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白取先生に学ぶ、難しい本の読み方【書評】白取春彦(著)『勉学術』(ディスカヴァー21)

 

勉学術

勉学術

  • 作者:白取晴彦
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/02/04
  • メディア: Kindle版
 

 

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本当の大人の教養を独学で学びたい。
そんな人はこの本を。

ひと頃の“効率、効率、効率”主義とはちがう大人の骨太な勉強法がここにあります。

 

【目次】

第1章 勉学は独学にかぎる
第2章 難解な本を読むコツ
第3章 教養を身につける
第4章 外国語の独学法
第5章 考える技術・調べる技術
あとがき 

【ポイント&レバレッジメモ】
★難しい本にぶつかれ

 やさしい本から徐々に積み上げて難しい本に進んでいく必要などない。最初から難しい本を読んでもいっこうにかまわない。
 難しい本は理解しにくいから読んでも無駄だ、というのは、いかにも効率を考えているように見せかけた「逃げの理論」にすぎない。それが難しい本だからこそ、読む価値があるのだ。これまで難しいと見えていた点がようやくわかるようになるのは、新しい自分への脱皮ともなる。

★辞書、事典、地図を備える

 ニュースや読書ばかりではない。人の話を聞くときも、人は内容に含まれている基本の事柄を前もって知っていないと総じて何も理解できなくなるのは当然のことだ。
 知らないならば、知るようにすればいい。つまり、辞書、事典、地図を面倒がらずに開くようにすればいいだけだ。現代には歴史地図というものがあり、これはその時代の地理や地名のほかに重要事項の説明もあり、はなはだ便利である。
 世界地図と日本地図は壁に貼っておけばいい。本やニュースに出てくる地名が正確にわからなかったら、そのつど見て確認するのだ。
 たったこれだけのことで、書物もニュースも立体的に理解できるようになる。立体的に理解されるということは、書物で述べられている事柄が一種の体験として感じられるようになるということだ。

★「眺め読み」で書物に勝つ
①難解な本はまず眺める

 眺め読みとは、本をまともに読まずにしばらく眺めることである。
 まず、面倒そうな本を買ってきたら、その辺りに置いておく。机の上や本棚に鎮座させない。テーブルやソファの上にポンと投げ出しておくのである。<中略>
 そういうふうにぞんざいにあつかっていると、やがて部屋になじんでくるものだ。最初の違和感、居丈高な感じが薄れてくる。威厳が少し減ってくる。こういう場所に住むしかないかというあきらめが本から滲み出てくる。本が丸くなった感じである。

②からかうように本を扱う

 食後に足を投げ出した格好で、ちょっと開いてみる。空腹のときはよくない。満腹して気分的に余裕があるときに、コーヒー片手に触れるのである。
 まじめに読んだりしない。からかうような感じで、ぺらぺらめくるだけにとどめる。きどっている女をからかう不良の雰囲気でちょうどよい。本を自分の正面に置かず、横に置いて片手で暇つぶしにあしらってやる程度にする。<中略>こわれない程度に邪険に扱う。すると、そのうちに本の威厳が半減する。そうしたら、ようやく目次をざっと眺める。つまらない模様を眺めるようにするのである。
 そうこうするうちにこちらの恐怖もなくなるから、今度はソファに寝っ転がって頁をいたずらにめくる。<中略>数行を読み、また別の頁をめくってみる。<中略>文章の息づかいがわかってくる。要するに文章の癖だ。それは向こうの出方を見破ったのと同じだ。  

③適当に読み始める

 次には、最初の文章と最後の文章の感じが同じか、見比べてみる。最初だけ意気がっていて最後はちょっと疲れている場合もある。<中略>
 ここまですると、もはや本に最初の気位は失せてしまっている。そうなったとき、読みやすい個所からたらたらと読み始めるのである。<中略>
 こんなことを数日間にわたって気が向いたときにやっていると、いつの間にか半分読んでしまっているということになる。半分読めば、中身がだいたいわかるものだ。そこで、巻末の解説を遊びがてらに読む。本文の後の半分はもう簡単である。

④わかりにくい本は悪い本かもしれない

 こういう読み方をしてもなおわかりにくい本もある。その場合は、その本が悪いと考えてもいい。まともなことが書かれていないか、著者が錯乱しているかである。

★難しそうな本に臆病になるな

 大人が難しそうな本や古典を手にしないのは、臆病な気持ちがどこかにあるからだ。また、そんなものを今さら読んだとしてもとりたてて得になることはないだろうという勝手な功利の心が働くからでもある。
 得しないならば、役立ちそうもないのならば、関わることは無意味だとする妙な価値観は残酷このうえない。なぜならば、その価値観は結局のところ、この人間は役立つ役立たないという見方につながるからだ。

【感想など】
本書は昨年ベストセラーになった

 

