おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。
今日ご紹介するのは中谷彰宏さんの『ファーストクラスに乗る人』シリーズ新刊、『ファーストクラスに乗る人の発想―今が楽しくなる57の具体例』 です。
とにかく多作な著者。
そのアイデアはどこから来るのか、本書から垣間見ることができます。
中谷彰宏流他人とは違う発想をするためのポイント
★否定の意見は誰でも言える。肯定するときに、オリジナリティーがいる。
情報化社会は、否定の意見が99%です。
ある出来事についての否定は誰でもできます。
100個のうち1個しか肯定の意見はないのです。
99対1で肯定の意見を言うのは100倍むずかしいのです。
考えないといけないし、オリジナリティーが必要です。否定は、感情だけでできます。
肯定には、ほめるところを見つける観察力・洞察力がいります。
最初は悪さだけが目立ちます。
そこから「みんなは悪く言うけど、ここにこういう値打ちがあるね」と言うのです。⇒ 否定より、肯定しよう。
★したいことを考えてから、企画を出す。
ライターの仕事は、20歳の時に知り合った編集者の赤星一郎さんに頼まれました。私が博報堂に入ってから「中谷君、ちょっと手伝ってくれないかな」と声をかけられたのです。その編集部に「和田ボーイ」という、同い年の優秀な編集者がいました。和田ボーイは、、歌舞伎町のキャバクラで遊んできて、領収書が落ちないと、「中谷チャン、領収書があるんだけど、これが落ちる企画を何か考えよう」という発想の持ち主です。そこからなら必死に考えます。これが、肯定から入るということです。今ある領収書を落とす企画を考えるのです。企画を考えてから取材するのではないのです。取材が先にあって、あとからムリヤリこじつけの企画が生まれます。⇒ 自分の目的に、こじつけよ。
★些細なことを、徹底的にする。
実際に映画史の授業で習うのは無声映画です。学年末のレポートは「無声映画完成期における無声映画芸術について論ぜよ」というものでした。モノクロどころか、音も入っていません。つまらないので、聴講する学生はどんどんいなくなりました。私は「超面白い。でも、勉強はもっとむずかしいものだ。遊びのようなことで単位をもらっては申し訳ない」と思っていました。これが勉強の始まりです。この思いは今の仕事にも通じます。「これは遊びでしょう。好きなことをさせてもらって、本当はこっちがお金を払わなくてはいけないのにお金をもらえるなんて、ヤバイ」と思っているのです。今、中谷塾でも、ビジネススクールでも、消防大学でも、講演でも、アンケートには「楽しかったですけど、先生が1番楽しんでいました」と書かれます。実際楽しいのです。「こんなに楽しませてもらって、ギャラまでもらって申し訳ない」と思うようなことが1番稼げます。「こんなつらい思いをしているのだから、もっとギャラをもらわないと」と思っていることでは、稼げないのです。
⇒ こんなことが勉強になっていいのかと思うことで、学ぼう
★自分がお金を使うのではない、お金が自分を使うんだ。
たとえば、「30万円もらった時に、どう使うか」を考えます。ムダ遣いはしたくないし、銭失いにもなりたくありません。「できれば、とっておきたい」と考えるのが、二流です。ファーストクラスに乗る人は、「今ここに入った30万円というお金は、自分に何をさせようとしているか」と考えます。発想が違うのです。「お金が自分を動かす」と考えると、ハズレはなくなります。⇒ お金が自分にさせようとしていることをしよう。
★『大人のホテル』は、大人の男性を悔しがらせた。
『大人のホテル―12人の美女との2泊3日』(オータパブリケイションズ)は、女優さんと五つ星ホテルをめぐる企画です。『大人のホテル』は、コンセプトを決めて作りました。「コンセプトとは何か」はよく使う言葉です。コンセプトは「狙い」ではないのです。常識のちゃぶ台のひっくり返しです。「コンセプト」のほとんどは、ちゃぶ台の上にちゃぶ台を乗せいてるだけです。みんなは、ちゃぶ台の裏側が見たいのです。企画書に「コンセプト」と書かれたものは、コンセプトではありません。ちゃぶ台の表側です。ひっくり返っていません。人間の快感は、ちゃぶ台をひっくり返すことにあります。⇒ 同業者をうらやましがらせよう。
★富裕層は、モノより体験を求めている。
爆買いをしてビュッフェに行くのは、庶民です。富裕層は、日本人が行かない地方へいきます。茶の湯体験をします。食事よりも勉強、買い物よりも体験をしたいのです。買い物は、インターネットでいくらでもできます。インターネットで手に入らないものは、勉強と体験です。どんな田舎に行っても富裕層の外国人がいます。日本では、有料の解説がまだまだ少ないのです。勉強には、いくらでもお金を払います。⇒ 一緒に食事より、一緒に勉強しよう。
