おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、プロセスデザインのプロフェッショナル、芝本秀徳さんの新刊が図解ムック本で登場したのでご紹介。
プロジェクトリーダー必携の虎の巻です。
【目次】
はじめに
PART1 そもそもプロジェクトって何?
PART2 そのプロジェクトは誰のため?何のため?
PART3 どうやってチームをまとめるの?
PART4 いつまでに何をすればいいの?
PART5 プロジェクトを振り返ろう
巻末付録
【ポイント&感想など】
Discoverさんの「マジビジ」シリーズと言えば、若手のビジネスパーソンのためのビジネス入門書をコンセプトにした人気シリーズ。
その図解版は、ビジネス思考法や仕事術を分かりやすいイラストとともに解説するムック本です。
本来ビジネス書をというのは、問題解決の答えやうまくいった成功事例など、なんらかの再現性のある技術の教科書であるべきだと思います。
そういう点でこのシリーズは不用なものを削ぎ落とし、読者の理解を第一に重点を置いた、ある意味ビジネス書らしいビジネス書のシリーズといえるでしょ。
さて、今日ご紹介するのは芝本秀徳さんの新刊。
芝本さんの本はまさに図解ムック本に最適(何で今までなかったんだろう)。
芝本さんはプロセスデザインコンサルタントのプロフェッショナル。
と言っても聞き慣れない方もおいでると思います。
要するにプロジェクト達成のためのプロセスをデザインすると同時にチームマネジメントもしてしまう方。
我々は小さな飲み会のセッティングから数億円規模の取引まで大小違いはあれど何か企画実行を任されることが多々あります。
それらを恙無く進行し実行しようとするわけですが、自分の思い通りに行くことはまずありません。
ただ、どのようなトラブルや障害が発生しようとも任務を遂行しなければなりません。
そこで必要なのが”計画”で、それをもっとゴールに最短で安全に、そして確実に到達するようにデザインしようというのがプロセスデザインです。
プロジェクトの設計図、カーナビゲーションです。
さて、なんだか難しそうなイメージを持たれてしまいそうですが(実際難しいのですが)、本書では入門書的な本ですのでまずは各章のテーマごとにマンガで導入。
上村課長がプロジェクトを任された三木ヒトミを指導していく形でプロジェクトのすすめ方を解説してくれます。
芝本さんは昔、上村敏彦のペンネームで本を出されていたので、上村課長が芝本さんご本人を模したキャラクターだとすぐわかりますが、クマですか(笑)。
妙に納得。
★プロジェクトはなぜ難しい。
そもそもプロジェクトとは
「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期性のある業務」
と定義されています。
つまりプロジェクトとは「繰り返しのない一回きり」の活動であり、それを「期限までに終わらせること」ということができます。いいかえればプロジェクトとは、「やったことがないことを計画・実行して、期限までに終わらせること」なんですね。
よく考えてみると、これはかなりむずかしい要求であることがわかります。
やったことがないことを期限内にやらなければならないというプロジェクトの性格上、その成果はプロセスデザインにかかっているわけです。
★解説と図解
さて、図解ムック本の真骨頂はなんといっても解説と分かりやすい図解。
頭の中にフローチャートのようなものを思い浮かべてもらうといいのですが、プロジェクトという”流れ”のあるものでは、各ステップごとにやるべきことがどんどん変わってきます。
その各ステップごとのツボを図解付きで解説してくれるのは非常にありがたい。
ちなみに各ステップは「企む」→「段取る」→「やる」・「視る」→「振り返る」となっていて、これはそのまま”プロジェクトの全体像”の構成です。
実はこれまでの芝本さんの本はすべて読ませていただいておりますが、これだけイラスト解説がついた本は初めて。
しかも、入門書的なムック本と侮るなかれ。
おそらくこの本がこれまでで一番プロジェクトデザインの本質を表現するのに特化した本となっています。
その証拠に今までの著者の本では見たことのなかった専門用語がバンバン登場します。
もちろんそれらの用語はすべて解説してくれていますが、著者の本気度が感じられます。
ワタクシはど素人ですが、おそらく中級者レベルまで対象としたこの分野の教科書的な本となるのではないかと感じました。
★リーダーも変わり続ける
さて、今回本書を読ませていただいて一番印象的だったのは、チームリーダーのあり方でした。
これ、誰もが悩む課題ですよね。
ワタクシもこれは頭の痛い課題でしたが、 チームの成長度によってリーダーシップのスタイルを変える というのは目からウロコでした。
終始一貫した姿勢というのは大切ですが、それは人間としての根本部分であって、プロジェクトの進行度によってリーダーシップのスタイルは変わるべきなのかもしれません。
リーダーに求められる役割も変わりますからね。
ん〜、余計に難しいと感じる方もいるでしょうが、プロジェクト自体が刻一刻と変化していく”生もの”。
リーダーも臨機応変にということですね。
★付録
巻末には本書で登場する”課題ログ”や”QFD(品質の家)”などのフォーマットが掲載されています。
ぜひ活用してください。
ということで、紹介してまいりました本書。
若いビジネスパーソンだけでなく、プロジェクトを任される立場にあるすべての方に読んでいただきたい一冊。
そして、このプロジェクトを「企む」から達成して「振り返る」までの流れは、仕事でも人生でも応用の効くものです。
プロセスデザインってたぶんライフデザインにも活かすことができると思います。
人生もゴールを設定してそこに到達することの繰り返しですから。
ぜひお読みください!
本書はDiscover21社様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
同著者の既刊本。
参考記事:「プロセス」は目的地にたどり着くためのナビゲーション【書評】芝本 秀徳(著)『やりたいことはあるのに実現できないあなたがやれる人に変わる方法』(中経出版)
参考記事:「出藍の誉れ」にいたる「道」【書評】久保 憂希也・芝本 秀徳(共著)『頭の回転数を上げる45の方法』(Discover21)
【管理人の独り言】
今回紹介した本のコラムのなかにとても印象的だったものがあります。
それは芝本さんのお父様のエピソード。
ホテルの料理長をされているそうですが、いつもみんな早くから働いているのお父様だけは8時過ぎの重役出勤だったそうです。
そこで、芝本少年は
「みんな、はよ出勤してきてんのに、親父はあんな遅くてええのんか?」
と尋ねてみたところ、
お父様は
「あのなヒデ、おれが朝いちばんにきて、板場におったら、みんな気ぃ使うやろ。板場にはおれがおらん時間がないとあかんねや」
と答えられたそうです。
これ、深いなぁ。
リーダーっていつも率先して働いているだけでもダメなんですね。
ん〜ますます難しくなってきた(笑)。