おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。
仕事はすぐやるのが常識であり理想。
ですからビジネス書の世界でもいかにして仕事を早く終わらせるかというテーマで書かれたものがたくさんあります。
そういう「すぐやる」ことを解説した本の一冊が今日ご紹介する横山信弘さんの『超一流のすぐやる技術』 なのですが、本書で僕の惹きつけたのは、「すぐやらない」技術でした。
実は、超一流のすぐやる人は、何でもかんでもすぐやらないというのです。
はたしてその理由とは?
超一流のすぐやる人が何でもかんでもすぐやらない理由のポイント
★現代はすぐやらない方がいいときも多い
仕事においては「今すぐやる人」になることが必要ですが、著者は「すぐやらない」ほうがいいときもあるといいます。
その理由は
必ずしも「すぐやってはいけない」理由。それはずばり、他人から軽く扱われてしまうことがあるからです。
他の人なら断られることでも、あの人ならちょっと頼んだだけですぐに引き受けてくれる。何も考えずに「今すぐやる」癖があると、残念ですが、他人からそのように思われてしまうことがあります。
また、「軽く扱われている」ということは「簡単に動かされている」と言い換えることもできるでしょう。
★危険なカチッサー効果
カチッサー効果という言葉があります。他人のある要求に対し、深く考えることなしに、条件反射的に承諾してしまうことです。
条件は射的に「いいよ」と返事をしてしまうと
「どうして引き受けてしまったんだろう」と自己嫌悪に陥り、これがまた「否定的ノイズ」を生み出すのです。
★自分の荷物を相手に見せる
では、どうすれば他人から軽く扱われないようになるのでしょう。
著者は次のように答えます。
大切なことは、自分の荷物を相手に見せることです。自分自身の荷物を見える化できていないと、意外と簡単に引き受けてしまうものです。しかし、例えば目の前に7枚のメモがあり、そこに時間が書かれてあったら、衝動的に引き受けることも減るでしょう。自分が運ばなければならない荷物がこれだけあると、「世界地図」を直接相手に見せてもいいでしょう。そうすると相手も考えます。1番の問題は、自分の荷物がどれだけあるのかが相手の目に入っていないことです。自己防衛するためにも、荷物が入荷しておきましょう。
★他人に軽く扱われない、振り回されないための自己管理術
さらに、「手荷物を見せる」ために日頃の自己管理術が重要だとも著者はいいます。
他人から振り回されないようにするためには、1日、1週間、1ヶ月・・・の単位で定期的に荷物の世界地図を作り、スケールテクニックを使い、タグ付けをすることです。同じ「見積もり資料を作る」というタスクでも、①今週中に見積もり資料作る②木曜日の昼3時から5時までの時間を使って資料を作るこの両者では、意味合いがかなり異なってきます。
「木曜日の昼3時から5時までの時間をつかって資料を作らないといけない」というふうに言われると、上司も頼み辛いと思います。
自分を律し、正しく「やるべきことの管理」をしていると他人から見られたら、「軽く扱える」「簡単に動かせる」とは思われないでしょう。きっちりと地面に根を張っている人、自己マネジメントをしっかりやっている人は、他人から軽く扱われたり、振り回されたりしないものです。「今すぐやる」という事は素晴らしいことですが、残念ながら、相手と場合によっては都合よく利用される危険性があるということを知っておきましょう。
★すぐやらないほうがいい2つめの理由「LIFO思考」とは?
