<楽天ブックスはコチラ> 『ソーシャルメディア革命』
ブロガーのはしくれとして、これほどワクワクさせられた本はない。
ソーシャルメディアの可能性とそれが変えるであろう未来の姿。
そしてブロガーの果たす役割。
近い将来押し寄せるであろうソーシャルメディア革命の波に思いをはせよう。
【目次】
はじめに
第1章 北米におけるソーシャルメディアの勃興
第2章 ソーシャルメディア時代の新マーケティング戦略
第3章 究極の村八分 孤立していく日本
第4章 ソーシャルメディア その可能性と課題
第5章 ソーシャルメディア革命 その近未来図
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★ソーシャルメディアとは
「ソーシャルメディアは、誰もが参加できるスケーラブルな情報発信技術を用いて、社会的インタラクション(相互作用)を通じて広がっていくように設計されたメディア」(ウィキペディア)
「Web2.0の思想的及び技術的基礎に基づいたインターネット上のアプリケーション群であって、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創造と交換を可能にするもの」(アンドレアス・カプラン教授、マイケル・ヘンレン教授)
⇒ 情報発信の主体はこれまでのように大手ではなく個人である
★ソーシャルメディアのマスメディアとの違い
①アクセス性 ②利便性 ③即時性 ④改変性
⇒ ソーシャルメディアは、マスメディアのトップダウンの情報発信に対して、ボトムアップの情報展開
ソーシャルメディアはマスメディアの対して独自の視点を供給し、そのスピードに置いてはマスメディアをも凌駕する
★マスメディアとの比較に見るソーシャルメディア8つの特徴
1 ソーシャルメディアは、マスメディアと対極に位置する
2 ソーシャルメディアの影響力はネット上だけにとどまらない
3 情報を発信するのは、「個人」もしくは「個人の集合体」で、大「組織」ではない
4 ソーシャルメディアサイトは、総合的なポータルというよりは、ここに細分化されたジャンルあるいは地域をカバーする
5 即時性が命である
6 独自の視点と論調が成功のカギを握る
7 独自経済基盤構築の可能性
8 双方向の情報発信とスケーラブルな仕組みを工夫できる
★侮れない英語の壁
英語力不足の弊害はソーシャルメディア化が進むにつれ、拡大していくように思えてならない。これは主に情報発信、そして技術に関する分野においてである。
ソーシャルメディアでは、人と人とのつながりを介して情報が伝達される。この点で、言語の壁がこれまで以上に壁となる。
いかに万能なネットといえども、「リアル」に存在する壁を「バーチャル」に越えさせることにはそれほど成功していない。「世界で最も影響力のあるブログ50」の実に90%が英語で書かれている(日本からは唯一Gigazineが23位にランクイン)
★今後注目すべきネット広告市場4つのポイント
1 日本においては、より成熟したオンライン市場の兆候が随所に見られる。視聴者規模の増加は緩やかだが、接触時間はさらに増加する可能性がある。
2 ソーシャルメディアの観測と分析は、単なる一時的なはやりではない。それは非常に費用対効果の高い、みなさんの最も重要なお客様を誠実に理解する方法である。
3 消費財の広告主は、デジタル・マーケティングの将来について、可能性を確信している。
4 「視聴者中心ウェブ」への移行は、マーケティング・ミックスにおけるオンライン広告の役割を後押ししていく。しかしより重要なのは、他のメディアとの間に存在するギャップがなくなろうとしていることである。
(ニールセン「主要アジア地域おける2010年のオンライン市場」講演資料より)
★クラウトのスコアが、TVの視聴率のような意味を持つ?
ひと言で言えば、スポンサーにとってのテレビの視聴率のようなものだろう。<中略>これと同じことをソーシャルメディア界に適用しようとする場合、このクラウトのようなスコアが高いものを追いかければいいということになる。
★日本でソーシャルメディアが立ちあがらない10の理由
1 既存大手メディアの影響力が強すぎる
2 人権意識が低い
3 政治(や社会)とジャーナリズムへの関心度が低い
4 個性を認めない「出る杭を打つ」文化の存在
5 自営・独立をする人が少ない
6 非営利団体に対する支援と理解の欠如
7 語学力の低さと国際意識の欠如
8 PV神話が根深い
9 先駆者としての匿名掲示板の存在
10 芸能ネタへの偏り
★欧米だけでなくアジアにも目を向ける
わたしたちは英語にこだわり過ぎるあまりに、大きな損をしているように思えてならな。<中略>
普通に考えると、私たち日本人と欧米人の間に強い接点は存在しないのだ。むしろ、日本に強い関心の目を向けているのは、儒教や仏教といった文化慣習や歴史をある程度共有しているお隣韓国や台湾、そして中国の方だ。
そして、ビジネスに目を向ければ、実はこれらの市場こそ、今や欧米をはじめ世界中の企業が注目する急成長市場なのだ。
★日本でソーシャルメディアが成り立つための条件
1 ソーシャルメディアに対する世間の認知が広く正しく行われ、その意義が理解されること。
2 ソーシャルメディアの意義を理解して、貢献しようとする人意図が、独立したインフルエンサーとして、広く情報を発信できる環境が構築されること。
3 大手広告主がソーシャルメディアの利点を理解し、大規模な広告予算をソーシャルメディア関連で消化すること。企業が、自分たちの会社にソーシャルメディア担当を置いたりして、市場に対するリスニング・プラットフォームと、社内に対する啓発のシステムを構築すること。
