<楽天ブックスはコチラ> 『「日本ダメ論」のウソ』
いったいいつまでこの不況はつづくのか?
暗いニュースばかり流れる昨今、しかし本当は解決方法があるのに一部のインフレになると不都合な人たちが、あーだこーだとうまい理由をつけてわざとデフレのままにしているとしたら・・・。
何が真実で何がウソなのか?見分ける方法があるのか?
まずは本書をお読みください。
【目次】
はじめに 「日本ダメ論」は完全に論破できる
序章 それでも日本は破産しない! ――「国家破綻論」のウソ
第1章 メディアにはびこる「ウソ」を見破れ!――常識のウソ
第2章 「みんなの言うこと」は意外と正しい!――「お上性善説」のウソ
第3章 これが「日本ダメ論」のカラクリだ!――マスコミのウソ
第4章 憲法改正はしてもいい!――「平和憲法」のウソ
第5章 中国に土下座しても日本は守れない!――領土問題のウソ
おわりに 日本銀行とゼントラーディ軍
【ポイント&レバレッジメモ】
★自分の頭で考える「一人ディベート」のススメ
ディベートの「あえて自分の考えとは反対の立場を取る」という技術を応用すれば、世の中に出回る書籍やマスコミ報道などが本当に正しいのかどうかを検証することができます。読後に感銘を受けた主張などに対して、自分自身であえて否定側に立って反論してみるわけです。
★「一人ディベート」が明らかにすること2点
1ある主張に「反証可能性」がある
2その主張は「反証可能性」があるにもかかわらず、現時点では論破できない
★お上性善説
戦前の大本営や現代の政府や日銀を総称して「お上」と呼ぶことにしましょう。
「お上」とは、実際に日本を統治するための政策を立案、決定する人たちです。私たちは知らず知らずのうちに、「お上」を頭が良くて絶対間違えることがない人と信じ込んでいます。<中略>
そもそも「お上」といえども人間です。神のように間違えないなどということは有り得ない話です。
しかし、日本においては、歴史的な事実や、「お上」ですら人間であるという現実に目を向ける人は少なく、むしろいまだに「お上のように賢く、絶対に間違えない人」となんとなく思い込んでいる人が多いのです。
★「神格化と神殺しのプロセス」
日本人が絶対無謬の「お上」を必要としている本当の理由は、責任転嫁するためのスケープゴートをあらかじめ用意しておきたいということなのです。
また、「お上」の側では、人々のそういった逃げの姿勢を巧みに利用して有利なポジションを得て、いけにえとして殺されるまではひたすら私腹を肥やすわけです。それはまさに『礎』というマンガに出てきた主人公のようなものです。
★「保守」
理性に対して懐疑的な態度を取ることこそが「保守」という立場の真髄です。
「保守」という言葉は今、ものすごく誤解されています。典型的な誤解は、「現状肯定的で、今よりも昔を礼賛する」といった俗流解釈です。むやみに現状の肯定だけをするのは「守旧」であり、昔を無批判に礼賛するのは「復古」です。真の「保守」は「守旧」にも「復古」にも反対です。
★「みんなの言うこと」は意外と正しい!