超訳 ニーチェの言葉

超訳 ニーチェの言葉

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2010/01/12
  • メディア: 単行本
 

 

の白取先生が2006年暮れに出された本です。

ワタクシ自身が白取先生の大ファンになってしまったのと(そういうと白取先生からは絶対「ゲロゲーロ」とか言われそうですが)
関西のブロガー仲間、山といえば川のchampleさん(@chample_ytk)も本書のことを「いい本ですよ」とオススメだったので読んでみたのですが、勉強になるところが随所に。

“大人のための独学”の技が盛りだくさんです。
中でも今回ワタクシがぐっと引きつけられたのが 第2章 難解な本を読むコツ

“生涯学習”(←個人的にこの言葉、なんか嫌い。ボケ予防のために無理やりなんかやれというニュアンスが感じられて。)と叫ばれて久しいですが、大人の勉強といえば基本は“独学”

仕事を抱えていながら、決まった時間に定期的に通うスクールはかなり荷が重くて、勉強の中心となるのはやはり“独学”であり、そうなると勉強の中心は“読書”となると思います。

しかし、一般に“大人の教養”といわれる古典やそれに付随する専門書は難しい。

ワタクシ思うのですが、あれって大学の先生とかがわざと難しく書いているんじゃないかと。
「どやっ!難しいやろ!」ってちょっと自慢が入ってるような感じで。

まぁ、それはともかく。

こういった本の読み方として今回【ポイント&レバレッジメモ】でも抜き出しましたが「眺め読み」はなかなか有効かと。

もう一度簡単に流れをまとめると

①本に対する勝手な苦手意識を和らげる
      ↓
②徐々に“接触”を増やして“当たり”をつける
      ↓
③いつのまにか読み終える

そう言えば奥野さんの

 

仕事の成果が激変する 知的生産ワークアウト―あなたが逆転するための73のメニュー

仕事の成果が激変する 知的生産ワークアウト―あなたが逆転するための73のメニュー

  • 作者:奥野 宣之
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2010/05/28
  • メディア: 単行本
 

 

この本の影響で

けして難しい本ではないのですが、でかくて分厚くて重い

 

クロニック世界全史

クロニック世界全史

  • 作者:樺山 紘一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: 大型本
 

 

を枕元に置いてパラパラめくっているのですが、毎日やってると自然とかなりの量を読んでたりします。

まず、目につくところ、自然と手が伸びて“当たり”をつけるような場所に本を配置すること。
これがスタートですね。

枕元、トイレ、こたつの上、車の中・・・あちこちに例えば岩波文庫を置いてみるのがいいかもしれません。

そしてもう一つワタクシ気がついたのですが、この「眺め読み」の流れ、実はフォトリーディングの流れとよく似てます。

フォトリーの場合はすべての工程を1時間ぐらいにギュッと押し込むので時間のスタンスがだいぶ違いますが、“当たり”をつけて慣らしていくところとかソックリ。

もっとも、白取先生の方がかなりS気があってワタクシは好みかも。

よし、今日からやってみよう。
こわれない程度に邪険に扱ってみよう。
本の横に醤油とか置いてみよう。

まぁ、そこまでしなければならない難解な本は我が家にはないのですけどね。

それと、本に対する勝手な苦手意識についてですが、これは百害あって一利なし。
難しそうに見えて読んでみると案外優しかったりします。

実際世の中には難解な本はあるのですが、

「宇宙人が書いたわけじゃあるまいし、同じ人間が書いたんやから分からんはずがないやん」

ぐらいの気構えで本と向かい合うのがいいんじゃないかと思っています。

そしてもし読んでも理解できなかったら

「なんやこの著者、文章下手やの~。」“今日はこれぐらいにしといたろ”雰囲気で言い放ちましょう。

 

勉学術

勉学術

  • 作者:白取晴彦
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/02/04
  • メディア: Kindle版
 

 

【おまけ】
ついでですが、本書を読んでいるとすごくグサッとワタクシの胸に刺さるというか、心臓を一突きされたような個所が何箇所かありまして

 家のローンなどを支払うために節約しなければならない状況にある人は独学には全く不向きだろう。本を買うのを渋るからだ。図書館から借りてきた本ですむわけがない。借りた本で得た知識はその本を返却したときに消える。ウソのような本当の話だ。
 読みたい本、読んでおくべき本を買うのをためらわせるほど節約しなければならないくらいのローンを抱えるというのは、もはや精神が危ないと私は思う。それは人間的な生活を犯すことだからだ。それは抱えるべきローンの額ではないのである。ローン支払いのために自分の人間生活を壊すというのはどう見ても狂気であろう。

えーと、一言も反論できない・・・。

雑誌や偏見だらけのベストセラー本しか置いていないような書店くらいしかない文化的に貧しい場所に住んでいることも独学にはまったく不利だ。

引っ越すか・・・。
いやそれは近所の某書店に言ってくれ!

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