4 企業が、ソーシャルメディア関連の技術やコンテンツ、プラットフォーム構築を求めだすことにより、ソーシャルメディア周辺の事業が潤うこと。
★プロブロガーになるための5つの条件
1 トピックスを絞り込む 自分が得意で差別化できる分野を探す
2 継続は力なり 少しずつでもいいからとにかく毎日書く
3 ブランドを意識すべし ブログもビジネスと同じ
4 アクセスに興味を持つ リスニングはエンゲージメントに欠かせない
5 ブログのSEO効果を知ること 上位に表示されるために工夫する
【感想など】
なんとエキサイティングなことか。
かなり興奮気味にワクワクしながら読了しました。
本書は北米を中心に、英語圏でのソーシャルメディア革命の実態を詳細に報告してくれるとともに、日本の今後のソーシャルメディア革命の進展について、非常に示唆に富む可能性を提示してくれています。
まず感じたのはアメリカという国のタフさ。
双子の巨額な赤字を抱え、瀕死の巨人の様相を呈しているアメリカですが、ソーシャルメディアという新しい分野においては、やはりアメリカという国の底力を感じざるを得ませんでした。
未だに進取の気性が残っている国なんですね。
それに引き換え、
その北米でのエキサイティングな状況と比べて、日本の遅れ具合、閉塞性はいかんともしがたい現実として突きつけられました。
著者が主張するように、日本という国の独自性、例えば「島国根性」と著者は表現していますが、それに根差した「土壌」の生成の遅れという壁は非常に大きな問題だとワタクシも思うのです。
また、最近特に耳にする“ガラパゴス”という言葉。
これも「島国根性」に起因するという考えには、なるほどと思ってしまいました。
ただ、こういった日本の現状に対して「何とかならんものか」と思う一方で、ワタクシの中で非常に楽観的に「大丈夫、心配ない」と思ってしまう部分もありました。
それは日本という国の歴史からそう感じるのです。
この国の歴史をみると、有史以来、外国からの先進文化・技術を取り入れることに長けており、しかもその先進文化・技術を日本風にローカライズしてさらに発展させる(←これをガラパゴスという)ことで自分たちの文化を築き上げてきました。
ガラパゴスこそ日本のお家芸。
だから、経済分野ではガラパゴスは問題なのでしょうが、ワタクシ個人的にはガラパゴスいいじゃないかと思ってしまうのです。
もう一つ日本の歴史から、この国がガラッと変わるのは、いつも外圧による、しかもそれは強く激しく急激な外圧で突然、一気に変わるという点も見えてきます。
ちょうど、ガラパゴスケータイで平和ボケしている日本の携帯市場にiPhoneが黒船のごとく登場して2年半。
気がつけば携帯売り場はスマートフォンばっかりじゃないですか。
黒船→開国→維新
敗戦→占領→民主、平和国家
この変わり身の早さ、よく言えば変化への柔軟性も日本のお家芸。
だから、ソーシャルメディア革命の本格的な波が来れば、それは古い体制が崩れるわけですから、特にマスメディア関係は淘汰の波にもまれることになるでしょうが、一般市民のワタクシは何の心配もしていないし、むしろこの国がどんな変わり身の早さを見せるか、どんな国に変わるのかの方が楽しみだったりします。
波よ来い!
さて本書でもう一つ(というかこっちの方が気になってしまった)気になったトピックスがありました。
それは「プロブロガー」の存在。
ワタクシも一応ブロガーですからね。
全然儲からない、というか時間とお金ばかりかかってしまう書評ブロガーとしては、億単位のお金を稼いでるプロブロガーには興味深々。
そんなに儲けなくても、好きなことで食っていけるならと思っちゃいますよね。
本書には数名のプロブロガーのインタビュー記事が掲載されています。
それぞれ、非常にブロガーとして参考になるヒントに満ちていて、ブログでもっととんがった存在になりたいとか、最終的にブログで食べていきたいと(ワタクシも密かに)思っている方には必読の部分かと思います。
なかでも、ブログだけで年収50万ドル稼ぐジョン・チャウは印象的でした。
彼はこんなことを言っているのです
「お金が全く入ってこなくても、ブログを書き続けられますか?」
そして、
「たとえそれ(書くこと)でお金が全く入ってこなくても、ブログを書き続けられるほどの強い興味と情熱を何かしら持っている人間は、プロブロガーになる潜在能力を持っている」
この価値観とパッションがプロブロガーとなることができるかどうかの判断基準なのです。
現在ブログでかなりの額を稼いでいる人は日本でもいますが、そのほとんどは「情報商材」アフィリエイト。
一般人の中から、マイクロインフルエンサーとして影響力も収入面でも活躍するブロガーが登場したとき、この国は一気にソーシャルメディア革命に維新回転するのだと思います。
そしてそれは意外に近い将来なんじゃないかと。
なぜならば、その一人にワタクシが立候補するからです(←ウソですよ~)
お後がよろしいようで。
マスメディアの方、ソーシャルメディアを活用しようと思っている方、そしてプロブロガーを目指すブロガーへ
本書はディスカヴァー21さんの電子書籍版無料献本キャンペーンでいただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】

グーグルとウィキペディアとYouTubeに未来はあるのか?―Web2.0によって世界を狂わすシリコンバレーのユートピアンたち
- 作者:アンドリュー キーン
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本