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真面目に、素直に、そして愚直に【書評】三浦大輔(著)『逆境での闘い方』 大和書房

おはようございます、やっぱりサッカーより野球よねの一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、ハマの番長こと横浜ベイスターズの三浦大輔投手の本をご紹介。

リーゼントがトレードマークのワルそうな印象とは180度違う野球に取り組む姿勢はビジネスパーソンにとっても学ぶところが多いと思います。

 

【目次】
はじめに
1章 居場所を作る
2章 努力を続ける工夫をする
3章 変化を恐れない
4章 運の引き寄せ方
5章 さらなる成長のために

【ポイント&レバレッジメモ】

★「劣等感」を言い訳にしない

 劣等感を抱いている人間は、どうしても卑屈になりがちだ。
 「どうせ俺なんて」「もともと組織から期待なんてされていないし」。そう思いたい気持ちもわかる。
 だからこそ、自分はこう強く自分に言い聞かせてきた。
 劣等感を言い訳にするな——と。
 結果を出せないのは、出身校でも、起用しない首脳陣でもなく、自分の責任。
 人より実力が劣るからこそ練習するしかないのだ。

★周囲に媚びないために「真面目」でいる

 自分は「媚を売る人間」があまり好きではない。
 そういう人間を見るたびに、「カッコ悪いなぁ。ああいう人間にはなりたくないな」と自分に言い聞かせるようにしている。
 他人に媚を売るということは、本来、自分がやるべきことをやっていない、もしくは、やるべきことがわかっているのに目をそむけている状態だ。仕事にせよ友達付き合いにせよ、自信を持ってやることさえしっかりやっていれば、誰にだって負い目を感じることなく堂々と生きていけるものだ。

★「感覚」は「感覚」のまま終わらせてはいけない

 感覚は大切だが、見方を変えれば感覚ほど怖いものもない。<中略>おかしなフォームで投げ続ければ、故障の原因にも繋がってくる。だからこそ、その感覚を目で判断できるようにしなければならない。
 そのために、自分のピッチングをビデオに収めておくのだ。<中略>様々な動作を一つ一つ確認する。だが、それでもまだ確認作業としては不十分だ。<中略>自分にとって「これだ!」と思ったフォームでボールを投げられた際には、帽子を取るなり腕を上げるなどをしてわかるようにしておく。そうすれば、後から確認作業に取りかかった時に自分の形を分析しやすくなる。
 これは何に対してもいえることなのかもしれないが、人間という生き物は自分の都合のいいように感覚や記憶を頭の中にインプットしてしまう厄介な習性がある。
 しかし、仕事とは感覚で行うものではない。形があってこそ初めて成り立つもの。だからこそ、入念な確認作業が必要なのだ。

★若い頃に培った「引き出し」が選手寿命を長くする

 引き出しとは積み重ねであり、出し入れできるもの。20代から意識した引き出しは、ベテランとなった今も自分の支えになっている。<中略>
 自分の選択肢にない練習をしたがらないのはまだまだ若い証拠。
 20代の時は体力があり、ある程度は自分の思い通りのパフォーマンスができるため、今までやって来た練習が正しいと思うだろうし、それを信じたい気持ちは理解できる。
 だが、自分がそうであったように、いつか必ず、その方法が思い通りに機能しない時期に直面する。それでも、コーチや先輩の意見を受け入れようとせず、自分だけを信じてしまったがために、若くしてプロ野球界を去っていった人間を何人も見てきた。
 だからこそ、自分は拒否されようが「鬱陶しいな」と思われようが、アドバイスをするのだ。「今のうちに自覚して引き出しを作っておけば、いずれ自分の思い通りにならなくなった時に助けてくれる。体力が落ちてきても、それを緩やかな速度にとどめることができる」と何度でも伝える。

★試合の流れを変えるために、集中できる「場所」を作っておく

 失敗は覆らない。大事なのは、その後、同じ失敗を繰り返さないためにどうするかだ。
 自分にとってのそれは、グラウンドに「スポット」を作ることだ。マウンドのピッチャープレートの後ろにはスプリンクラーを収納するスペースが設けられている。自分は、失点した後やピンチを迎えた場面などになると決まってその上に乗り、気持ちをリセットするようにしている。<中略>
 スポットを作ったところで完璧に抑えられるわけでもない。でも、それをいつでも意識できるということは自分を見失っていない証拠だと思う。

★クビは人生の終わりじゃない!

