世界の博物館、第37号は秦始皇帝兵馬俑博物館です。
2200年前の秦の軍団の姿を今に伝える地下の軍団は、そのスケールも技術力の高さも世界史上他に類を見ません。
圧巻です!
【今号の一押し】
始皇帝陵周辺からは兵馬俑はじめ様々な秦代の遺物が発掘されていますが、ワタクシが注目したのはこちらです。
銅製で再現された、これは古代中国最高級のリムジンなのです。
安車(あんしゃ)とよばれる馬車は、亀の甲らのような緩やかなカーブの屋根をもち、左右には開閉できる窓があり、後部に個室に出入りするための扉があります。
4頭立ての馬のうち、左右外側2頭は添え馬。
記録によると、秦の始皇帝は天下統一後、各地を巡行したと言われていますが、おそらくこのような馬車を100両ほど連ねて征服した各地で自分の力を見せつけたことでしょう。
今でも黄泉の国をこの馬車で旅しているのかもしれません。
さて、こちらはメディアでよく目にする1号坑。
とにかくスケールが大きい。
この体育館のような1号坑の半分以上がまだ未発掘(こうして現在見られるものは全体の4割程度)だというから、始皇帝の想像を絶する絶大な権力がうかがえます。
また、肝心の始皇帝陵本体については全く発掘の手が付けられておりません。
もしかしたら、われわれが生きている間に始皇帝陵とその周辺の全容が明らかになる日は来ないんじゃないかという気がしています。
それにしても、兵馬俑はいったいどうやって作られたのか。
様々な学者さんが実験・再現していますが、粘土で大きく複雑な形のものを成形し、焼成することは、現代の技術力を持ってすら非常に難しいこと。
俑が持っていたクロムメッキされた武器といい、古代の技術はまだまだ解明されていないものがたくさんあります。
次回は日本の国立科学博物館です。