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自分の役割を追っているか?【書評】大住力(著)『一生の仕事が見つかるディズニーの教え』 日経BP社

おはようございます、実はディズニーランドが苦手な一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、難病の子どもとその家族をディズニーランドに招待する活動をされている、大住力さんの本をご紹介。

本気で取り組むことの重要さ、そして本気で追求し続ければ夢は叶うことを教えてくれるこの本。
ディズニーの教えとともに社会人にとって学ぶことの多い1冊です。

 

【目次】
はじめに 自分の「役割」を探している人へ
第1章 あなたの役割はなんですか?
第2章 大切なことは目の前にいる人が教えてくれる
第3章 仕事はお客様に作られる
第4章 ディズニーランドは永遠に未完成
第5章 心いやす魔法の国
第6章 「ひとりじゃない」と伝えたい
第7章 「思い込み」こそ力
第8章 名刺がない自分に何ができるか
第9章 立派じゃない人生で巡りあえたもの
第10章 つながっていくいのち
おわりに

【ポイント&レバレッジメモ】

★「あなたの役割は何ですか?」

 僕は当初、自分の役割をわかっていなかった。まったくはき違えていたのだ。
 ディズニーランドでは、「あなたの役割は何ですか?」(What is your mission?)という問いかけを念頭に置いて行動するように教え込まれる。僕が現場で指摘されたように、それは普段の会話にもよく出てくるのだ。
 この言葉は、フロリダにあるディズニー本社の研修マニュアルでも、最初に出てくる重要なフレーズだ。
 そして、僕の人生においても、この問いかけは重要なものとなった。そのおかげで、自分が本当にやるべき仕事に出会えたといってもいい。
 だから今、頼まれて人前で話しをする時には、よくこの問いかけを引き合いに出す。「あなたの役割は何ですか?」

★探し続ければ必ず見つかる

 自分が一生をかけて取り組む仕事を見つけたいと考えている人は多い。<中略>
 けれども、そもそも自分だけの役割を見つけるというのは、簡単なことではない。
 それは、人生において必死になって取り組まなければならない重要なテーマなのだ。
 ただ、自分が入った会社をすぐに辞めてしまった人は、考えなければならないことがあると思う。
 それは、「その会社で自分は役割に取り組もうとしたのか?」ということである。
 もし、それ以前に、自分が求められていた「作業」すら満足にこなせられなかったのだとしたら問題だ。ディズニーの考え方では、それでは仕事をしたことにならない。

★人は本気の姿に感動する

 さて、研修が終わって僕が配属されたのは、「ゼネラルサービス部カストーディアル課」だ。<中略>園内をホウキとチリトリで掃除しているのがカストーディアルだ。<中略>
 僕はクマさん(教育係)にみっちりしごかれ、たくさんの大切なことを学んだ。
 最初に言われたのは、「お前はひたすら歩いてひたすら掃け」
 いわれたとおり、とにかく僕は園内を掃除し続けた。けれども、それにどんな意味があるのか、その時はよくわからなかった。
 僕はクマさんに、「なんでもっと意味のある仕事をさせてくれないんですか?」と聞いてしまった。するとこういう答えが返ってきた。
 「ゲストは、お前の本気の姿に感動するんだ」
 ディズニーランドは、ミッキーマウスがいるから、アトラクションがすごいから、というだけでお客さまがたくさん来てくれるわけじゃない。ここで働いている人たちがみんな一生懸命だからなんだ。

★大切なものほど目の前にある

 安心は目に見えないから、それが当たり前のようにある状態では、なかなかそのありがたみに気づかない。けれども、家族が大きな病気を経験すると、そうした安心がもたらす幸せについて、身にしみて知ることになるのだ。
 このウィッシュバケーションを通じて知り合った、屋久島に住んでいるお母さんには、こんなことを言われた。
 「気がついたんです。大切なものほど、目の前にあるんですよ」
 この言葉にはハッとさせられた。<中略>
 僕は、人前で話すよう頼まれたとき、必ずこのお母さんの言葉を紹介する。
 誰しも、大切なものは目の前にある。でも普段はそれに気づかない。
 けれども、その目の前にある大切なものに気づいた瞬間から、その人の人生の意味が変わってくるのではないだろうか。
 そんなことにひとりでも多くの人に気づいてもらいたくて、僕は今の活動を続けている。

★対等でなければ意味がない

 日本のボランティア活動にありがちな問題のひとつは、「与えるもの」と「与えられるもの」という一方的な関係をつくってしまうことだと思う。
 それじゃあダメなんだ。
 病気を患う子どもやその家族にだって役割がある。今を生きる者として、社会の一員として、誰にだって役割があるのだ。
 だからこそ、みんなが彼らを一方的に支えるのではなく、みんなも彼らから教わらなければならない。
 その関係をつくるために、僕はこの活動をしている。
 だからこそ、僕は「支援」じゃなくて「応援」を続けるのだ。

 

★ギブ・アンド・ギブ

 ヘンリ氏は、「生きるとは、人に渡すことだ」といった。
 通常、ビジネスでは「ギブ・アンド・テイク」が基本だと考えられている。相手に渡す(ギブ)ことと交換に、自分が得る(テイク)。それが当たり前であり、こうして社会は成り立っている。
 ところが、ヘンリ氏は、それではダメだという。
 「ギブ・アンド・ギブ」でなければならないという。
 渡して、さらに渡せ、というのだ。
 いきているうちは、自分の持っているものを相手に渡し、その見返りを得ようとするのではなく、さらに渡す。そうすれば、自分自身が本当の幸せを感じることができる。

