「算数なんて将来何の役に立つの?」と思っているよい子のみなさん。
そんなこと言ってたら、仕事のできない大人になってしまうかもしれませんよ。
目の前の問題の答えを出すことが、算数という科目の目標ではないんです。
オジサンはこの本でそれを学びました。
時すでに遅いけど・・・。
【目次】
はじめに
第1章 算数ができる生徒はここが違う
第2章 「何でもメモ方式」が算数の基礎体力をつくる
第3章 計算力を伸ばす「暗記力」と「計算視力」!
第4章 算数力は、将来役に立つ「仕事力」!
【ポイント&レバレッジメモ】
★算数とは
「問題を解く能力を養う教科。
きれいにノートをとることではなく、ひたすら自分の言葉でノートに練習問題を解いていくことが重要」
★「自ら問題を解く力」=「算数力」を因数分解すると
算数力=なんでもメモ方式(基礎体力)×計算力(暗記力・計算視力)
★「なんでもメモ方式」が算数の基礎体力をつくる
◇「なんでもメモ方式」で授業を聞く
「なんでもかんでもメモする」という意味ではなく、「大切なことをすべて聞き逃さず簡潔にメモする」というふうにとらえてください。
ポイントしては、
1.キーワードを聞き逃さない
2.すべてを言い表している図だけを写す
3.箇条書きになっている項目を押さえる
◇「なんでもメモ方式」で家で勉強する
特に算数を勉強する場合、大切なのは「問題を自力で解く」ことです。そのために必要な情報はすべてメモしておくことです。
算数の勉強というものは、毎日問題を解くこと、それに尽きます。
ポイントは次の2つです。
1.決まった量をノートに解く
2.答え合わせを確実にする
★「地図帳」と「パズル」で算数力トレーニング
◇社会科で使う「地図帳」をくまなく読む
数字を見てさっと何かを思いつくようになるには、多くの数字を見る訓練が必要です。
たとえば、
地図帳には、世界の国の一覧が乗っていて、それぞれの人口や面積が表になっています。その表を何度も繰り返して眺めるのです。<中略>次に図を描かせて見ましょう。
白紙に日本地図を見よう見まねで描いて、主要な都市を書き込んでみましょう。また、日本中のJRの路線や国立公園、国定公園、世界遺産なども書き込んでみましょう。
このようにして、図を描く練習をすれば、算数力が大きくアップします。実は、図形問題で三角形をさっと描ける生徒は、こういう練習をしているものなのです。
◇パズルを解く
パズルは「試行錯誤の繰り返し」だということです。これは非常に重要です。
算数や数学の難問だけでなく、多くの人生の難問を解くためには「試行錯誤能力」と「忍耐力」が要求されます。
算数や数学がうまくできない子の多くはこの2つの力を鍛えてあげる必要がありまが、パズルというのはそれを楽しく鍛えてくれるかっこうの材料なのです。
★「ミスを防ぐ」も仕事力のうち 計算間違いを防ぐための5つのポイント
「ミスを防ぐ」ということも、算数で「計算間違いを防ぐ」スキルを身につけることによって養成することができます。
算数の問題を解くときに、計算間違いを減らすためにしていた努力というのは、大人になってからの仕事力に直結しているのです。
そこで、計算間違いを減らすための5つのポイントを公開しましょう。これら5つのことを肝に銘じさせておけば、算数の試験はもちろん、将来の仕事でも大きく役に立つはずです。
1.「人間は必ず計算間違いをする」ということを認識する
2.容易に認識できる文字を書く
3.整理して書く
4.検算を行う
5.吟味をする
【感想など】
かの日本一のお金持、斉藤一人さんは数学の方程式を習った時、「俺には必要ない」と喝破されたのは有名な話。
以後、中卒で働きだすのですが、斉藤さんほどの成功者が言えば、それはそれでカッコいい話です。
しかし、世の中はそんなに甘くない。
算数だって数学だってできたほうがいいに決まってる。
で、この本。
算数が得意な生徒の共通点を挙げながら、著者が「なんでもメモ方式」と呼ぶメモの仕方の解説を通して、算数で得点アップするための方法をわかりやすく教えてくれています。
このあたりは、小学生をお持ちのお父さん、お母さん、そしてお子さん本人にぜひ素直にお読みいただきたい。
それが本書の本来の目的でしょう。
ただ、それだけでは勿体ない。
実は、もはや算数の勉強をすることはないであろう大人のワタクシが、本書を読んで「なるほど!」とすごく腑に落ちた点がありました。
それは 第4章 算数力は将来に役立つ「仕事力」! でした。
先に書いた斉藤一人さんじゃありませんが、そもそも算数や数学って「人生に必要ないやん」って思った方多いはず。
昔から「読み書きそろばん」という言葉があるくらい、日常生活に必要な計算能力は身につける必要はあると思いますよ。
でも、微分積分とか代数幾何とか絶対人生で二度と使わないモノまで習うじゃないですか。
そうすると、「学校の勉強なんて人生の何の役にも立たない」って思ってしまいますよね。
ワタクシもその一人でした。
で、中学でも高校でも「数学は何のために必要なのか?」という質問を先生にしたことがあります。
その時、どの数学の先生も答えたのが、「数学的思考能力を身につけるため」というものでした。
その当時のワタクシは、数学的思考能力=論理的思考能力 だと思っていたので、「それなら小論文の練習でも身に着くじゃないか!」と心の中で思ったものでした。
あれから云十年。
本書を読んでスッキリ!
というのは 「算数力」=「仕事力」 という考え方。
算数(数学)は、与えられた問題を解く、解き終わるとまた新しい問題があたえられ、それをまた解く。
これって問題解決の繰り返しという点で仕事と同じ。
算数の勉強で仕事に必要な「試行錯誤能力」と「忍耐力」が鍛えられていたんですね。
そして、「なんでもメモ方式」とよばれるメモの取り方は、問題を簡略化してイメージをつかむ訓練。
これって昨今のビジネス書のはやりのテーマですよね。
図解思考とか、ノート術とかメモ術などなど。
求める解の値が、Xの値からそれぞれの職場の問題解決に変わっただけで、ワタクシ達は定年までずっと計算ドリルをやっているようなものなのかもしれません。
学校の勉強もまんざら無駄じゃないんですね。
よし、今度堂々と息子に言ってやろう、「人間一生計算ドリルや。ごちゃごちゃ言わんと勉強せい!」と。
まずはお子さんをお持ちのお父様、お母様にぜひ読んでいただきたい。
そしてビジネスパーソンの皆様にも。
本書はディスカヴァー21社、編集者の三谷様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
著者、鍵本先生の本です。