まさか会議本で“感動”しようとは。
「感動の会議」のための解説書は、読者をも感動させる。
これはスゴ本!
【ポイント&レバレッジメモ】
★ 会議によって意気に感じ、会議によって行動が生まれる
★ 「会議の達人」 3つの原則
原則1 自ら、明確なゴール(意図)をもつ
この会議が終了時点でどのような状態になっていたら、成功といえるのか?
原則2 課題達成だけでなく、参加者の満足を引き出す
�課題への貢献感
�自分自身の成長実感
�それを、まわりが見ていてくれること(承認)
「会議に参加している」というのは、物理的にそこに体があるということではありません。
リーダーは、一方的に話したり、特定の人だけと会議をすすめるのではなく、全員の参加を促し、発言を引き出さなければなりません。
それが、参加者の満足を生み出し、会議終了後の自主的行動につながります。
原則3 会議のオーナーとしての責任をとる
会議の主催者として、そのテーマに関して、しっかりオーナーシップをとり、会議全体を、安全安心の場にしなくてはなりません。
提案した。実行した。うまくいっているうちは、みなが称賛したが、結局、失敗したら、ハシゴを外された・・・もしそんなことをしたら、以降の会議は、すべて形式的な会議、誰も挑戦しない会議になってしまいます。
★成功する会議のプロセス
共鳴を起こす ⇒ 発見を引き出す ⇒ 合意を生み出す
【感想など】
前回の『ビジネスパーソンのためのツイッター時代の個人「発信」力』に続いて今回もディスカヴァーさんの本です。
そして前回に続いて今回もいい意味で裏切られる本でした。
お題から、てっきり「会議を効率良くしよう」といったよくある会議本を想像してたのと、
「だいたいどうしたら会議で感動できんねん!?」とかなり斜に構えて読みだしたものだから、読み終わる頃にはそれこそ“感動”ですよ。
というのも、うちの職場の会議が本書とは対極にある会議。
決定事項の説明伝達に終始して、そこには議論や決定といったことは全くない。
別にみんなが集まらなくても、「資料読んどけばすむやん」というような内容で、いつも退屈でしょうがない。
そんな会議しかワタクシ経験がないので、「参加者の満足を引き出す」という考え方には本当に驚きました。
なるほどねぇ、「会議」とは
「感」・・・参加者が意気に感じ、自ら考え
「動」・・・自主的に動き出す
ことを目指すものだったんですね。
ビジネス書を読むのと一緒で、会議も「変化」や「行動」に結びつかなければ意味がない。
資料読み上げるだけのうちの上司にも読ませたい!
そしてもうひとつ本書を読んで「感動」だったのが、懇切丁寧な解説。
これ本当にすごいですよ。
あまりに各ステップごとに詳細な解説、ケース例、そして付録の実習等々、あらゆる場面を想定して対応できるように書かれているので、もう【ポイント&レバレッジメモ】にまとめるのは諦めました(ゴメンナサイ、無理でした)。
そのかわりどんな項目があるかは、下に【目次】を(ディスカヴァーさんのHPより)載せておきましたのでご確認のほどを。
あなたが会議で困っていること、改善したいことがきっと本書にあると思いますよ。
さて、最後に、
著者は「会議の達人」は「会話の達人」とおっしゃってます。
そして「会話」の極意は「相手の話を聞く」ということ。
その相手の話を聞く(受け取る)技術のもととなる考え方、心構えとして紹介されている「感謝で受け取る」というのが、会議だけでなく人生の上でもすごく重要な真理だと感心したので紹介します。
「感謝で受け取る」技術
効果1 感謝によって、自分自身が充実する
効果2 感謝によって、まわりが明るくなる
効果3 感謝によって、完了できる
効果4 感謝によって、自分のステイタスを上げられる
効果5 感謝によって、納得できる
会議を成功させるコツは人生で成功するコツにも通じる。
会議の場とは人生の縮図なのかもしれませんね。
本書はディスカヴァー21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
【目次】
はじめに 会議によって意気に感じ、会議によって行動が生まれる
第1部 会議を開く前に意識すること・決めておくこと
1 会議の達人 3つの原則
原則1 自ら、明確なゴール(意図)をもつ
原則2 課題達成だけでなく、参加者の満足を引き出す
原則3 会議のオーナーとしての責任をとる2 達人が会議を企画するとこうなる
オーナーシップをもつ
オーナーと話し合ってきめておくべきこと
会議リーダーはファシリテーターではない
会議のレシピ
� 範囲→空間と時間を押さえる
� 開催理由→「なぜ、今わざわざ開催するのか」を明確にする
� 理想の姿→会議の先にあるものを見せる
� タイトルづくり→前(未来の理想)を向いた質問形式にする
� 会議のゴール→どのような状態になっていたら成功か?
