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企業って誰のため、何のため?【書評】坂本 光司+価値研(著)『21世紀をつくる 人を幸せにする会社』Discover21

おはようございます、「寄らば大樹の陰」なんて言葉は捨ててしまえ!と就活生には言ってしまう一龍(@ichiryuu)です。

今日は、『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズで有名な坂本光司先生の本をご紹介。

世の中が不景気でも、しっかり収益を上げている会社は存在します。
そして、そういった会社にはある共通点があるのです。

【目次】
はじめに
第1章 21世紀をつくる「価値ある企業」像
第2章 21世紀をつくる「価値ある企業」事例
「アイエスエフネットグループ」
「スギ製菓」
「コガワ計画(Mランド益田校)」
「エフピコ」
「スワン」
「石見銀山生活文化研究所」
「旬材」
「めのや」
「生活の木」
「四国管財」
「フェリシモ」
「アチーブメント」
おわりに

【ポイント&レバレッジメモ】

★価値ある企業の姿

【価値ある企業像 1】『社会共通の価値』を創造している
『社会共通の価値』とは、次の3つ
1.社員など人を大切にすることによって生み出される”こころの価値”
2.地域社会、自然や環境、伝統や文化、教育などへの貢献によって生み出される”社会の価値”
3.会社の活動を通じて、国や自治体の負担が軽減されることによって生み出される”公共の価値”

【価値ある企業像 2】目に見えない3つの『企業資源』を大切にしている
『企業資源』とは、次の3つ
1.正しい経営理念を浸透させる”経営理念力”
2.社員のやる気を高める”人材育成力”
3.社員同士、社員の家族、取引先や地域社会などとの絆を結ぶ”信頼形成力”

【価値ある企業像 3】目に見えない3つの企業資源は『共感資本』をつくっている
価値ある企業は、3つの企業資源を育むことによって、人を惹きつける”共感力”を創りだしています。

【価値ある企業像 4】共感資本を媒体に『価値のらせん的発展』を描いている
会社と顧客、取引先などが共感という軸で関係性を深め、お互いに影響し合い、『価値のらせん的発展』を描きながら成長する企業こそが21世紀をつくる”価値ある企業”の姿なのです。

★利益に先行する「3つの指標」(抜粋)

【経営理念に関係する項目】
・経営理念を明文化している
・利害関係者(ステークホルダー)の中で主に社員を重視している 等

【人材育成に関係する項目】
・一人あたりの教育費が高い
・社員のモチベーションを高める施策が多い
・障がい者、高齢者、女性などの採用に前向き 等

【信頼形成に関係する項目】
・リストラはしない
・家族にかかわる制度が多い
・継続的な社会貢献を実施している 等

★目に見えない企業資源

1.「経営理念力」
経営理念は、多様化する人の価値観を一点にまとめる力を持ちます。正しい経営理念は、社員やその家族の誇りとなり、関係者との信頼を築きます。魅力的な経営理念には、優れた人材が集まります。そして、その結果として、社員一人ひとりの仕事の質が向上し、業績も上がるのです。

2.「人材育成力」
調査によると、社員一人あたりの教育費が4万円以上の企業と4万円未満の企業では、利益率で約1.6倍の差がありました。

3. 「信頼形成力」
価値ある企業は、コミュニケーションの質を高め、目に見えない信頼の絆を強めています。信頼からは責任の意識が芽生えます。それが企業や社会に秩序や規律を生み、さらには、もっと良い仕事をという社員の前向きな想いに発展するのです。

★価値ある企業に欠かせない、熱きリーダーの存在

リーダーとは、決して組織の長だけをいうのではありません。一社員であっても、家庭を守る主婦であっても、熱意や信念のある人は、輝きを放って周りに喜びや感動を与えます。影響を与える人は、誰しもがリーダーなのです。<中略>
上席の指示命令に盲従するのではなく、一人ひとりが経営理念に仕え、想いと行動を一致させて輝きを放つ社員が多い会社は、間違いなく価値ある企業といえるでしょう。

【感想など】

本書は

などのシリーズで有名な、坂本光司先生の新刊です。

今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、本書巻頭の 第1章 21世紀をつくる「価値ある企業」像 から「価値ある企業」のポイントをピックアップさせてもらいました。

「価値ある企業」とは社員や顧客など、人を大切にする会社。
ということを今まで言ってきたわけですが、今回はその特徴をより具体的に示してくれています。

経営者の方にも、就活生のみなさんにも読んでいただいて、参考にしてほしいです。

さて、

本書後半では具体例として、12の「価値ある企業」が紹介されています。
その企業名は【目次】を見ていただいたらわかると思いますが、その中には昨日紹介した

の著者、渡邉さんの「アイエスエフネットグループ」もあります。

どれも中小企業で、業種も地域もバラバラ。
この不況の中で、決して強者とは見えません。

ところが、確かに中小企業のほとんどは苦しい経営だと思うのですが、坂本先生によるとその中に1割ほどは景気に関係なく好業績をあげているというのです。

そして、それらの中小企業の共通項を上げていくと、

「人本経営」「継続重視経営」「感動経営」「社会貢献重視経営」「家族的経営」「理念経営」「ネットワーク経営」「非価格競争経営」

といったことだそうです。

そういわれてみると、個々で紹介されている12社すべて上記の項目に当てはまっているんですよね。

でね、思ったんですよ。
中小企業でも不景気に関係なく収益を上げている会社もあれば、名前をしらに人がいない大企業でもポテンっと倒産する会社もあるじゃないですか。

その違いって何なのか。

そのときワタクシの頭の中に浮かんだイメージが”木”だったんです。

台風のときによく巨木が根こそぎ倒れている映像を見ますよね。
すごい風が吹いたんだろうなというのはわかるのですが、その傍らにひ弱そうな細い木がちゃんと立っている。

同じ風を受けたはずなのに、見るからに丈夫そうな大木は倒れ、ひ弱そうな木は生き残る。
物理的に風を受ける面積が違うというのはありますが、体全体の大きさに対する根のはり方の違いなんじゃないかと

それこそ、幹を支えるのに必要以上に深く広く根をはっている。
本書で紹介されている会社は、そういう状態難じゃないかなと思ってしまいました。

そして、一体何に根をはっているかと言えば、もうお分かりですね、社員であり、お客さまであり、地域にですよ。

根っこが強い、土台が安定している、それでいて幹の部分はしなやかで変化にドンドン対応できる。

これは大企業には手に入れにくい中小企業の武器なのかもしれません。

さて、最後に、一般の消費者であるワタクシたちにそういった中小企業に対してできることは何か?
答えを本書から引用します。

「私たちができない正しいことをしている人々がいたならば、私たちがやるべきことは、その人々を支援することである。そして、その人々に降りかかってくる熱い火の粉を振り払ってあげることである。私たちは決して、傍観者であってはならない」

日本は決して「非常で残酷」な社会じゃない。
それを行動で示すことです。

本書は出版元であるDiscover21社様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【おまけ】
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本書で使われている「イラスト」と「しおり」をご紹介。

「イラスト」は鹿児島市のラグーナ出版のペンネーム「星礼菜」さんの作品。
「しおり」は通称「バナナペーパー」と呼ばれるものでバナナの茎が30%入ったエコロジーペーパー。
原材料はザンビアの女性たちが加工し、丸吉日新堂印刷が制作したものです。

ところで、バナナは木じゃないって知ってた?

【管理人の独り言】

本書に登場するカフェ、「スワン」
銀座にあるんですね。
よし、上京したときに行ってみよう。

傍観者じゃないからね。

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