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One team under the vision.【書評】村山 昇(著)『個と組織を強くする 部課長の対話力』(ディスカヴァー21)

 

個と組織を強くする 部課長の対話力

個と組織を強くする 部課長の対話力

  • 作者:村山 昇
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2010/08/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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部下との対話に的を絞ったマネジメント本。
あなたは「仕事とは何か?」を熱く語っていますか?

そのためのメソッドがぎっしり詰まった1冊。
職場を変え、組織を強くし、成果につながる対話力とは。

 

【目次】

はじめに
第1章 個と組織を強くする5つの対話
1「目標」ではなく「目的」を見つめる対話
2「競争」から「共創」へと導く対話
3「わるい残業」を「よい残業」に変換する対話    他

第2章 対話力の基盤となる5つの「観」
1仕事観:「よい仕事」についての定義を持つ
2キャリア観:「よいキャリア」についての原則を持つ
3人材観:「よい人材」についての信念を持つ   他

第3章 対話を深める5つの心構え
1文脈・内容・振る舞い─「3つのC」を意識する
2「1+1=3」となる共創作業を意図する
3上司と部下で共有目的を設定する    他

第4章 対話を起こすための5つの技法
1間接・非対面の発信で伝える
2一緒に学ぶ場を設ける
3カジュアルミーティングを持つ   他

第5章 骨太な対話を引き出す5つのツール
1働く目的をあぶり出す『この仕事をやる理由リスト』
2「自分は何者か?」を考える『5つの自己紹介』
3会社の存在意義を考える『我が社紹介』    他

【ポイント&レバレッジメモ】

★対話とは「1+1=3」の共同作業

 対話とは、上司が経験から獲得した「1」を差し出し、部下が未熟ではあるが熱のある「1」を差し出し、そこから「3」を生み出す意欲的なチャレンジです。
 よき対話は、働く個人の内に基礎メンタル力と基礎エネルギーをつくり出します。と同時にそれは、組織の基礎メンタル力・基礎エネルギーをつくる素ともなります。

★第1章 個と組織を強くする5つの対話(抜粋)
◇個と組織を強くする対話① 「目標」ではなく「目的」を見つめる対話

 いま組織が疲れているのは、目標のみがひとり歩きして、一人一人の社員を追い立てているからです。
 目標の先に「大いなる目的」(つまり意味的なもの、やりがいを湧き起こさせる価値的なもの…想い)を皆で共有しないかぎり、組織は萎えていきます。あるいは、「しょせん、仕事は給料のためだ。クビにならない程度に働くしか仕方がないさ」と殺伐とした空気が漂います。
 ですから、部課長は部下とともに見渡すことのできる「ビッグ・ピクチャー」(1枚の大きな理想絵)を描くよう対話を始めてください。

◇「目標」と「目的」の違い
 目標とは単に目指すべき方向や状態(定性的・定量的に表される)をいう。そして、目的はそこに意味や意義が付加されたものである。
⇒ 目的=目標+意味

★第2章 対話力の基盤となる5つの「観」(抜粋)
◇仕事観:「よい仕事」についての定義を持つ(著者の定義)

・よい動機・目的に支えられ、
・よいプロセス・手段があり、
・よい結果・影響が出る。
・それは全人的な行為であり、
・そして再現性がある。

◇数字で測れない価値を評価
 

部下のやる仕事を、「数値評価」だけでなく、「意味評価(=その行った仕事が持つ意味の大きさによる評価)もする。そして、その意味評価の高い仕事と実行した部下を、会議などの場で褒める。もちろんオフィシャルな人事査定でも加点する。こうした部課長の目配り、手配りこそが組織の活気づけにじわじわ効いてくるのです。

◇「よい仕事」が与える7つの機会
 収入機会、成長機会、感動機会、触発機会、学習機会、貢献機会、財成機会

★第3章 対話を深める5つの心構え (抜粋)
◇文脈・内容・振る舞い─「3つのC」を意識する

部課長は 
①状況をつかみ、その「文脈」に乗せて、
②語るべき「内容」を持ち、
③もろもろの「振舞い」を通して、

部下に対し意志疎通を図る。

◇「3つのC」=「文脈」(Context)、「語るべき内容」(Contents)、「振舞い」(Conduct)
・「文脈」

 ここでいう文脈とは、上司・部下間に漂う空気とかそれまでのやりとりの過程、両者の関係性、担当事業の進捗する具合、部署の置かれた環境、組織風土あるいは組織文化、社会情勢など、当事者をとり巻く諸状況を指します。

