名将野村元監督は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とおっしゃいましたが、
「ヒット商品には?」と考えた時、やはり「不思議のヒットなし」なのでしょう。
ではその勝負の分かれ目は何か?
それは「空気を読む」ことが出来たか否か。
【目次】
第1章 なぜ、「空気読み」でいい企画が作れるのか?
第2章 空気が読める「発見体質」に変わるトレーニング
第3章 誰でもヒットメーカーになれる「空気読み」の技術
第4章 関係者のメリットを描き企画に落とし込むフレームワーク
第5章 企画をみんなに理解させ人を巻き込むプレゼン術
【ポイント&レバレッジメモ】
★「空気読み企画術」・・・消費者の潜在的な欲求をつかんで企画をつくる方法
★「いい企画」とは
◇「いい企画」とは、課題を解決する企画
◇「空気を読める」のは日本人の大きな強み
私は、日本人の優れた資質は、この文脈を読む、相手の気持ちを察する能力だと思っています。最近は、「空気を読む」ことをネガティブにとらえる向きもありますが、それは「空気を読む」ことではなく、「空気を読みすぎて」本来発言しなければならないことを飲み込んでしまうことが悪であるということです。
★「発見体質」になるための「コツ」と「習慣」(抜粋)
◇「外国人」や「宇宙人」の視点を持つ
「外国人」、もっと大げさにいえば「宇宙人」の視点で身の回りを眺めると、新しいアイデアの種をつかむことができる
◇「自分の不満」から発見する
自分が不満に感じたり嫌に思った体験を、いかに「抵抗の少ない仕組み」に変換できるか考えるクセをつけましょう。
◇ターゲットを自分に「憑依」させる
発見体質になるために、簡単にできるトレーニングが、ターゲット(想定する特定の消費者)になりきることです。ターゲットが自分に「憑依」したかのように振る舞ってみてください。1人でやってもつまらないでしょうから、友達などとやってみることをオススメします。
◇メディアのコメントに「逆説」を唱える
メディアは自分たちに都合のいい例を紹介することで、もともといいたかった結論に結びつけることがしばしばあります。当然ながら、都合の悪い事例は紹介されません。
こういったメディアのコメントを鵜呑みにしていると、正確な「空気読み」ができない危険性があります。
★「空気読み」をサポートする3つの思考法
①自分が興味をひかれてものについて分析してみる ⇒ 何にひかれたのか?どんな感情を埋めてくれたのか?
②何かを決めるときに感じたことを「キーワード」にする
③他人の消費行動について分析してみる
★「トレンドの振り子」の動きを見極める
◇トレンドが片方に大きく振れるときは、人間は自然と「逆コンセプト」を求めてバランスを取る
◇「振り子の折り返し」地点の予想 ⇒ 「レイトマジョリティ層」をウォッチする
【感想など】
今回は3章までの【ポイント&レバレッジメモ】です。
この後、4章では企画に落とし込むフレームワーク、5章ではプレゼン術が消化されていて、いずれも実践的で即戦力となるメソッドばかりなのですが、ネタばれ自重のため泣く泣く割愛させてもらいました。
しかも、本書のメインコンテンツである「空気読み」のフレームワークも
「さすがに、これは紹介するわけにはいかんよなぁ」ということで詳しくは本書をお読みくださいませ。
といってもあまり何でもかんでもネタばれ自重するのも味気ないので簡単に「空気読み」の流れだけ説明すると、
あるテーマにそって現在世の中で起こっている現象をたくさん集めてきて・・・これが「葉」
「葉」を共通でくくれるようなものにまとめていきます・・・これが「幹」
そして、それぞれの「幹」の根底にある「根(=消費者の深層心理)」を見つける
といった流れのフレームワークです。
ちょっとブレストに似てますが、違うのは、共通するより深いところ(空気)へ収束していくところかな。
で、実際に本書ではいくつか実例を挙げてすすめ方を詳しく解説してくれています。
これを読むと「意外と簡単」という印象を受けるのですが、そんな甘いはずはないですよね。
というのも、ブレストをやったときの経験からですが、ワタクシ的にはあれってハードルがありまして...。
ブレストをやったことがある人はわかると思いますが、まず最初に大量のアイデアや意見を出さないといけません。
「空気読み」でいう「葉」の部分。
この段階でどれだけ「葉」が出るかで(質も大事だけどこの段階では量の方が大事)、ほとんど結果の善し悪しが決まるわけですが、「どんな意見でもいい」といわれても意外と出せないもんですよね。
そんなことありませんか?