★遠くに行くことが、冒険ではない。近くをどれだけ細かく見るかが、冒険だ。
何かに「気づくためには冒険をしたほうがいいですか」という質問には、「遠くまで行かなくていい」と答えています。気づきは、100キロ離れたところへ行って見つけることではありません。「中谷さんは、ホテルへ行って10メートル歩いたら、いいところも悪いところも100は見つけますね」と、オータパブリケイションズ社長の太田進さんに言われたことがあります。これが気づきです。遠くまで行くことはないのです。どれだけ些細なものに気づけるかです。些細なものにどれだけ一生懸命できるかです。⇒100キロ移動することより、10メートルに100の発見をしよう。
★お寿司より、お土産で差がつく。
勝負は、メインではなくて、オマケで決まります。プレゼントは、メインのもので頑張ります。大切なのは、あと一つのオマケです。モテない男性は、ホテルに行ったら、そのまま直行で帰ります。モテる男性は、「生ジュースを売っているから、飲んで帰ろう」と言います。モテない男は、これがなかなかできません。高いお寿司をごちそうして、ホテルに誘って「今日は母親が待っているので、今度ね」と言われたら、即解散です。お土産はありません。モテる男性は、「お母さんが具合悪いなら、これを持って帰ってあげて」と、プラス1%の寿司折りをもたせます。あと1%の余裕があるのです。モテない男性は「もう時間がないから」と言います。1分間ゆっくりしようという発送がないのです。1分間ではゆっくりできないというのは、二流です。一流は、1分間の余裕がなるのです。⇒ あと1%のオマケをつけよう。
感想など
私も大好きな作家さん、中谷彰宏さんの「ファーストクラスに乗る人」シリーズの新刊です。
最初にちょっとお断りしておきますが、このシリーズ、特にファーストクラスに乗る人に取材して、共通点をまとめたものというわけではありません。
「ファーストクラスに乗る人」というのは、「一流の人」とか、「普通とは違った人」と言った意味だと思ってください。
そして本書はあくまでも中谷彰宏さんの発想法を語ったものです(もちろん中谷さんご自身がファーストクラスに乗る人なのでしょうが)。
本書にも中谷さんのご著書の巻頭にお約束の「この本は、3人のために書きました」があります。
本書の場合は
(1)みんなと同じ発想から、抜け出したい人。(2)ピンチになった時、楽しむ余裕を持ちたい人。(3)昨日と違う自分に生まれ変わりたい人。
で、57の具体例が紹介されていますが、本当にどれも一瞬「えっ?」と思わせるものばかり。
そこに低通するのは「人の逆を行く」、そして「楽しむ」というものでした。
例えば今回ピックアップした中でも、”和田ボーイ”のエピソードなどはそのいい例でしょう。
真面目にウンウン唸ってアイデアや企画をひねり出している人から見れば、「ふざけるな!」と言いたくなるでしょうね。
でも、本来企画とかアイデアというものは、結果において評価されるもの。
たとえキャバクラの領収書を落とすという”私利私欲”のためであっても、それが面白い企画になるのであればいいではないですか。
また、『大人のホテル』の企画も、「まず自分が楽しむ」「自分のしたい願望を現実化する」というスタンスです。
この企画を悔しがった同業者は、なぜ自分で実現しなかったのでしょう。
おそらく願望はあっても、「それはちょっとまずいよな」「ふざけ過ぎかな」というのがあったのではないでしょうか。
おそらく僕らは、「仕事とはこうあるべき」という固定観念とか常識にとらわれすぎて、自分で自分を縛りつけているのかもしれません。
そういう点に思い当たる人はぜひ本書を読んでみてください。
ものの見方、発想の出発点が根本的に変わるかもしれませんよ。
本書はきずな出版様に献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
第1章 肯定するところからスタートしよう。
第2章 みんなが捨てているものに注目する。
第3章 売れるより楽しいほうを優先する。
第4章 育つネットワークをつくる。
第5章 自分が好きなことより、人が困っていること。
第6章 長く続けることがブランドになる。
第7章 攻めの企画で未来は広がっていく。
関連書籍
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