こんにちは、一龍(@ichiryuu)です。
今日ご紹介するのは、とつげき東北(著)『場を支配する「悪の論理」技法』(フォレスト出版) です。
とつげき東北さんを僕は存じ上げなかったのですが、本書では上司、親、教師などなど、世の中で議論となったときや説教される時に持ち出される理論を次々と論理的に論破していきます。
もう痛快痛快。
で、本来ならばその文中から手法のいくつかを紹介するのですが、それはもうネタバレせずに読んでもらったほうが楽しめるだろうということと、こちらの方が著者の考え方が端的に表されているだろうということで、巻末にある「悪の名言辞典」を紹介することにしました。
なんでも、著者が学生の時につくっていた「名言辞典」と題した、「よく使われていてもっともらしいが、論理的に考えるとおかしな言葉」なのだそうです。
では早速、「名言辞典」から気になったものをピックアップ&シェア!
読書メモ
★あきらめたらそこで終わり
相手を論理と無関係に自分に都合よくコントロールすることを目的としつつ、使用者本人までもがそれに無自覚であり続けられるという、名言の本質的要素を持つ語。対義語は「引き際が肝心」。
★引き際が肝心
「あきらめたらそこで終わり」の対義語をなし、使用者の気分や好みに応じて使い分けられる。名言がかもしだす偽りの真理性に基づき、相手を自由にコントロールすることができる。
★信じるも信じないもあなたの勝手
この発言があった場合、信じないほうがいい。
★人生の意味
「生まれてきた理由」などと同様、勝手に定義すればよいのに、あたかもあらかじめ存在するかのように人々が考え続けてしまう謎の概念。人生に意味などなくてよい。
★人生が変わる本
1冊の本を読むことで人生が変わる場合、次の2通りある。
1. 当該書物があまりにも優れていること。
2. 人生があまりにも薄っぺらであること。
1ばかりが注目されがちで、2が忘れ去られてしまっていることを問い直す時期に、我々は来ているのではないだろうか。
★本当の自分
現状と異なる、より納得できる状況にいるはずの自分への幻想。単純に願望として信じられている場合と、自分を大きく見せるために意図的に使用される場合とがある。
★やればできる
やらなければできない者に対するせめてもの慰め。または管理したい対象に、「やってもできない人がほかにたくさんいるのだ」という優越感を与えつつ、「真に才能ある人物」の存在を忘れさ、「オレもやればできるんだ」と奮い立たせるための言辞。
実際には、どうせやっても大した変化が見込めない相手にも用いられる。
★若いうちに苦労せよ
人生、友達、職場、あらゆる場面で常々実感することだが、自分が経験した苦労を他人にもさせようとするタイプの人間と、なるべくそうさせないようにしようとする優しいタイプの人間がいる(もちろんこの類型化は極端であり、人間を完全に2分できるとは思えないが)。「若いうちに苦労しろ」というのはこのうち前者のセンスを持つ人間が発しがちな言葉である。
残念ながらこうしたキャラクターはたいへん「かぶって」おり、彼ら一人ひとりがいなくても大抵の人は普通に苦労し、なにより彼らのような人物によって苦労させられる。
★〇〇するために生まれてきたんじゃない
すべての人間は(神学的見地を除けば)、何かをするために生まれてきたりなどしない。まさか幸せになるために生まれくるような人がいるとでも言うのだろうか。どこまでも身勝手である。したがって、「〇〇するために生まれてきたんじゃない」は、ことさら強調されるべくもない恒真命題でしかない。それにもかかわらず、あえてこの表現が用いられる場合があるとするならば、〇〇をしたくない、〇〇をしなくてもいい、といった願望をあたかもそれが正しい命題であるかのように脚色してアピールしたい場合等に限られている。
感想
いかがだったでしょうか。
なにか著者の斜に構えた、それでいて論点に矛盾があったら容赦なく突いていきますよという、目が爛々としている様子が浮かび上がってきますね。
さて、本書では世の中でよく目にし、耳にする、おかしな論理にどう対処するかがメインコンテンツとなっています。
このメソッドを使って反論したら多分嫌われると思います。
ほぼ間違いなく。
ただ、反論するかどうかは読者に任せるとして、知っておいて損はないことは間違いなし。
相手の手の内を知ることができるからです。
また、現代は誰もが発信できる時代なので、SNS上で見も知らぬ誰かに”気軽に”絡まれるんですよね。
そういう暇な連中って、たいてい本書に登場するようなさも正論にみえる論理で自分の考えを正当化して押し付けてきます。
そういった時にも役立つメソッドです。
もう、論法が見え見えになっちゃいますから。
(たいていSNSで絡んでくる人って感情論が先になっていて、論理的ではない)
情報過多、常に誰かとつながっている社会でこそ、こういう論理的思考と矛盾を付く方法は身につけておいたほうがいいでしょう。
まぁ、そう堅苦しく考えずエンターテイメントとして読んでも十分楽しめるかな。
読んだあと痛快でしたから。
本書はフォレスト出版様からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
目次
まえがき 物事を正しく考えるための処方箋
Ⅰ なぜ、あなたの主張は通じないのか?
Ⅱ 悪の論法の見破り方と使い方
Ⅲ パワーゲームと論理、そして非論理
付録 悪の名言辞典
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同著者の本を紹介しようと思ったら麻雀本がどーんとで来る。
麻雀好きのようですね。