� グラウンドルール→会議で守るべきこと、大切にすべきことは何か?
� 関連情報→事前に用意しておくべき情報は?
� 参加者→誰に参加してもらうか? どう動機づけるか?
� 時と場所→開催時刻と場所の準備
� 進行表(プロセス)→必ずつくって、見ながら進める
会議企画書にとりまとめる
会議開催の案内を出す第2部 会議を成功させる進行の技術
ステップ1 共鳴を起こす
1「オープニング」の技術
�「ティーアップ」でリーダーへの敬意を持たせる
�リーダーのあいさつ 5つのポイント
�「つかみ」には3つのパターンがある
�「オリエンテーション」で参加をうながす
2「物語」の技術
物語はどんなときに使うのか
ふだんから、物語を集めておく
3「質問」の技術
相手に話させる効果
事前に意見を集める
質問は命令より強力
4「図解」の技術
� 表形式(枠内)に書くもの
� ツリー構造に書くもの
� 矢印を使うもの
5「実習」の技術
実習の進行のポイントステップ2 発見を引き出す
知恵を集める会議をどう進行するか?
事前に課題を出し、各人が解答をもって集合する
1+1=3にする
発見を引き出す達人の質問プロセス
現状を認識し、共有する
現状認識のポイント�論理で現状を押さえる(ビジネスモデルの活用)
現状認識のポイント�感情で現状を押さえる(五感で実感する)
現状認識のポイント�論理に感情を乗せていく
現状を「評価」し、方向性を定める
達人は「評価」のタイミングを意識する
発見を引き出す質問の3つの基本プロセス
� 即行動型
� 原因分析型
� 理想追求型
3つのプロセスを折衷して臨機応変に進行する
脳みそを揺さぶる4つの質問パターン
� 時間軸を動かす質問パターン
� 視点を変える質問パターン「ポジションチェンジ」
� チャンクを上下させる質問パターン
� 前提を投げ込む質問パターン
実習で発見を引き出すステップ3 合意を生み出す
合意プロセスこそ自主性が重要
1 受け取る技術
� 呼吸を合わせ、格好をまねる
� オウム返しする
� 「そうだよね、わかるよ」と言う
� 要約する
� 「素晴らしいですね」と言う
言葉だけでなく表情や振る舞いにも目を向ける
2 整理し選択する技術
� さまざまなアイデアを、いくつかの「提言」としてまとめる
� それぞれの提言のメリットとデメリットを出す
� 提言を評価するための評価項目を出し、評点をつける
� 最善の提言を選択する
3 介入する技術
� 思いつきで話が止まらない。さらに別の人が重なる
� 論理的に納得いかない。さらに別の人の怒りが重なる
� よくわからない。参加したくない。
� 上位職の人の話が止まらない
� 専門家が批評家になっている
� 同じ話を、何回も繰り返す人がいる
� ゲームの勝ち方から離れない
� 連絡なく遅刻してきた
4 分担し計画を立てさせる技術
5 勇気づける技術
�「会議のゴール」を達成したかを確認し、お互いを承認する(ねぎらう)
�ここで起きたことを、どうやって部屋の外に拡げるかを考える
�次回会議の予定を確認する
� 参加者1人ひとりを勇気づけるまとめ 達人の技術をフル活用する
ケース「クレーム対応会議」
共鳴を起こすプロセス
シーン1 あいさつ
シーン2 ゴールの確認
シーン3 現状認識
発見を引き出すプロセス
シーン4 理想に向けての切り替え
シーン5 課題を整理しつつ進めていく
合意を生み出すプロセス
シーン6 行動を引き出すおわりに
付録
【関連書籍】
本書中で紹介されている本
【参考記事】
ディスカヴァー社長室ブログ:会議の達人は何が違うのか? ●干場