世界の博物、第33号はカイロ・エジプト博物館です。
古代エジプト文明の膨大な所蔵品を収蔵するこの博物館は、エジプト学の殿堂であると同時に、世界で最も有名な博物館の一つでもあります。
【今号の一押し】
天邪鬼なワタクシは、毎号毎号できるだけ変わったもの、見たことのないものを【今号の一押し】として取り上げるべく努力しているのですが、この号だけはもうこれ以外に考えられない。
ということで超メジャーな人類の至宝です。
実は、15年ほど前、ワタクシはカイロ博物館でこのマスクと対面しております。
金は腐食しない金属。
クリーニング処置しているのでしょうが、まるで昨日作ったような光沢。
少年王の幼さの残る、しかし威厳に満ちた面影を伝える表現力。
もし値段をつけるなら、アメリカの国家予算ぐらいの価値とよく言われますが、まさしく人類最高の工芸品だと思います。
カイロ博物館ではガラスケースに収められ、ぐるり360度から見ることができます。
ちなみにワタクシが、「おお、こうなっていたのか!」とはじめて知ることができたのは後ろ姿。
頭巾は一本にまとめられ、肩の付近には「死者の書」の一節が記されていたんですね。
さて、ツタンカーメンのミイラは合計で8つの厨子や棺に包まれていました。
そのどれもが素晴らしい超一級の工芸品ですが、ツタンカーメンの黄金のマスクに霞んでしまって、あまり知られていません。
もしカイロ博物館に行かれたならぜひ見て欲しいのが第3人型棺。
純金製で、精緻な文様彫刻と象嵌のレベルの高さは、ツタンカーメンの副葬品の中で最も豪華で美しい。
そしてもう一つ、絶対見ていただきたいのが黄金の玉座。
ツタンカーメンと王妃アンケセナーメンの仲睦まじい姿に癒されます。
次号はアナトリア文明博物館です。