3連休いかがお過ごしでしょうか。今日は少し趣を変えて、こちらの本
オバマ ホワイトハウスへの道 (2008/12/28) 「タイム」誌 |
1月20日の大統領就任までに、オバマ氏に関する本を一冊は読んでおこうと思ってあれこれ探していたのですが、『マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝』は500ページを超える大著。
それでは政治家オバマとして書いた『合衆国再生―大いなる希望を抱いて』はというと、ワタクシはなぜか某国の”投げ出し総理”が書いた『美しい国へ』を思い出してしまって尻ごみ。(就任した時は期待したんだけどなぁ・・)
もっと客観的で簡潔でしかもお値段リーズナブルなものはないかと探していたらこの本にたどり着きました。
そして、意外にも(編集者さんごめんなさい)かなり秀逸な内容。
これから世界の頂点に立つ男に、日本を代表する書評ブロガーのワタクシが(←言うのは勝手でしょ、それが何か?)
思ったことを少々書かせていただきたく(←本当は弱気)
【目次】
オバマの時代 (リチャード・ステンゲル)
新星オバマ登場 (ジョー・クライン)
ミシェルの魅力 (カーティス・シッテンフェルド)
母の物語 (アマンダ・リプリー)
勝利の方程式 (ミッチェル・ウェイスコフ)
スター誕生 (エイミー・サリバン)
打倒ヒラリー (カレン・タマルティ)
ワールドツアー (カレン・タマルティ)
指導者としての資質 (ジョー・クライン)
人々の選択 (ナンシー・ギブス)
【概要】
本書帯より
雑誌「タイム」が3年にわたり密着、独占取材&写真多数掲載。
数奇な生い立ち、妻ミシェル、そしてドラマチックな勝利までの一部始終をビジュアルとコンパクトな記事で見る、読む。
【所感など】
◇一見して写真集かと思わせるほど本書は写真が多数掲載されている。しかもどの写真も秀逸。
その多くが写真家キャリー・シェルによるものなのだが、2006年1月から、つまりオバマ氏がほとんど注目されていないときから密着取材していた彼女は、オバマスタッフによれば「家族の一員」のような存在。
そんな彼女でしか撮れないであろうプライベート時や選挙活動の舞台裏での、一人の人間として、夫として、父としてのオバマ氏が伝わってくる写真が多数掲載され、どれも素晴らしい。
もちろん、選挙活動の写真からは、彼の演説を見つめる選挙民の”熱”がストレートに伝わってくる。
それにしても、演説中も、プライベートでも、なんと絵になる男なのだろう。
ちなみにワタクシがオバマ氏を表現する“いい写真だなぁ”と思ったのは“すり減って穴のあいた靴底の写真”でした。
大統領選がいかにタフネスさを要求されるかを伝えるのに、どんな文章もこの写真には勝てないでしょう。
◇文章も素晴らしい。
本書は写真の素晴らしさに目が行ってしまいがちですが、文章も素晴らしい。
ワタクシは英語が苦手なので英字の「TIME」はもちろん読まないし、日本語版も読みません。
今回、翻訳とは言え、はじめて「タイム」の記事を読んでみての率直な感想は、「レベルが高い!」ということ。
特にナンシー・ギブスによる本書最後の記事、「人々の選択」。
人は自分に見合うリーダーを得る。私たちがリーダーを持ち上げておいてはしごを外し、行き先がディズニーランドでなければ付いて行かないなら、どんな大統領でも、私たちを無理やり引っ張っていくことはできない。たとえ彼がどれほど歴史的な仕事を託され、なすべきことについてどれほど透徹した見通しをもっていようとも。
「人は自分に見合うリーダーを得る。」何とも耳の痛い言葉。
「構造改革」を旗印に、パフォーマンスで人気のあった首相。その改革の結果が非正規雇用者の大量解雇という現状を生んでいること。
そのあと途中で投げ出す首相が二人続いた現実。
そして現在、短期的解決を求める国民と、それにこたえようと多額のばらまきを実施する総理。
ここ数年の我が国のリーダーを顧みた時、「あの人たちが私たちに見合うリーダーだったんだ」と愕然としてしまいますが、勝間さん風にいえば「起きていることはすべて正しい」と認めるべきなのでしょう。
◇さて、本書を読むとオバマ氏について次のような印象をうけました。
①現在進行形で“CHANGE”の人
確固たる信念を持ちつつ、選挙スタイルや演説スタイルを常に最善のものに革新していること。
②バランス感覚
彼の出生の複雑さは、彼自身が「地球上の他のどの国でも、私が送って来たような人生が存在するとは思えません」と語っているほど。それでいて絶妙のバランス感覚で彼自身が“一つのアメリカ”を具現化している。
③成熟した大人であること
指導者としての資質、「成熟した大人であること」をもっている。じっくり考えてから行動に移すタイプ。
オバマ氏の大統領としての力量はまだわかりませんし、「新ニューディール政策」を表明していますが今のところ具体的な政策も見えてきません。
しかし本書を読む限り、現代世界が必要とした“世界精神”という感じさえもってしまいます。
その絶大な人気はブラック・ケネディと評されることもあるオバマ氏ですが、彼はある意味オリジナルではないかと。
つまり、のちに出る大統領が“ホワイト・オバマ”と呼ばれるようになるような。
最後にパラダイムシフトを起こした合衆国にエールを送ります。畏敬の念を込めて。
【関連書籍】
マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝 (2007/12/14) バラク・オバマ |
合衆国再生―大いなる希望を抱いて (2007/12/14) バラク・オバマ |
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【管理人の独り言】
今現在、少なくとも一人、バラク・オバマ氏によって多大なる恩恵を受けている日本人がいます。
その人の名は デンジャラス ノッチ
Yes,we can!