★思い込みだっていいじゃないか

 難病と闘っている子どもは、本当は、もっとやりたいことがあるんじゃないだろうか。ディズニーランドでミッキーに会うというのは、そのひとつにすぎない。
 そのきっかけを与えられるのなら、自分の人生の役割としてこれほど意義深いものはない。
 まずは僕が一歩を踏み出すべきだ。その一歩は、思い込みだっていい。
 やるだけやってみろ、だ。
 もう僕は40歳を過ぎていた。でも、本当に自分は幸せだと思った。
 自分の一生の役割をとうとう見つけたのだ。
 その「役割」が自分の思い込みかどうかなんて、どうでもいいことだ。
 胸を張っていえる。思い込んだからこそ、ここまできたんだ、と。

【感想など】
著者の大住力さんは、もとディズニーランドを運営するオリエンタルランドの社員さんで、ディズニーシーやイクスピリアのプロジェクトにも携わった方だそうです。

そして現在は、難病と闘う子どもたちとその家族をディズニーランドに招待する活動を行っている団体、公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」の創設者であり代表をされています。

この経歴だけを聞いても「なんで?」って思うでしょう。

普通、一流の会社をやめて、やっていけるかどうかわからない団体を立上げるなんてもったいない。
しかも40歳を過ぎて、家族もいるのに転職だなんて、本書内でも書かれていますが、世間一般から見れば「バカ」だと思われるでしょう。

でもその半面、すごく羨ましかったりします。

だって、大住さんは一生の仕事に出会ったのですよ。
どれだけの数の働く人たちが、自分の転職、一生の仕事に出会いたいと思ったまま人生を終えていくことか。

でも本書は、そんな人たちにとても重要なヒントを与えてくれています。
それもたくさん。

本書はタイトルこそ、「一生の仕事が見つかるディズニーの教え」とありますが、登場するのはけっしてディズニーで学んだことだけではありません。

ギブ・キッズ・ザ・ワールドの創設者、ヘンリ・ランドワースさんとの出会いが一大転換点であったことは間違いないし、その活動の日本版「難病の子どもとその家族へ夢を」を立上げてからも多くの人たちが支えてくれたことでしょうし、本書にもあるように難病の子どもや家族から著者自身が学んだこともたくさんあったでしょう。

けれど、そのベースとなるものはディズニーで教え込まれた「仕事」観だとワタクシは読んでいて感じました。

「Duty 作業」とは違う「Mission 仕事」、それは、自分にしかできない役割を果たすこと。

自分は何者で、今自分がいるステージで何ができるのか?どんな貢献ができるのか?これを問い続け、果たし続けることで見つけられるものがある。

失礼ながらおそらく著者は最初にディズニーでこれを学ばなければ今の活動にはつながらなかったのではと思います。

しかも長い期間です。
本は1時間ほどで読んでしまうので実際の人生の長さをあまり感じないのですが、著者が務めたのは約20年。

20年ですよ。

今若者が就職難の中、苦労して入った会社を、多くの人が三年以内に離職してしまいます。
彼らは本当にディズニーで言われる「仕事」をしたのでしょうか?
自分の役割を果たしたのでしょうか?

ワタクシは運命論者ではありませんが、人生ってその時に到達すべきレベルに進むとようやく次のステージに上がれる、まるでRPGのようだなって時々思います。

スライムをコツコツやっつけてレベルを上げていくように、その時の目の前の仕事をコツコツやってはじめて次のステージに上がるきっかけが訪れるんじゃないかなって。

それは人との出会いであったり、ヘッドハンティングだったり、あるいは病気を患ってかもしれません。

その時が来るまで愚直に「仕事」を続けるしかなくて、まだその時がきていないのに無理矢理進もうとしてもうまくいかないようにできているんでしょうね。

本書を読んでいて、そんなことを感じました。

そしてもう一つ、大きな気づきを得たのは「大切なものほど目の前にある」と言ったあるお母さんの言葉。

これは家族の当たり前の幸せのことをおっしゃった言葉ですが、ワタクシはひょっとしたら「一生の仕事」も目の前にあるんじゃないかって考えてしまいました。

今やっている目の前の仕事です。

もしかしたらあなたは、「これは自分が本当にやりたい仕事ではない」「もっと価値ある仕事がしたい」と思っているかもしれません。

でももし、何かの縁があって、あなたが何か学ぶものがそこにあって、そこでしっかりと力を付けてから次のステージに進むように予定されているのだとしたら、そう考えたら、あなたはいまの仕事に対して今まで通りの感情を持つでしょうか。

本気でやってみましょう。

たぶん自分にしかできない「役割」を果たせるようになったとき、その人でないとできない次の「役割」が与えられます。

特に若いビジネスパーソン、いまの仕事に意味を見出せない人に是非本書を読んでいただきたい。

働くこととは何か、生きる意味とは何か。
著者の生き様を通して学べる感動の1冊です。

本書は日経BP社、東城様より献本していただきました。
ありがとうございました。

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