・「語るべき内容」

ビジネスの現場にはあらかじめの正解値がない問いばかりです。
そんな中で、対話力のある部課長とは、どんどん自分の考えることを部下にぶつけます。
そして、部下はそれに刺激を受け、自分なりに考えることを始めます。

・「振舞い」

意図する・しないにかかわらず、発信者自身の心情や人柄、人格までもが滲み出てしまうのです。そういった意味で、コミュニケーションは送り手の振舞いによって届けられるのです。

★第4章 対話を起こすための5つの技法(抜粋)
◇一緒に学ぶ場を設ける

「自分もわからないことだらけでである。一緒に学んでいこう」という姿勢でいるほうが、よほど部下から好感をもたれます。
 働くということは、人間の深い営みであって、誰しも生涯にわたって学び続けていくものだ・・・そういった謙虚な気持ちで、部下と一緒に学び合う機会を設けてはどうでしょうか。

(例)輪読会・ミニ勉強会・ワークショップ等々

【感想など】
これまで何冊かマネジメント本とかリーダー本といった本を読んできましたが、共通するのは“どの本も熱い!”ということ。

そして、本書もかなり“熱い”本でした。

本書は表題のとおり、部課長が部下との“対話”により「仕事とは何か」を語ること・伝えることが、個人も部下も成長させ、組織を強くし、成果につながるというのがメインの主張。

そして、そのメソッドも懇切丁寧に“熱く”語ってくれています。

さて、本書に書かれている上記の主旨はワタクシも激しく合意。
トップの考えを伝えるだけの“伝書鳩”や、ただ単に部下を監視してるだけの管理職には絶対ついていかないし、そんな人のもとではモチベーションが上がらないのは事実。

ただ、本書を読んでいてちょっと疑問に思ったことは「熱く語る上司って今いないの?」ということ。

そういえば、ワタクシが就職した十数年前には、親分肌の個性的な名物上司がたくさんいました。
職場でも、タバコ部屋でも、酒の席でも仕事論から天下国家まで、それこそ“熱く”語ってくれたものです。

だからワタクシなど若手はデスク以外のところでいろいろ吸収させていただきました。

でも、本書を読んで気が付きましたが、今そういった上司が全然いない。

なんでなんでしょうね。

一人ひとりの仕事量が増えて余裕がなくなったということもあるでしょう。
それから、ワタクシのような“新人類”と呼ばれた世代が中堅層になって、昔の管理職と質が変わったということもあるのかもしれません。

実際、ワタクシなど、もし本書に書かれているとおりに上司が常に熱く語る人だったら、うっとおしく感じて「そんな言わんでもわかってますよ。黙って任してください!」と思うでしょし、

もし上司になったらなったで、「やる気無き者は去れ」と突き放してしまう冷めた部分がありますからね。

本当に今の中間管理職の皆さんは大変だと思います。

しかし
「部課長よ、自分の考え・答えをしっかり持て。そしてそれを部下にぶつけよ」
は、適量というものがあるにせよ必要だと思うし

「語るべき内容を持たぬ部課長は永遠に部下・組織を率いることなどできない」
というのは真実だと思います。

ではどんなリーダーが理想なのか?

どのマネジメント本でも出てくるテーマですが、答えはありません。
いろんなタイプがいていいのだと思います。

ただ、本書を読んでいてもう一つ思い出したことが。

それは、先ほどふれた“名物上司”の多くが、何か相談に行くと「一緒に勉強するか?」と訊いてくれたこと。
今思えば答えは知っていたのに、「それは俺もよう知らんのや」と知らないふりしてワタクシの勉強に付き合ってくれてました。

それも他の若手も巻き込んで。
こういう勉強会って凄く楽しかったですね、上司の経験がいろいろ聴けましたし。

本書でも輪読会やワークショップを開くことが“語る”方法として提案されています。
ちょうど今、勉強会が流行っているぐらいですからこの方法は若いビジネスパーソンに受け入れられるんじゃないでしょうか。

もちろん、部下の数倍の勉強が必須ですけどね(笑)。

 

個と組織を強くする 部課長の対話力

個と組織を強くする 部課長の対話力

  • 作者:村山 昇
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2010/08/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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本書はディスカヴァー21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
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上記3冊はいずれも読んですぐに役立つ本だと思います。

本書内で紹介・引用されている本

 

 

 

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二十歳のころ I 1937-1958 (ランダムハウス講談社文庫)

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【参考記事】
ディスカヴァー社長室blog:直球と変化球、ディスカヴァーではちょっと異色かもしれないビジネス新刊2点 ●干場

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