「後入れ先出し」という言葉をご存知でしょうか。物事の処理手順をあらわした後入先出法とは、後に取得したものから先に処理する方法のことです。英語でも表記はLIFO(Last In, First Out )です。反対に、先入先出法FIFO(First In, First Out )とは、先に取得したものから先に処理する方法です。
「後入れ先出し」で行動してしまう人がいます。後から頼まれた荷物を優先的に運ぶ癖のある人です。こういう人は、その作業を「今すぐやる」必要があるかどうか、よく考えてもらいたいと思います。
問題は優先順位に関係なく後入れ先出しをやる場合で、特に上司に頼まれた場合は引き受けてしまうことも多いのではないでしょうか。
しかしこれをやると、振り回されるだけで、自分の仕事すらこなせなくなってしまいます。
★絶対ブレない軸の作り方
他人に振り回されないためには「軸」を持つことだと著者はいいます。
「軸」とは、自分の中にある「信念」であったり「ポリシー」であったり「判断基準」のようなものを指します。いったん自分で「軸」を決めたのであれば、「世界地図」にないことは、誰に頼まれようが基本的に断ります。このような対応を、「不条理」「冷酷」と受け止める人もいるでしょうが、これが「ブレない軸」というものです。「なんだかんだ言って、あいつは折れてくれる」「なんだかんだ言って、あの人はやってくれる」というレッテルを貼られている人は、決して「ブレない軸」を持っているなどとは言われません。「あの人がやる、と言ったら絶対にやる。やらない、と言ったら絶対にやらない。あの人はそういう人だ」このような人が「ブレない軸」を持っている人です。ですから「冷徹さ」「不条理さ」とは隣り合わせなのです。自分の仕事をすぐやるためには、他人の仕事はすぐやらないのです。
感想
まずは捕捉から。
本書は本来、タイトル通り「すぐやるための技術」を解説した本です。
やるべき仕事を「荷物」にたとえ、それを台車に乗せて運んでいくにはどうすればいいか説明しています。
そのため今回ピックアップした文中に「荷物」とか「世界地図」と言った言葉が登場しますが、
「荷物」→「やるべき仕事(タスク)」
「世界地図」→「やるべきこと」のすべて
「タグ付け」→荷物の「重さ」と運搬先の「住所」
としてご理解ください。
さて、「すぐやる」というのはビジネス書でもよく取り上げられるテーマです。
そして「すぐやる」ほうがいいとされています。
本書もそのテーマで書かれているのですが、「すぐやらないほうがいい」場合もあるというのがインパクトがあって今回ピックアップしました。
それは「なんでも引き受ける人になる」という副作用があるため。
実は僕はある時期まで「断らない」を仕事の信条としていたました。
何でも引き受けていると、著者が言うように確かに「軸」はブレまくります。
ですが、そのブレ幅が大きいほどいろいろなことを知ることができ、部署を超えて仲良くなる人もでき、結果的に「仕事の肥やし」となるからです。
ですから、特に若い人には「断るな!」といいたい。
しかしこれはある程度経験を積んで、歳を重ねたら方向転換するべきだと思います。
僕個人の感覚では40歳ぐらいがターニングポイントのような気がします。
(著者はもっと早い時期を想定していると思いますが)
40代というのは職場では責任のある仕事を任されて、キーパーソンとなっていてる時期ですよね。
大きな成果をそろそろ収穫する時期に入ってくる頃です。
この時期においては「ほんとうに重要な仕事」にフォーカスする必要があると思います。
なのに職業人として一番充実する時期に、他人に振り回されているのはもったいない。
あなたにしかできない、重要な仕事をなしとげるためにぜひ「すぐにやらない」技術も知ってほしいと思います。
しかし、断るのには勇気がいるのも事実。
特に相手が上司とか年長者だと断りにくいですよね。
実は僕が「なんでも引き受けない人」になったきっかけは、年上の”教えて君おじさま”が同じ部署に転勤してきたことがきっかけでした。
こっちが必死で集中して仕事をしていてもお構いなしに「教えて下さい」と訊いてくるのです。
年長者だし、転勤してきたばかりだからわからないことがあるのも無理はないですから、最初は丁寧に対応していました。
しかしそのうち、あまりにも時間をとられるので、ついつい「ああそれ、僕がやっておきます」といった感じでその人の仕事をカバーするようになったのです。
それに、一通り仕事を覚えれば、訊いてくることも減るだろうとも思っていました。
ところがこの方、あきらかに仕事から逃げて、人に任せて楽しようという姿勢が見えてきたのです。
本当に仕事ができないのか、それとも演技かは未だに分かりませんが、「これ僕にはムリです」とこっちに振ってくる。
で、これはマズいなと僕も気づき、「いまお時間いいですか?」ときても「今無理です。後にしてください」と冷たくあしらい(本当に急ぎの仕事をしているとき)、あるいはあきらかに仕事から逃げるためにこっちに振ってきたなというものには「それはお断りします」、さらにははっきりと「それはあなたの仕事でしょ!」とまでキッパリと言うことにしました。
そのため今では何でもかんでも、僕にはたのみ事をしてこなくなりました。
(その分ほかの人が犠牲になっていますが)
ともかく、
著者が言うように、「不条理」「冷酷」ととられても、
「あの人がやる、と言ったら絶対にやる。やらない、と言ったら絶対にやらない。あの人はそういう人だ」
というレッテルが一旦貼られたら、周りの人はなんとも思わなくなりますし、かえって仕事もしやすくなります。
ほんとうに重要な仕事をなしとげるための参考に、ぜひ。
本書はSBクリエイティブ様より献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
プロローグ 超一流のすぐやる技術とは?
第1章 あなたが「すぐやる」ことができない本当の理由
第2章 荷物を軽くする「スケールテクニック」
第3章 道を滑らかにする「ノイズキャンセリング」
第4章 押す力を鍛える「レジリエンス」
第5章 「軽く扱われない人」になる
第6章 やりたいことをまっすぐやる!「台車管理」
エピローグ
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