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今日を生きろ!【書評】横田 尚哉(著)『ビジネススキル・イノベーション』 プレジデント社

おはようございます、40歳越えても「仕事は気合いだ!」の一言で乗り切っている一龍(@ichiryuu)です。

今日は横田尚哉さん久々の新刊のご紹介。
とにかく表題の通りビジネススキルに関するイノベーションがぎっしり詰まっている1冊なのですが、これねぇ、書評ブロガー泣かせなのですよ。

【目次】
プロローグ
第1章 1.4倍で時間を見積もる
第2章 時間と感情のロスを減らす
第3章 チームをマネジメントする
第4章 感性でリスクを察知する
第5章 組織のムダを改革する
第6章 個人の能力を最大化する
第7章 時代の交流をつかむ
第8章 未来のつくり方を考える
エピローグ

【ポイント&レバレッジメモ】

★決断を迫られる局面で頼りになるのは、実は感性

 しかし決断を迫られる局面でもっとも頼りになるのは、実は感性です。
未知の領域を既知のものにするために知識を増やしたり、事前に危機管理の訓練を行ったとしても、想定外のリスクをなくすことはできません。まったく予想外のことが起きたときに信じられるのは、自分の感性です。
たとえ根拠が薄くても、「これで間違いない」を自信を持っていえるように、普段から感性を磨いておく。それが危機的状況においても怯まない勇気につながります。

★海陸両様の生き方を目指す

 マズローの欲求の五段階は、すべてリアルで満たすことが可能です。一方、ネットで満たせるのは第三段階の「社会的親和の欲求」より上の欲求であり、生理的欲求や安全・安心の欲求といった身体的・本能的な欲求は満たせません。換言すると、ネットは人間の高次の欲求を満たすのに適したシステムといえます。<中略>しかし、そうした生き方には危うさを感じます。<中略>
ネット空間は、一見自由に見えるかもしれません。しかし物理的にいえば他人のつくったシステム上で、許された範囲の活動をすることしかできません。<中略>
いま求められているのは、リアルでもネットでも動き回れる海陸両様のバランスです。片方だけに依存して、「井の中の蛙、大海を知らず」では成長に限界が訪れます。自分が硬直的では、目の前に広がる多様な世界に対応できません。自分の能力を磨くためには、どちらかで生きるのではなく、どちらでも生きることが大切です。

★得意領域でナンバーワンになる

 国民的なグループのヒット曲に、「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」という有名な菓子があります。<中略>
私の解釈では、この歌は攻めの歌です。
歌詞に込められているのは、「もともと特別だから安心しろ」ではなく、「もっと独自性を出せ」です。「人を気にするな」ではなく、「自分に自信を持て」です。「頑張らなくていい」も、本当は「努力の方向を間違えるな。人の真似をしても意味はない」です。<中略>
自分が個性を発揮できる舞台では、やはりナンバーワンを目指さないといけない。得意分野で埋没しているのに「自分はオンリーワンだ」と誇るのは、単なる自己満足です。自分の得意な領域でナンバーワンになってこそ、オンリーワンであることの価値が高まるのです。

★不足を体験して知恵を身につける

 ある小学校のベテランの先生に、いまの小学生と昔の小学生の違いを尋ねたことがありました。
先生は、こう即答しました。
「いま子どもたちには、『不足』が不足している。そこがちょっと心配だね」<中略>
いまの子どもたちに不足が不足しているのは、不足そのものではなく、不足の体験から得られる苦労や努力です。さらにいうと、苦労や努力によって磨かれる耐性と知恵です。つまり、不足の状況そのものは好ましくなくても、不足体験するコトによって耐性と知恵が磨かれず、不足の状況に対応できなくなるコトが怖いのです。<中略>
もちろん不足が必要なのは、いまの子どもたちだけではありません。大人にとっても不足の経験は大切です。<中略>
不足を経験する方法は二つです。一つは、リソース不足のベンチャー企業などに転職すること。保護された環境下でも、10日でやる仕事をいつかでやると決めれば、努力、苦労、悩みが生まれます。

★セレンディピティを起こす

 セレンディピティには五つのプロセスがあります。最初のプロセスは「意識」です。私が得意としてきた言い方ではファンクション(目的、役割、機能、効用)ですが、問題意識といったほうが伝わるでしょうか。
次は「行動」です。行動には時間の投資が必要であることは、すでに指摘したとおりです。
三つ目は「察知」です。行動すれば外部刺激を受け、知覚情報を得ることができます。最初のプロセスでインストールされている意識が、入力された知覚情報に反応して、「ここには何かがある」という信号を発します。それが察知のプロセスです。
察知の次は「想像」です。察知した何かの信号は、もしかしたら何か大きな意味を持つのかもしれないと想像するわけです。その結果、「この偶然の出会いは価値がある」とはじめて気づく。それが最後の「発見」のプロセスです。

★感性で決め、知性で測り、理性で示す

 長期計画の策定には、三つの「性」が必要です。未来を見通す「感性」と、過去を認識する「知性」、そしていま取るべき方針を示す「理性」です。
長期計画を立てるときの基本的なプロセスはこうです。感性で未来を思い描いて進むべき方向を定め、知性で認識した過去の情報を用いて方針を検証して、理性で具体化してし指し示す。感性と知性、理性のどれが欠けても、適切な計画になりません。
なかでも重要なのは感性です。感性が乏しいと、人は知性に頼ります。しかし知性では不確定要素の多い未来を思い描くことができません。知性はあくまでも、感性で決めたことがぶれていないかどうかを測定、検証、補正するためのものです。感性のかわりにはなりません。