 選手は絶対に球団に甘えてはいけない。
 当たり前のように契約が待っているわけではない。選手は、少しでもいい契約を結んでもらえるように、日々、練習を努力しなければならない。
 自分はプロ野球界のことしか知らないが、そういった姿勢で現役生活を送っていた人間というのは、クビになってからもビジネスの世界で成功を収めている。
 しかし、現役時代をいい加減にしてきた人間で、プロ野球界を離れてから成功した話は一度たりもと聞いたことがない。
 クビになりたくなければ目の前の仕事に懸命に取り組む。仮にクビになったとしても、決してその後の人生を諦めない。
 もう一度言う。クビは、人生の終わりではないのだ。

【感想など】
最初に言っておきますが、ワタクシは阪神タイガースファンです。

その阪神ファンにとって鬼門とも言うべき嫌なピッチャーが二人います。
一人は中日ドラゴンズの山本昌投手。
そしてもう一人がこの本の著者、横浜ベイスターズの三浦大輔投手です。

いやもちろん、阪神打線が抑え込まれるピッチャーは他にもたくさんいます。
しかし、例えばダルビッシュのような投手に抑えられたら、負けても納得できるのです。
「これは打てんわ」と。

しかしこの二人。
160km近い豪速球があるわけでもなく、カミソリのような切れ味の変化球があるわけでもない。
素人目には打てそうなのに、打てない。

だから余計に腹が立つ。

そんな阪神ファンにとっては天敵とも言える三浦投手が出した本が本書なのですが、ワタクシは興味津々で読ませていただきました。

なぜならば、先ほども書いたように、失礼ながらすごい武器があるわけではないけれど、三浦投手は20年にわたってプロの第一線で活躍している投手なのです。

そこにはきっと、ハマの番長のイメージとは全く違う秘密があるんじゃないかと。

読んでみたら思っていたとおり、ものすごい地道な努力を積み重ね、野球に対して真摯に取り組む姿勢が伝わってきました。

一流のアスリート本は本当にビジネスパーソンにとって学ぶべきところがたくさんあります。
本書から強く伝わってきたもののキーワードは「真面目」と「素直」。

これはどんな世界でも一線で活躍できるようになり、それを維持し続けるときに必要な資質でしょう。

もともと持って生まれた才能や身体能力がずば抜けている人には関係ないかもしれません(そういう人が努力すると超一流と呼ばれる人になる)。

しかし、世の中のほとんどのかたがそんな武器を持っているわけではありません。
では普通レベルの人が闘っていくにはどうするか。

「真面目」に仕事に取り組み、「素直」にアドバイスを聞く。
それをひたすら続ける。

これしかないんですよね。

そして、持って生まれた才能という武器はなくても、努力し続けてきたことがその人の武器になる。

けっして超一流のレベルには到達できないかもしれないけれど、コツコツ積み重ねていけば、気がついたら結構遠くまで来たなと気がつく時が来る。

仕事ってそんな感じだと思うのです。

もちろん、サラリーマンの世界とは比べ物にならないぐらいプロ野球の世界は厳しいのですが、仕事ができなければサラリーマンだってリストラされるご時世。

そんな時代に生き残るには「泥臭いけどこの方法しかないんだよ」と教えてくれる良書だと思います。

「自分には武器がないな」「何を武器に勝負していけばいいんだろう」
そんなふうに悩むビジネスパーソンにこそ本書は読んでほしい。

さて、最後に

横浜ベイスターズにとっても阪神タイガースにとっても、2012年は寂しい年となってしまいました。

2013年のクライマックスシリーズはぜひ阪神と横浜で日本シリーズへの切符をかけて闘っているのを観たいものですね。

三浦投手のご活躍を祈念しております(阪神戦はお手柔らかに)。

本書は大和書房編集者の白井様より献本していただきました。
ありがとうございました。

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