おはようございます、当ブログのCEO、一龍(@ichiryuu)です。(なんかカッコいい)
さて今日は、堀龍市さんの本をご紹介。
税理士の立場から見た、中小企業の社長さんが陥りやすいカン違いをとことん指摘した本。
私たちが当たり前と思っていた経営手段が、実はもっともダメダメ経営なんですよと、同業者に対して身もふたもなく解説してくれています。
中小企業経営者必見の1冊です。
【目次】
はじめに 社長が数字を見てつぶれた親父の会社
第1章 税理士や経営コンサルタントに相談する会社はあぶない 「経営」のカン違い
第2章 経営者が数字を見る会社はあぶない 「会社の数字」のカン違い
第3章 「誰でも力を発揮できるマニュアル」のある会社はあぶない 「人材」のカン違い
第4章 ライバルに勝とうとする会社はあぶない 「作戦」のカン違い
第5章 社長が誰よりも働く会社はあぶない 「社長の考え方」のカン違い
おわりに 1億人を幸せにしたい!
【ポイント&レバレッジメモ】
★銀行の言うことは信じるな
銀行の方は本気で中小企業の経営を良くしようと思って経営計画を立てなさいなんて言っていません。
銀行が興味があるのは「貸したお金に利子をつけてきちんと返してくれるかどうか」あえて言葉を選ばずに言ってしまうと、会社の経営が良くなるかなんてどうでもいいんです。<中略>
経営分析や事業計画書の作成は、銀行が求めているなら行わないとダメですが、それで経営が良くなると思ってほしくないんです。
お客様に関係ないところで机の上だけで経費を削ったりして、利益が出たような気分にならないでください。
では中小企業に必要な計画は何でしょうか。
それは「行動計画」です。
お客さmが喜ぶにはどうすればいいのか、従業員のみんなが活き活きと働けるにはどうすればいいのかの行動計画を立ててください。
★企業=営利団体ではない
ほとんどの人が会社を「利益を生み出すための組織」だと思っている。
実はこれもカン違いで、この考え方が、中小企業の経営を難しくさせています。<中略>
「顧客を満足させることこそ、中小企業に使命であり目的である」
そう考える会社はうまくいっている。
そのためには、働く人にも喜んでもらうこと。
その会社の従業員が生き生きと働き、その人がお客様を喜ばせることにより、結果として売り上げが、利益が発生する。
★「経営者が決めること」などない
「仕事がある」とは、相手に選んでいただいたということです。
だから経営は、「お客様を出発点」にして考えるべきです。
経営の本質は、まずお客様を作り出し、作ったお客様を維持し、さらに多くすることにあります。
1. お客様がいる
2. 自社の商品がある
3. 自社の人・組織がある
4. 人・組織を運営するためのお金・資金がある
こういう流れです。
★金は天下の回りもの
会社の舵取り約である経営者がお金を貯め込もうとするから、うまくいかなくなるのです。<中略>
ビジネスは、お金を回そうとするとうまくいく。
お金を留めようとするとおかしくなる。
社長は頑張ってみんなの給料を上げる。
会社の心臓である社長は、重要な役割を果たしているので、一番高い給料をもらえばいい。<中略>
それを会社は自分のものだと考えて、従業員を安く、長時間働かせて会社に残った利益を全部自分のものにしようとするから、うまくいかないのではないでしょうか。
「お金を回せばもっと大きくなって帰ってくる」
そう考える人は、会社もうまくいくんです。
原価・給与・家賃の3つの山以外なんて、削ったって大きな数字になりません。
そんなところに社長の力を使うのなら、お客様に喜んでもらって自社の商品やサービスを買ってもらうことを考えましょう。
ちなみに、原価・給与・家賃の大きな山は削っちゃダメですよ。これらはお客様に喜んでいただくのに必要な経費ですから。
★中小企業では「社員は家族」
お客様が「この会社は世の中に必要だよね」と思ってくださって、スタッフが「この会社は好きだから長く働きたい」と思ってくれて、業者の方が「この会社とは長くお付き合いしていきたい」と思ってくださったら、必ず繁栄します。
【感想など】
目次を見ていただければわかりますが、本書は前半の2章が、会計に関する内容。
そして後半が広い意味での会社経営に関することとなっています。
特に小気味良いのが前半。
著者ご自身が税理士さんなのですが、世の中の「経営コンサルタント」「税理士」のアドバイスをバッサリ。
そのアドバイスというのが損益分岐点を下げることで利益を上げるというもの。
具体的には次の2つの方法です。
1. 売り上げ原価を下げること
2. 経費を削減すること
ここまでは「至極当たり前やん」と思っていたワタクシでしたが、なぜこれがダメなのかの理由を読んで納得。
1は材料などを仕入れ業者に無理を言って値段を下げさせるか、商品材料を質の悪いものに変えることで可能になります。
また、2は社員の給与を減らしたり、家賃の安いところに引っ越すといった方法があります。
しかしこれらの方法は、どれも長い目で見ればマイナスばかり。
取引先に無理を強いたり、従業員のモチベーション低下、ひいてはその影響は商品品質やサービスの低下を招き、お客様へとしわ寄せが行くことになります。
それに対して著者の主張は単純明快。
そんなアドバイスには惑わされるな、と。
では、社長は何に注力するのか?
それは売り上げを伸ばすことだと断言。
そのためにはお客様第一。
「顧客を満足させることこそ、中小企業の使命であり目的である」
だから、社長はちまちまお金を節約することを考えるんじゃなくて、どうやったらお客を満足させられるか、商品を買ってもらえるかを考えることに真剣にエネルギーを注ぎなさいよと。
そして、社員の給料を上げてやり、取引先とも気持ちのいい取引をしようよと。
これこそが中小企業の正しい進む道ですよということなんですが、ここまで読み進むときがつきませんか?
そうですよ、根底に流れている思想は
この本と同じなのです。
いわば本書は『日本でいちばん大切にしたい会社』の会計版と言ってもいい。
「お客様から大切にされる会社」の社長は会社のどの数字に注目し、何を削って、何を削ってはいけないか。
それを教えてくれるのが本書です。
もちろん、厳しい経済環境ですので、必要のないものは削らなければならないのはあたりまえ。
ただ、そのときも、削った分をお客様に還元できる使い方をするよう再配分する。
その采配ができるのは社長だけだし、それでお客様に喜んでいただき、社員と成功と利益を分かち合い、取引先にも貢献する。
これが社長業の醍醐味だと思います。
もし、あなたが社長なら、どんな社長になりたいですか?
本書には理想の社長像の答えがあります。
本書はあさ出版編集者の吉田様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【管理人の独り言】
本書中に「経営は『利益を出すための仕事』ではなく『お金を回すための仕事』」という、株式会社ソニックジャパンの添島副社長の言葉が登場します。
この言葉を見た瞬間、ふと思いました。
「これって企業も国家も同じだな」と。
安倍総理になってリフレだ反リフレだと賑やかですが、答えはこの短い言葉の中にあるじゃないですか。
「お金を回せばもっと大きくなって帰ってくる」
うん、単純明快。