じゃ、なんで出せないの?となったとき思い当たるのは「インプット量の不足」ではないでしょうか。
「仕事の結果は準備で決まる」とするならば、「葉」をたくさん出すには普段の情報収集、インプット量が決め手となります。
それはわかっているけれど、じゃあ普段いったいどんなアンテナの張り方をすればいいのか、何を見て何に反応するべきなのか、どんな思考を習慣化するのか、どこに目の付けどころを置くのか・・・。
難しいですよね。
さらに悪いことに私たちは「自分には見えない・気がつかないものが見えて気がつく能力を持った人」と何が違うのかと考えた時、“センス“の一言で片づけて諦めてしまっているところがあります。
実はワタクシもその一人です。
でもご安心を、本書ではトレーニングを積むことで「発見体質」になれるとし、色々な「発見体質」になるためのメソッドを紹介しています。
上記【ポイント&レバレッジメモ】でもいくつか紹介しましたが、
例えば「外国人」の視点。
少し前にフジTVの目ざましテレビで「外国人観光客がカメラで何を撮っているか?」という特集をやってましたが、本書を読みながら「まさしくこれだ!」と思ってしまいました。
「自動販売機」とか「工事中の看板」とか撮ってるんですよ。クールだとか言って。
私たちには当たり前の風景でも外人さんにはクールなんですね。
それから「憑依」。
これは「凄いメソッドだ!」と思いつつ、実際オフィスでやってる光景を想像して笑ってしまいました。
だって、例えば若年層をターゲットにした商品を開発する場合は、ギャルになりきってギャル語でしゃべったり、ヤンキーの兄ちゃんになりきって企画会議するわけですよ。
OLさんはギャルメイクして、男性諸氏は腰パンでウンコ座りして会議してみる。
実際にやってみないと効果のほどはわかりませんが、少なくともじっと椅子に座ってあーだこーだ言ってるよりは活発に意見出そうですよね(笑)。
それから通勤時間を利用した「プロファイリング」も紹介されていますが、これちょっと危ないかも…。
ただ、通勤電車の中にはいろんな情報が隠れている(同じ車両に乗っている人とか、中吊り広告とか)貴重な時間と思えば有意義な時間となりそうです。
ちなみにワタクシは職場まで田んぼばっかりの風景。
「田植えが始まったな」とか「もうすぐ新米が食べれる」とか、季節感だけはバッチリです!
ということで、ワタクシ的には「発見体質」になるためのメソッドが一番惹かれたのですが、
前記のとおり本書は、「空気読み」から「企画立案」→「プレゼン」まで体系的に状況別にメソッドやフレームワークが紹介され、これでもかとかゆい所に手が届く親切内容になっています。
上司から「企画書出せ!」といつも言われて困っている方から、iPhoneやiPadを超えるヒット商品を生み出してやる!とひそかな野望を持っている方まで、いろんな人がいると思いますが、
著者は「消費者が深層心理で求めている企画こそが、より良い世の中を創る」という信念をお持ちだそうです。
本書を読んであなたも世の中を変える商品を生み出してみませんか?
本書はツイッター上でも(@takikeisuke )ダダ本会議でも大活躍中!、日本実業出版社の 滝 啓輔 様から献本していただきました。ありがとうございました。
【関連書籍】
本書内で紹介されている本

OLの私的消費 (McCANN ERICKSON INSIGHT SERIES)
- 作者:マッキャンエリクソン 戦略プランニング本部OLオデッセイチーム
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/01/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)