私は民主主義という仕組みが、いろいろな欠陥を抱えつつも暫定ベストなしくみとして残っている理由は、このような「集団の知恵」を引き出す仕組みを持つからだと考えています。<中略>
ただし、集団の知恵を発揮するためには健全な市場が機能する必要があります。
◇『「みんなの意見」は案外正しい』、スロウィッキーの主張する賢い集団の特徴
1 意見の多様性(それが既知の事実のかなり突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)
2 独立性(他者の考えに左右されない)
3 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
4 集約性(個々人の判断を集約して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在)
★日銀貴族のホンネ
なぜ(日銀が)デフレ脱却をこれほど妨害するのかについては、デフレが続くことで誰が得をするか考えると答えが出ます。
モノが売れず、物価が下がる代わりに失業や賃金カットが発生するのがデフレです。デフレによって恩恵を受ける人は失業のリスクが少なく、定額の給料をもらえる人々です。公務員、大企業の正社員、お金持の老人などです。<中略>
日銀がここまでかたくなにデフレ脱却に反対する理由は、おそらくこういう虫のいい(消費税を増税したい)官僚たちの声をバックにしつつ、デフレ政策の失敗をゴマ化して隠ぺいしようとしているからだと思われます。
【感想など】
著者上念氏は言わずと知れた勝間さんのブレーン。
当然そのポジションは反デフレで、「日銀はどんどんお金を印刷して無理やりインフレにしてしまえ!」派閥なのです。
が、本書ではこの日銀の政策の是非を問うのが主題ではなく、日銀や政府の経済政策を一つの題材に、世の中にはびこる“ウソ”を見抜く方法を説くことが主題。
たとえば、その“ウソ”を見抜く有効な方法として“一人ディベート”が提案されていますが、コレは確かに有効かと。
よく「物事は多角的に見なさい」なんて言いますが、じゃどういうふうに見ればいいのかは、よくわからなかったりします。
しかし“一人ディベート”により、テーマに対して反証を試みるという行為は、それ自体が非常にアプローチが簡単だし、それでいて少なくとも賛成と反対の2つの視点はもつことができるのですから、これは今日からでもTTPするべきかと。
とはいえ、知識のない分野については反論のしようがないという現実。
ワタクシにとってそのいい例が、本書で題材にしている日銀の経済政策だったという笑えない事態と相成りました。
そもそもこのお題、つまり「日銀はどんどんお札を刷って無理やりインフレにしてしまえ!」は、本書でも述べられているように反対意見が多い。
しかも名だたる経済学者やアナリスト、それに有名人が反対意見を言うので経済ど素人のワタクシなどにはどちらの言い分が正しいのか皆目見当がつかない問題。
ただ、岩田先生のデフレ脱却プロセスを読んだ後で
経済学者岩田規久男先生によるデフレ脱却プロセス
1 中央銀行が客観的な目標を持ち、ベースマネーを増やし続けることにコミットする。
2 予想インフレ率が上がる(=物価連動債の価格が上がり始める)
3 インフレを予想した人々(法人も含む)が、デフレ時代に死蔵していた現金や株や土地や外資など値上がりしそうな資産を買い求める。
4 デフレ時代にため込んだお金は相当な額なので、しばらくの間はこのお金を回転させるだけで資金が賄える。いきなり銀行の貸し出しが増えることはない。つまり、デフレ脱却に際して、貨幣の流通速度は増加するが、マネーストックは増加しないし、金利(名目金利)も上がらない(アメリカでも日本でも、大恐慌から脱出する際は、3年ぐらい金利は上がらなかった)
5 景気が良くなってくると、貨幣の流通速度を上げるだけでは資金が足りなくなる。この状態になってはじめて銀行貸し出しの出番になる。マネーストックが増加し、金利(名目金利)が上がるのは、この段階である
以下の上念氏の言葉には激しく納得。
日銀がいつも言い訳している「日銀が資金をいくら増やしても民間に資金需要がない」というロジックは、1と2をきちんと実施していない現状ではまったく反論になっていません。
つまり日銀が何にもしてないという部分はワタクシにもわかります。ハイ。
となると、やっぱり・・・。
まぁ、それは置いといて、
“一人ディベート”ができるほど知識がなくても、世の中にはちょっと考えれば「なんかおかしいぞ」と気付くことができる“常識”が沢山あります。
例えば、本書後半では 「平和憲法」のウソ に関して、おなじみの以下の“常識”が登場します
「日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏をした」
日本国政府が、つまり日本国民が“無条件で降伏”するとはどういうことか?
極端な話、太平洋側からじわじわ追い詰められて、日本国民全員日本海に突き落とされても文句も言えないというのが“無条件降伏”の状態。
こんなことってありえません。
じゃ無条件降伏って何?といえば、それは日本軍の無条件降伏のこと。
でも、すっかり我々刷り込まれていますよね。
「あれ、なんかおかしいぞ」と気付く臭覚と、ちょっと自分で考えるクセをつけること。
そして、やっぱり勉強しなくちゃ。
ええっ!と目が覚めること間違いなしの一冊。
本書はイースト・プレス、畑裕介様より献本していただきました。
ありがとうございました。
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