現時点で、個人の「発信」をはじめるための最良の案内本。
 そして効果的な「発信」をし、高いステージを目指すための最高の指南書でもあるとワタクシ断言します!
【目次】
はじめに
第1章 なぜ発信か?
第2章 発信をどうやって始めるか?
第3章 発信をどのように効果的に行うか?
第4章 発信の中身をどう充実させるか?
第5章 発信を有効に活用する
あとがき
【ポイント&レバレッジメモ】
 ★発信を効果的に行う
 ・フレッシュな情報を伝える
 ・意見を述べてコミュニティに貢献する
★関係性(レレバンシー)のある情報
インターネットが発達し、ありとあらゆる情報を手に入れることができるようになりました。しかし、そうしたもののすべてが自分にとって自分にとって価値があるわけではありません。
自分にとって価値があるのは、自分の興味、関心、問題意識、必要性に関わる情報、別の言い方をすると、自分にとって「関係性」(レレバンシー)がある情報です。
★味方を増やす発信を心がける
国際会議は、それぞれの国益のぶつかり合いの場です。
だから、各国とも会議の結論を自国の立場に近いところに持ってくるようにいろいろな工夫をしながら主義主張を展開します。他の人の意見を支持しつつ、自分の意見を述べるのは、その際の最も重要なノウハウです。
★付加価値をつける
このように他の人の意見に同意するときに、ただ単に賛成するだけでなく、付加価値をつけていくことは非常に大切です。新たな観点を付け加えたり、関係する重要な事実関係を指摘することは、議論を深めるうえでの貢献です。
★「国際会議のノウハウ」はゼロサム・ゲーム、「ウッフィー」はノン・ゼロサム・ゲーム
「国際会議のノウハウ」は、勝つか負けるか、「ウッフィー」は、その場に貢献できるか。世の中はその両方の側面を持っています。
けれども、国際会議でも、自分のことしか考えていない利己的な人の意見には、他の人は耳を傾けません。また、ウッフィーが大事だと言っても、自分の考えを持って議論に参加する以上は、自己主張しないわけではありません。
個人としての発信をする際に、この両方の視点を念頭に置いてみるとよいと思います。
 ★個人としての発信のための最強の組み合わせ
 ・ツイッター
 ・ブログ
 ・勉強会やセミナー
★ステーション
しっかりとした中身のある発信をしていくためには、自分が取り組んでいきたいと思う分野を自分の中で決め、情報を収集・蓄積し、自分なりのフレームワーク(ものの見方)を構築し、これを自分の「ステーション」とする事が必要です。
 ★発信の中身を充実させるヒント
 ①大量にインプットする
  あらゆるものは、ある「量」を超えると突然「質」が変わるという「量から質への転換」という考え方がありますが、これは、発信の中身作りにそのまま当てはまる
 ②インプットとアウトプットとの相互関係を築く
  アウトプットを意識してインプットを行うことによって、インプットが有効に生かされるようになってくる
 ③自分の頭で考える
  自分なりのモノの見方がフレームワーク。
  発信するということは、自分で道具を使って、ものを組み立てて、それを人に見せること。
 ★発信の3つの活用法
 ・発信をパーソナル・ブランディングに活用する
 ・発信で世の中の新しい動きに参画する
 ・発信で世界に関わる
 【感想など】
 表紙を見た瞬間、よくあるツイッター本かと勘違いしてしまったのですが、予想を大きく覆して(もちろん良い方に)くれました。
個人の情報発信とその方法、さらに発信によるセルフ・ブランディングの目指すべきステージに関して、これほど親切丁寧に解説した本は今まで見たことがありません。
特に他書と違う秀逸な点が、発信に関する基本姿勢を「ウッフィー」と「国際会議のノウハウ」の二つの観点にベースを置いている点。
本書の著者、北野充さんは外務省アジア太平洋州局審議官、つまり現役の外交官をされている方で、国際会議の経験豊富。
 そして国際会議といえば、各国の利害が対立し火花を散らす舞台。
 その中で自国の利益のため自己主張をしつつ全体の場への貢献も考え、また賛同者も増やさなければならなという非常にバランスのとり方の難しい場。