★一日一瞬を生きることに集中する

 人生は、次の数式で示すことができます。
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Σ(シグマ)はある範囲を足しあわせるときに使う記号で、この式は生を受けてから死を迎えるまでのトゥデイの総和がその人の一生になることが表現されています。
ひらたくいうと「人生は今日という一日の積み重ねだ」という意味ですが、理系人間である私には、こうして数式で表現した方が理解しやすいのです。<中略>
今日の質を高めることができるのは、今日だけです。にもかかわらず、昨日を悔やんだり明日を心配していると、今日の質が低下していきます。人生は今日の総和ですから、今日の質が低下すれば人生の質も低下します。自分の人生をより良きものにするために、昨日や明日に気を取られている余裕はないのです。<中略>
私たちがコントロールできるのは、昨日でも明日でもなく、今日この瞬間です。そこを疎かにして人生の質が高まることはない。私はそう確信しています。

【感想など】
書評ブログを続けていると、書評を書きにくい本とたまに出会います。

それには2種類あって、一つはポイントが不明瞭だったり、主張がおかしい本。
いわゆる”とんでも本”ですが、これはスルーさせてもらうのでブロガーとしては問題なし。

問題なのは、もうひとつの方で、とにかく中身が濃過ぎて、最初から最後までポイントだらけの本。
こういった本は1年に1冊出会うかどうかで、このブログを始めてから2、3冊しか出会ったことがありません。

その滅多に出会わない中身が濃すぎる本がきてしまいました・・・。

本書は、あの改善士として情熱大陸にも出演された横田尚哉氏の最新刊。

「何のため?誰のため?」は、今でもワタクシの仕事に向かうときの指針となっているぐらいワタクシも影響を受けた方です。

その横田さんがビジネススキルをテーマに書かれた本なのですが、さすがです。
もう、最初から最後までポイントなんですよ。

巻頭の、

仕事には想定の1.4倍の時間がかかる

から、「おお!そうだそうだ」と納得し、
「会議の役割を、1ポイントか2ポイントで評価する」
に至っては目からウロコ。

しかも、コンテンツの中身だけではなく、その文章表現にムダも隙もない。

また、各テーマで理解を促すために表や図解が用いられているのですが、これらも素晴らしい。
モノクロですが本当にわかりやすくデザインされている。

ちなみにワタクシが気に入ったのは上記のΣのやつと、こちら
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「勘違い」と「迷惑」に心当たりあり。

もう一読して、内容にも文章にも図表にも、相当な時間と手間をかけて練りに練った本だということがわかります。

読み手としてこういう本と出会えるのはしあわせ。
ですが、あまりに中身が濃過ぎてどう紹介するか迷ってしまう書評ブロガー泣かせの本なのです。

で、8月の中旬には読了していたのにずっと書けず、しまいには仙台の美人ブロガーするめさんに、「どう書いたらいいですか?」と尋ねてみたり。

その間、何度も読み返していました。

そして、ワタクシ、ついに気がついたのです。
自分なりにここがキモじゃないかというポイントを。

昨年来、ジョブズの影響でしょうか、”イノベーション”という言葉が流行っています。
ビジネス書の世界でも、イノベーションをテーマに掲げた本が一つのジャンルを形成しています。

このジャンルでは様々なテーマが議論されてきました。

ジョブズのような天才にしかイノベーションはできないのか?
持って生まれた才能なのか?、それとも訓練で身につけることができる能力なのか?
Appleにできて、ソニーにはどうしてできなかったのか?
人と違うアイデアや発想はどうしたら生み出すことができるのか?

ワタクシも書評ブログをやっている関係で、この手の本を昨年からたくさん読ませてもらいました。
どの本も「なるほど」と思えるものばかりだったのですが、何か釈然としない、でも、どれもつながっている。

それが何なのか?本書を読んで見えたのです。

それは、
イノベーションの基盤は”生き方”ではないか。
ということ。

本書の9割以上が「ビジネススキル」について書かれています。
ですが、最後の章に「感性」「直感」にかかわる記述が集中しています。

スキルは学び、真似することができます。
しかし、絶え間なくイノベーションを続けていくには、人の技術を真似するのではなく、自分で発想しなければなりません。

その発想のためには質量共に優れたインプットが必要です。
多くの場合、このインプットに関して、本を読もうといったことでお茶を濁している場合が多いのですが、そういうことではなく、生き方とか人生と向き合う姿勢そのものを変えていくことがイノベーションにつながるのではないかと。

よく、「アンテナを張る」という表現を目にしますが、そんなレベルではなく、『超訳ニーチェの言葉』風に表現すれば、
『人生を面白がれ』
といった感じでしょうか。

そういった生きる姿勢から、ビジョンは生まれ、本当のイノベーションは生まれるのではないかと、本書を読んで気がつきました。

ということで、【ポイント&レバレッジメモ】では、生き方に関連しそうなところをピックアップしました。

ですので表題の「ビジネススキル」に関する記述は、本書を読めばぎっしり詰まっていますので誤解のないように。

最後に、上記のΣの公式。
これこそイノベーションの大本となる公式だと思います。

あのジョブズも言ってましたよね、「今日がもし、人生最後の日だったら・・・」。

1日1日、精一杯生きた今日を積み重ねて、気がついたら「凄く遠くまできたなぁ」と思える人生を歩みたいものです。

自分自身の人生のイノベーターへ。

本書は著者である横田尚哉様よりパイロット版を献本していただきました。
ありがとうございました。

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【管理人の独り言】
イノベーションというのは、なにも突飛なことだとは思いません。
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こういう心遣いができる人が、真のイノベーションを起こす人だと思います。

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