
おはようございます!
今日ご紹介するのは
帝国データバンク情報部(著)『倒産の前兆』SB新書
です。
帝国データバンクといえば、100年以上に渡って企業の信用調査を行ってきた会社。
企業の破綻劇を間近に見てきた彼らは、破綻する会社には共通する「公式」があるといいます。
本書では、実際に起こった30社の破綻劇を解説していますが、今回の読書メモでは個々の破綻撃に触れるのではなく、本書で紹介されいる「公式」、つまり倒産の前兆をピックアップします。
あなたの会社や取引先にあてはまらないか、チェックしてみてください。
では早速、気になるポイントの読書メモをシェア!
帝国データバンク情報部(著)『倒産の前兆』:読書メモ
★新興企業が陥る”5つのワナ”
- 会社の成長スピードに資金繰りが追いつかなくなること。
- 内部管理体制の強化・充実が後手に回ること。
- 経営陣の派手な生活ぶりが取引先の離反を招くこと。
- 既存の看板商品に続くヒット商品を生み出すのこと。
- 積極的な広告展開が、両刃の剣となること。
★潰れやすいのはこんな社長と社員がいる会社
社長の傾向
- 数字に弱い
- 言動が派手で、大きい話が大好きである
- 人情味に厚い
- 明確な経営理念やポリシーがない
- リーダーシップ、指導力に欠ける
- 業界動向に疎く、商品知識に欠けている
- 私生活において、よからぬ噂がある
- 社長以外の実権者が存在する
社員の傾向
- 挨拶、応対ができず、言葉遣いが乱れている
- 服装が乱れている、あるいは職場にふさわしくない
- 担当者が頻繁に代わる
- 従業員の増減が激しい、あるいは退職者の補充が追いついていない状況が続いている
- 自社の悪口や愚痴を言う社員が多い
- 会社の雰囲気が悪い
★一社員でも、あるいは外側からでもつかめる「倒産のシグナル」
①幹部社員の退職
まず挙げられるのは、専務や営業部長、経理部長といった幹部社員の退職だ。彼らは会社の経営状況がよく見える立場にある。その彼らが辞めるのは、何かしら経営を揺るがしかねない問題が起こっているシグナルといえる。
また、幹部社員が社長と気脈を通じ、会社の創業期から苦楽をともにしてきている場合が多い。それが突然の退職という、社長からすれば裏切り行為に出るのは、よほどのことだと受け止めたほうがいい。
②社外からの問い合わせ
例えば、たまたま出た電話が銀行からの督促の電話だったとか、「入金されていない」という取引先からの電話だったといった話は、実際、倒産した企業の社員からよく聞く話だ。社長から居留守を使うように命じられていたという社員も少なくない。これに給料の遅配が重なったら、いよいよ危ない。
★取引先の「倒産の前兆」チェックリスト
- 主力取引先が変わった
- 売り上げが減少している
- 在庫の増加と扱い品種の増加が目立つ
- 幹部社員の退職
- 裏書きの多い回し手形で支払ってきた
- 代表者に公職が多い
- 新規事業に着手した
- 仕入先から営業担当役員が派遣されている
- 社屋・社長室・応接室が立派
- 仕入先の担保設定が目立つ
- 決算書が非公開
★「体育会系組織」の功罪
ここでもう一つ指摘したいのは、体育会系組織の危険性だ。倒産しやすいと言ったら語弊があるが、過度に上下関係が厳しい体育会系であることが、社員のモチベーションや気力を剃り、倒産のきっかけとなってしまう場合もあると考えられる。
★帝国データバンク調査員の心得「現地確認」チェックリスト
- 現場内外が清掃されておらず、整理整頓がされていない
- 社用車や事務所が過度に豪華である
- 机上が乱雑で、スケジュール表の記入が乱雑である
- 現地の立地が業務に合っていない
- 設備の種類や台数が適切か
- 老朽化していないか
- 業容に比べて在庫が多すぎる
帝国データバンク情報部(著)『倒産の前兆』:感想
◆あなたの会社や取引先は大丈夫ですか?
いかがだったでしょうか。
あなたの会社や取引先で思い当たるフシはなかったでしょうか。
野球の野村監督が、「負けに不思議の負け無し」といったように、破綻する会社には共通する「公式」があるといいます。
今回の読書メモでは、帝国データバンクの方が見出した「公式」や、会社調査のときのチェックリストをピックアップしてみました。
もっと詳しく知りたい方は、30社の破綻劇を本書で読んでみてください。
「あっ、今のうちの会社とそっくり!」という事例を見つけるかもしれません。
誰もが知っている超有名企業の倒産にもあまり驚かなくなってきた昨今。
「えっ、あの会社が倒産!?」ならまだしも、朝出勤したら会社がなくなっていたなんてことがないように、「倒産の前兆」を知り、自分の身は自分で守るという備えのために読むことをおすすめします。
◆実は教師も同じチェックポイントを見ている
ところで、本書を読んでいて思い出したことがありました。
僕は高校教師時代に就職の係をしていたことがあって、超氷河期時代には地元香川県だけではなく関西圏まで会社訪問していたことがありました。
要するに、定期的に生徒を採用してくれている企業には「いつもありがとうございます、今年もよろしく」、またこれから開拓したい企業には「うちの生徒を採ってください」という営業活動ですね。
で、教師というのは生徒が長く務めることができ、大切にしてくれそうな企業(すなわち優良企業)かどうかを偵察しているわけですが、そのチェック項目が今回ピックアップした帝国データバンクさんがあげているリストとすごく重なるんですよ。
挨拶や応対がしっかりしている会社は社員教育がちゃんとできていることがわかるし、社屋や設備の古い新しいに関係なく整理整頓ができている会社は信用できます。
特に重要なのは、応対してくださる方から伝わる感触ですね。
大抵の場合、人事部長さんや際に右端等の方が皇太子くださるのですが、一度とある会社では、会長(創業者)自ら応対していただきました。
しかも、工場も案内してくれたんです。
引率した生徒に機械のことや製造過程など一生懸命説明してくれる姿に、「この人の会社なら大丈夫だ」と感じたものです。
時代は変わって今は売り手市場。
人手不足のいま、もしあなたの会社が求人をかけても人が集まらないなら、上記のポイントが参考になるかもしれませんね。
学校の先生もしっかり見てますよ。
話がそれてしまいましたが、時代の変化が速すぎて何が起きてもおかしくない今、自分のみを守る知識として読んでおいて損はない一冊だと思います。
本書はSBクリエイティブ様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
目次
はじめに
破綻の公式1 業界構造、市況変化の波を打破できない
破綻の公式2 大ヒット商品が綻びを生む
破綻の公式3 旧来型ビジネスモデルにしがみつく老舗は潰れる
破綻の公式4 ベンチャー企業の急成長は急転落の序章である
破綻の公式5 攻めの投資で上場企業が破綻する
破綻の公式6 経営陣と現場の乖離は取引先の離反の元
破綻の公式7 信頼構築のためにトップが不正行為に手を染める
破綻の公式8 「倒産の前兆」はあなたの