おはようございます、転勤して2週間、ようやく新しい職場に慣れてきた一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、メンタルヘルス本をご紹介。
自分では全然原因が分からないのだけれど、イライラしたり、怒りやすかったり、ちょっとしたことで激しく落ち込んだりすることってありませんか?
「これが自分の性格」と思っているかもしれませんが、もしかしたら幼少期の体験が原因かもしれませんよ。
【目次】
プロローグ
第1部 「おとなの愛情飢餓」とは何か?
第2部 ぶり返す感情への”緊急”対処法
第3部 つらい感情を洗い流す!「5つのセラピー+α」
エピローグ
【ポイント&レバレッジメモ】
★怒りの根っこには「怖れ」がある
怒りは怖れている事態に直面しそうなときに生まれてきます。たとえば、安全が脅かされたり、大切な人やものを失ったり奪われそうになったりしたときです。
また、怖れの感情を感じそうで不安になったときにも怒りが生まれます。具体的にいうと、相手が自分に愛や関心を向けてくれないときや、自分を大切にしてくれない、尊重してくれないと感じたときです。寂しさや自己無価値感の苦しみを感じそうになり、とても怖くなるのです。ですから、愛情飢餓を強く感じている人ほど、ことあるごとに怒りがぶり返してきます。
★「自分が悪い」と感じる理由
親から拒否された、と感じたときに「私が悪い子だからいけないんだ」と解釈して、自己嫌悪感や自己無価値感に陥るパターンを身につけることがあります。こうし育つと、大人になっても同じパターンをくり返します。
怒りがわきそうになるたびに、瞬時、かつ自動的に「わたしが悪い」と解釈します。こうして怒りを感じないように抑え込んでいるのです。それが、、「自分のことを好きになれない」と感じるようになる心理メカニズムです。
★怒りを認められない理由
・理由1 暴力の経験
夫婦間の暴力を見た経験や、親から身体的、言語的な暴力を受けた経験から、「怒りとは暴力である」と学んでしまった。
・理由2 怒りが抑えきれなくなる恐怖
怒りが爆発したら、コントロールできなるのではないかという恐怖。
・理由3 親の愛を求めるゆえの抑圧
親に対して腹を立てると拒絶される経験。
★親に対する非現実的な思い
わたしたちが親を見るとき、「現実の姿」を見ているとは限りません。悪い面ばかりがクローズアップして見えたり、極度に理想化していたりするものです。
親にプラスの感情を抱くのは、一見、良いことのように思いがちですが、そうとは限りません。<中略>
プラスにしろマイナスにしろ、親に対して非現実的な感情を抱くことで、「恋人ができない・結婚ができない」または、「恋人関係・夫婦関係のトラブル、葛藤、重荷」が生じます。<中略>
こころの痛みによって、相手に理想を求めてしまうのですが、その理想は非現実的ですから、どんな人でも物足りなく感じてしまいます。
★「私が悪いから・・・」というパターン
わたしたちが、うつ的な気分で苦しいときは、自分自身を責めてもいます。本当はある人に対して腹を立て、うらみや憎しみの気持ちが渦巻いているのですが、その気持ちを当の相手に向けることを禁止し、自分自身に向けてしまうのです。<中略>
うつ気分に苦しむ人は、「他人は悪くないから怒ってはいけない。自分が悪いんだ」と信じているので、罪悪感と劣等感に苦しみます。
★不幸によって何を手に入れているのか
不幸でいようとする動機の一つひとつについて、自分のこころにないかどうか、見つめてみましょう。
自分を不幸にしている動機に気がついてはじめて、それを変えることができます。<中略>
不幸によって何を得ているかが分かったら、それは大切な一歩です。
自分の現状に気づいたら、次に、幸せを得る方法を見つけましょう。必ずあります。不幸でなければ生きられないようには、人生はできていませんから。
【感想など】
いやぁ、かなりショッキングな内容でした。
特に子を持つ親としては、子どもとの付き合い方を改めて考え直さなければならないと。
はじめ、本書の帯にある「おとなの愛情飢餓」なんて言葉を聞いて、「なにを甘えたことを」と思ってしまいましたが、原因は幼少期の体験にあるのですね。
幼児虐待やネグレクトは絶対にあってはならないレベルの話しですが、一般にちゃんと子育てをしてるとみなされるレベルの家庭での親のちょっとした精神状態の浮き沈みや、子どもへの接し方で、子どもの精神状態が後々にこれほど影響を受けるなんて。
本書を読んでまず思ったのは、「これは育児書として子育て中の親御さんが読むべき本ではないか」というものでした。
さて、自分の身の回りや職場などを見回したとき、いつもイライラしている人、すぐに怒る人っていますよね。
逆にいつもニコニコしてすごくいい人だけど、どんどん貯め込んでいって耐えられなくなったときに職場でも人目を気にせず泣きだすひともいます。
多分どこの職場でもそうだと思うのですが、こういった情緒不安定とかちょっと精神的に弱い人へは、それが”その人の個性”と割り切って、接し方の工夫や仕事の割り振り方で対処しているでしょ。
もちろんそれは大事なことです。
職場には本当に色んな人がいますからね。
それぞれの”個”にちゃんとポジションがあり、職場が上手く回っていくのが理想ですから、そのためのちょっとした気づかいは労を惜しむ気はありません。
でも、本書を読んで、「もしかしたら根本的な原因を突き止めることで、劇的に変わる人もいるんじゃないか」と思えるようになりました。
もしそれが可能なら、本人にとっても周りとっても一番ですよね。
今回【ポイント&レバレッジメモ】では、「愛情飢餓」がどのようにして発生するのかという部分をメインにピックアップしました。
この記事を読んで「自分は当てはまるかも」と思ったら、実際のセラピー方法について本書を読んでみてください。
人間は社会的な生き物。
わたしたちは、自分の気持ちを理解し、共感してくれて、何を言っても無条件に大切にしてくれる人間関係の中に身を置いていると、自分をありのままに愛して受け取れるという、本来の自然な状態に還っていきます。
とあるように、原因に気がつき、それに正しく向かい合うことができれば、あなたは変わるかもしれません。
ずっとイライラしたり、ちょっとしたことで怒ったり、落ち込んだりという人生は、当人にとって本当に苦しいもの。
本書を読んで幼少期の体験にケリをつけることで、もっともっと人生は広がりを見せる。
そのきっかけとなればと思います。
本書はすばる舎編集者の佐藤様より献本していただきました。
ありがとうございました。
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