本を書き、iPadのアプリを試し、B’zのコンサートに行っているのか?
ずっと疑問でした。
以前、Twitter上では“美崎コピーロボット説”まで都市伝説のように流れていました。
その答えが本書のあちこちに垣間見ることができます。
例えば
仕事に関する勉強は仕事の合間にしているそうで、
いつも使っているノートの反対側のページから、覚えないといけないことを列挙しておくだけ。つまり、勉強のノートを仕事のノートのB面に作っておくだけなのだ。
それを仕事の合間のコマ切れ時間を利用して覚えるという方法だとか。
こういったメソッドは、やはり現役サラリーマン作家ならではのもので、経営者や専業作家さんが書く本よりも、ビジネスパーソンには価値の高い情報です。
そういう部分を拾い読むのもいいかもしれません。
また、今回電車ネタが多い印象を受けたので、電車通勤の方はさらに役に立つ情報が掲載されているかもしれませんね。
また、役に立つ情報といえば、本の出版、作家を目指している方も必見かと。
ビジネス書を書くときのテクニック、編集者との付き合い方、電子書籍について等々、ワタクシも「へぇーそうなんだ!」と目からウロコが何枚も落ちました。
ともあれ、
このブログも残念な努力にならないよう、今日から少し視点を意識して行かなければと思う一龍でありました。
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