そして、レベルの違いはありますが、匿名実名入り乱れ、誰でも好きな発言ができる、もっと言えばエゴがむき出しになることもあるネット社会と似たところが確かにあります。
また、もう一つの「ウッフィー」といえば、つい最近のベストセラー
で、有名になった言葉ですが、念のために引用すると
「ウッフィーは、その人に対する評価の証と考えればいい。人に喜ばれるようなことをしたり、手助けをすれば、あるいは大勢の人から尊敬され評価されればウッフィーは増える。逆なら、減る。ウッフィーの重みは、人とのつながりやコミュニティとのかかわりに左右される。・・・・ウッフィーを増やす方法は、ドクトロウによれば三つある。好かれること、つながること、一目置かれることだ」
これもネット社会で情報を発信する場合に大切な考え方。
 そして、この2つをベースにして見えてくるのは
 「貢献」と「自己主張」の両立
 というキーワード。
 「貢献」しなければ、誰も聞いてくれないし味方も増えない。
 「自己主張」しなければその発信には価値がない。
なるほど、これは良い視点をいただきました。
 さて、ここまで読まれた方は、
 「そんなこと考えながら発信しないといけないなんてなんだか難しいし、面倒くさそう」
 と思われるかもしれませんね。
でもぜひ発信のメリットとハードルは意外に低いということを感じて欲しいのでワタクシを例に少しだけお話を。
 ワタクシも弱小ながらこのブログをやっております。
 本書に書かれている発信の4つのタイプでいえば、 「もう一つの自分」展開型 と 「趣味」型 にあてはまるのかな。
 これらのタイプの得られるものとして書かれている中で、ワタクシが実際に得ることができていると思うのは
 ・仕事以外の自分の関心の満足
 ・関心を共有する仲間とのつながり
 でしょうか。
特に文章がうまいわけでもなく、αでもなく、ただ田舎で細々と書評ブログを書いているだけですが、いつのまにかリアルでお付き合いする著者さんや編集者さん、ブロガーさんが増え、その方たちから良い刺激を受けてまた本を読みブログを書くというスパイラルが自然とできてきました。
 まあワタクシなど大したレベルではありませんが、
 発信には「成長」と「自己アピール」のメリットがある
 ということは声を大にして言いたい。
ですから、もし発信はしてみたいけど本書にも書いてあるような 発信に対する「ためらい」。
「自分の中には発信に値するものがない」とか、「もっと準備をしてから」にしようとか、あるいは「今に満足しているので発信する必要はない」と思っている方にお伝えします。
 「発信」は人生を変えます!
 1分1秒でも早く始めるべきです!
 ブログが敷居が高いのであればツイッターからでもいい。
 きっと何かが変わり始めたとすぐに実感できますよ。
もし、少しでも興味があるのならまずは本書をお読みください。
 本書はディスカヴァー21社さんから献本していただきました。
 ありがとうございました。
 
 【勝手に表紙評】
 基本は白地に黒の題字というビジネス書らしいシンプルなデザイン。
 そして、本書の重要キーっワードである「発信」にはメタリックの印字。
 そして少し遊び心も。
 表紙上部の参列の点々は人の顔になっていて、あっち向いたりこっち向いたり、そしてつぶやいたり。
 発信が広がり、波紋が広がるような印象を与えます。
 こういうシンプルで、控えめに遊び心を取り入れシンボリックなデザイン、好感が持てて個人的に好きです。
 唯一ダメだしすると、
 著者の名前が小さく一瞬分かりづらい、帯がある場合には佐々木俊尚さんの名前のほうが目立ってしまうといったところでしょうか。
 【関連書籍】
 参考文献の中から気になった本をいくつかピックアップ。
 
知的な未来をつくる「五つの心」 (Harvard business school press)
- 作者:ハワード ガードナー
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/04/24
- メディア: 単行本
 【参考記事】
 ディスカヴァー社長室ブログ:ミーティングでもツイッターでも発言の仕方は同じ。あなたはどのタイプ? 『ビジネスパーソンのための個人「発信」力』●干場








